結論から申し上げます。プロパー融資とは、銀行が信用保証協会などの保証を一切つけずに、100%自らのリスクで企業に直接融資を行う制度です。
もしあなたが「プロパー融資って何?」「保証協会付き融資との違いは?」「自社でも利用できるの?」と疑問に思っているなら、この記事はまさにあなたのために書かれています。

元銀行員として1000件以上の融資審査に携わってきた私が、プロパー融資の仕組みから金利相場、審査のポイント、メリット・デメリットまで、実務経験に基づいて徹底解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたはプロパー融資について完全に理解し、自社の資金調達戦略に活かせる具体的な知識を手に入れているはずです。
特に、これまで保証協会付き融資しか利用したことがない経営者の方にとって、プロパー融資は「企業として一人前に認められた証」であり、より有利な条件での資金調達を可能にする重要なステップとなります。


🔄 明日の資金繰りを今日解決する最短ルート
┗ 最短3時間での資金調達を実現
┗ キャッシュフロー改善に特化した専門提案
┗ 経営危機を未然に防ぐ資金戦略サポート
【売掛金を即現金化】ファクタリングで資金繰りの不安を解消
🛡️この記事の監修者(運営会社・税理士による共同監修)
-1024x1024.jpg)
-1024x1024.jpg)
資金繰り関連情報の総合的な監修を行い、正確で信頼性の高い情報提供を実現しています。


👤 東 岳夫(あずま たけお)氏
代表税理士 / 税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所
平成15年税理士登録、同年「税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所」を開業。「起業家支援」を自らの責務とし、「税理士はサービス業」をモットーに、数多くの企業のサポートを行っている。中小企業の資金調達や財務に関する専門的な監修を担当。
監修者プロフィール詳細(外部リンク)
そもそもプロパー融資とは?信用保証協会付き融資との根本的な違い
まず、この言葉の「本当の意味」を、あなたの体に刻み込んでください。
プロパー融資の仕組みを1分で理解する
プロパー融資とは、銀行が100%自らのリスクで、企業に直接お金を貸し出すことです。
「Proper(プロパー)=本来の、固有の」という名の通り、これこそが銀行融資