「銀行は、うちの会社をどう評価しているんだろう…?」
決算書を提出するたび、融資の可否を前に胸がざわつくことはありませんか?
はじめまして。元銀行の融資担当として10年間、数えきれない決算書と向き合ってきた佐藤と申します。
その経験から断言します。銀行があなたの会社の「稼ぐ力」を判断する上で、最重要視している指標がたった2つあります。
それが「ROA(総資産利益率)」と「ROE(自己資本利益率)」です。
佐藤 真由美ご安心ください。この記事では、単なる計算式の解説はしません。元銀行員の視点から「銀行が評価したくなる数字の作り方」を徹底解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたは自社の収益性を明確に把握し、銀行評価を高めるための具体的な3つのアクションプランを手にしているはずです。


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【図解】ROAとROEの基本|まずは2つの指標の違いを理解しよう
まず、この2つの言葉を、難解な経営指標としてではなく、あなたの会社の健康状態を映し出す「2つの鏡」だと考えてみてください。
ROA(総資産利益率)とは?会社の総力戦での稼ぐ力
ROAは、いわば「会社の体力測定」です。
銀行からの借入金や、あなたがコツコツ貯めてきた自己資金など、会社が持つすべての資産(総資産)を使って、どれだけ効率的に利益を生み出せたかを示します。
┌───────────────┐
│ 会社の全資産(総資産) │◀︎ 銀行からの借入金も含む
└───────────────┘
↓(これを元手に…)
┌───────────────┐
│ どれだけ利益を │
│ 生み出せたか? │
└───────────────┘
↓
ROA(総資産利益率)
計算式:ROA (%) = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100
私が銀行員だった頃、まず最初に見ていたのがこのROAでした。
なぜなら、会社の「総合力」がわかるからです。
貸したお金も含めて、事業全体でしっかりと利益を出せる地力があるか。
私たちは、まずそこを確認するのです。
ROE(自己資本利益率)とは?株主のお金での稼ぐ力
ROEは、「経営者個人の通信簿」と言えるかもしれません。
株主が出資したお金や、これまでの利益の蓄積(自己資本)だけを元手にして、どれだけ上手に利益を上げたかを示します。
┌───────────────┐
│ 株主のお金(自己資本) │◀︎ 借入金は含まない
└───────────────┘
↓(これを元手に…)
┌───────────────┐
│ どれだけ利益を │
│ 生み出せたか? │
└───────────────┘
↓
ROE(自己資本利益率)
計算式:ROE (%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
多くの中小企業では「株主≒経営者」です。
つまりROEは、経営者であるあなた自身が投じた資本に対して、どれだけのリターンを生み出せているかを示す、極めてパーソナルな成績表なのです。
ROAとROEの決定的な違いと使い分け
この2つの違いを、身体で感じてみてください。
- ROAは、他人から借りた力(借入金)も全部使って、どれだけ重いバーベルを持ち上げられるかという「総合的な筋力」です。
- ROEは、自分自身の筋肉(自己資本)だけで、どれだけ高くジャンプできるかという「瞬発力」や「効率性」です。



銀行員だった私の経験から言えば、「銀行はROAで会社の健全性という土台を見つつ、ROEで未来への成長の勢いを見ています。両方のバランスが、本当に強い会社を作るのです」。
どちらか一方だけでは、物語は完成しません。
元銀行員が語る「銀行がROA・ROEを重視する本当の理由」
なぜ、銀行はこれほどまでにROAとROEにこだわるのでしょうか。
それは、私たちの融資判断の根幹にある、ある「仕組み」と深く関わっています。
銀行の格付け(債務者区分)と収益性の関係
少し、銀行の裏側をお話ししますね。
銀行は、すべての融資先企業を「債務者区分」という内部のモノサシで格付けしています。
「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」…といったように。
この格付けは、融資の可否、金利、そして追加融資の判断まで、すべてを左右する、まさに評価の分水嶺です。
そして、この格付けを決める最も重要な評価項目の一つが「収益性」、つまりROAやROEなのです。
融資審査の現場で、私は何度も経験しました。
どんなに社長が事業への熱い想いを語り、素晴らしい事業計画書を提出されても、決算書のROAが一定基準を下回っていると、その案件は稟議のテーブルにすら乗らないのです。
冷たいようですが、それが銀行の現実でした。
あなたの情熱が、数字によって門前払いされてしまう。
そんな悔しい思いをしてほしくないのです。
ROAから読み取る「事業の安定性と返済能力」
私たちがROAの数字を見るとき、頭の中ではこんな問いが駆け巡っています。
「この会社は、私たちが貸したお金も含めて、資産全体をうまく活用し、返済の源泉となる利益をきちんと生み出せるだろうか?」
ROAが低いということは、会社のどこかに「眠っている資産」があるサインかもしれません。
売れ残った在庫の山。
回収できていない売掛金。
使われていない古い機械。



それらは、企業にとって血流を滞らせる「澱(おり)」のようなもの。
銀行から見れば、「貸したお金が、あの澱の中に沈んでしまうのではないか?」という懸念に直結するのです。
ROEから読み取る「企業の成長性と経営者の手腕」
一方で、ROEは企業の未来を照らす光です。
ROEが高い企業は、自己資本を効率的に利益に変える力がある、つまり「経営が上手い」と評価されます。
私たちは、その数字の先に、企業の成長ストーリーを見るのです。
「この会社なら、利益をさらに内部留保に回し、自己資本を厚くして、もっと大きな挑戦ができるだろう。将来の返済能力も、きっと向上していくはずだ」と。
ただし、ここに一つ、プロが見抜く罠があります。
借入金を増やして自己資本の比率を下げれば、見かけ上ROEだけを高くすることも可能なのです。
だからこそ、私たちは必ずROAとセットで見ます。
ROAという「会社の地力」がしっかりした上で、ROEという「成長のエンジン」が力強く回っているか。
その両輪が揃って初めて、私たちは心からの「信頼」を寄せるのです。
自社の収益性を可視化する!ROA・ROEの計算と目安
さあ、今度はあなたの会社の番です。
理論はもう十分。
実際に手を動かして、あなたの会社の「今」を可視化してみましょう。
決算書を用意しよう!計算に必要な数字はどこにある?
お手元に、前期の決算書をご用意ください。
必要な数字はたった3つ。宝探しのように見つけてみましょう。
- 当期純利益:これは「損益計算書(P/L)」の一番下に書かれています。
- 総資産:これは「貸借対照表(B/S)」の左側(資産の部)の合計額です。
- 自己資本:これも「貸借対照表(B/S)」の右側(負債・純資産の部)にある「純資産の部」の合計額です。
見つかりましたか?
では、先ほどの計算式に当てはめて、あなたの会社のROAとROEを計算してみてください。
出てきた数字が、あなたの会社の「現在地」です。
【業種別】ROA・ROEの目安はどれくらい?
計算した数字を見て、どう感じましたか?
一般的に「ROAは5%以上、ROEは8~10%以上」が一つの優良企業の目安とされています。
しかし、ここで大切なのは、やみくもに高い目標を目指すことではありません。
中小企業庁の「中小企業実態基本調査」などを見ると、業種によって平均値は大きく異なります。
例えば、多くの設備を必要とする製造業と、身軽に始められるサービス業とでは、ROAの平均値は違って当然です。
まずは、自社の数字を同業他社と比較すること。
それが、客観的な立ち位置を知るための、最も重要な第一歩です。
シミュレーション:A社とB社、銀行評価が高いのはどっち?
ここで、私が融資担当時代によく出会った2つの会社を例に、思考実験をしてみましょう。
あなたは銀行員になったつもりで考えてみてください。
| 項目 | A社(急成長IT企業) | B社(堅実経営の製造業) |
|---|---|---|
| 当期純利益 | 1,000万円 | 800万円 |
| 総資産 | 2億円 | 1億円 |
| 自己資本 | 5,000万円 | 5,000万円 |
【計算結果】
- A社のROA = 1,000万 ÷ 2億 × 100 = 5%
- A社のROE = 1,000万 ÷ 5,000万 × 100 = 20%
- B社のROA = 800万 ÷ 1億 × 100 = 8%
- B社のROE = 800万 ÷ 5,000万 × 100 = 16%
さあ、どうでしょう。
利益額も大きく、ROEが20%と非常に高いA社。
一方、利益額は劣るものの、ROAが8%と安定しているB社。



一見、派手なA社に目が行きがちですが、私が融資したい、そして多くの銀行員が評価するのは、断然B社です。
なぜなら、A社は多額の借入(総資産2億 – 自己資本5,000万 = 1.5億)によってROEを高く見せていますが、資産効率を示すROAは5%と平均的です。
一方、B社は借入を抑え(総資産1億 – 自己資本5,000万 = 5,000万)、会社全体の資産を非常に効率的に使って利益を出している(ROA 8%)ことがわかります。
この「ROAの高さ」こそが、銀行が最も重視する「事業の安定性」の証なのです。
銀行評価を高める!ROA・ROE改善のための具体的アクションプラン
自社の現在地がわかったら、次はいよいよ未来を変えるための行動です。
難しく考える必要はありません。
改善の方向性は、計算式を見れば一目瞭然です。
アクション1:利益率を改善する(分子を増やす)
これは、ROA・ROEの計算式の「分子」である当期純利益を増やすアプローチです。
売上を増やすことはもちろんですが、利益率の改善にも目を向けてみましょう。
コスト構造の見直し
本当に必要な固定費は何か?家賃、通信費、サブスクリプションなど、聖域なく見直してみましょう。
仕入れ先の交渉
長年の取引先に、あと1%の値下げをお願いできないか。新しい取引先を探してみる価値はないか。
価格戦略の再検討
あなたの製品・サービスの価値は、本当に今の価格に見合っていますか?安売り競争から抜け出す勇気も必要です。
アクション2:資産を効率化する(分母を減らす)
これは、ROAの計算式の「分母」である総資産を圧縮する、非常にパワフルなアプローチです。



私はこれを「財務のデトックス」と呼んでいます。
不要な在庫の削減
倉庫の奥で眠っている在庫は、キャッシュを生まない重りです。セールでも現金化し、血流を良くしましょう。
遊休資産の売却
使っていない機械や、事業に関係のない不動産はありませんか?それらを売却して得たキャッシュは、新たな成長投資の原資になります。
売掛金の早期回収
請求書の発行は迅速に。入金サイクルを1日でも早める努力が、資金繰りを劇的に改善させます。
私がコンサルティングで支援した埼玉のある製造業の社長は、この資産効率化に徹底的に取り組みました。
滞っていた血流が、ドクン、ドクンと力強く流れ出すように、通帳の数字が増えていく。
社長の顔から不安が消え、自信がみなぎっていく様子を、私は今でも鮮明に覚えています。
眠っている資産をキャッシュに変えること。これこそが、銀行が最も好む「経営改善のストーリー」です。
アクション3:財務レバレッジを最適化する
これは主にROEの改善に関わる話です。
財務レバレッジとは、借入金など他人資本をうまく活用して、自己資本に対する利益率を高める「てこの原理」です。
もちろん、過度な借入はリスクを高めます。
しかし、明確な成長戦略があるのであれば、適切な借入はROEを高め、成長を加速させる武器になります。
ここで重要なのは、銀行に対する「説明責任」です。
「なぜ、今この借入が必要なのか。そして、その投資が将来、ROEをどれだけ向上させる見込みなのか」
この問いに、あなた自身の言葉で、具体的な数字を交えて語れること。
その熱意と論理性が伝われば、銀行はあなたの挑戦を前向きに応援してくれるはずです。
よくある質問(FAQ)
Q: ROAとROE、中小企業はどちらをより重視すべきですか?
A: 元銀行員の視点から言えば、まずは「ROA」です。銀行は融資の安全性を第一に考えるため、借入金を含めた総資産でどれだけ利益を出せるかというROAを重視します。ROAで安定した基盤を示した上で、ROEで成長性を示すのが理想的な流れです。
Q: 赤字決算の場合、ROAやROEはマイナスになりますが、融資は絶望的ですか?
A: 絶望的ではありません。私が融資審査を担当していた時代、一時的な赤字でも、その原因(例えば先行投資など)が明確で、具体的な改善計画(例えば、資産売却によるROA改善策など)が示されれば、融資を実行したケースは多々あります。重要なのは、数値を正直に示し、どう改善していくかを具体的に語れることです。
Q: ROEが高ければ高いほど良いのですか?
A: 一概にそうとは言えません。例えば、多額の借金をして自己資本比率が極端に低い場合、ROEは見かけ上高くなりますが、倒産リスクも高い状態です。銀行はROAや自己資本比率と合わせて総合的に判断するため、ROEの高さだけで安心するのは危険です。
Q: これらの指標は、いつのタイミングで銀行にアピールすれば良いですか?
A: 決算後の報告や、新たな融資相談のタイミングが最適です。特に「前期に比べてROAが2%改善しました。これは在庫圧縮を徹底した成果です」のように、具体的な取り組みと結果をセットで報告すると、経営改善への意欲を高く評価され、信頼関係の構築に繋がります。
Q: 専門家(税理士やコンサルタント)に相談するメリットは何ですか?
A: 客観的な視点で自社の財務状況を分析し、業界平均との比較や、具体的な改善策を提案してくれる点です。また、銀行に提出する事業計画書の説得力も増します。私のような元銀行員のアドバイザーであれば、銀行がどのような点を評価し、どのような説明を求めているかを踏まえた、より実践的なサポートが可能です。
まとめ:あなたの会社の「物語」を、数字で語ろう
この記事でお伝えしたかったことは、たった一つです。
ROAやROEは、単なる無機質な数字ではありません。
それは、あなたの会社が持つ「稼ぐ力」を、そして経営者であるあなたの「手腕」を客観的に示す、最強のコミュニケーションツールなのです。



私が銀行員時代から信条としている「キャッシュは企業の血液」という言葉の通り、健全な収益性は、安定した経営に絶対に欠かせません。
血液が滞れば、会社は少しずつ弱っていきます。
しかし、力強く巡り始めれば、会社は新たなエネルギーに満ち溢れます。
まずは、あなたの会社のROAとROEを計算し、その数字とじっくり向き合ってみてください。
それが、すべての始まりです。
そして、今日ご紹介した改善アクションを、一つでもいい、明日から実践してみてください。
その小さな一歩が、あなたの会社の血流を良くし、自信を持って銀行と対話できる強い財務体質を築き上げます。


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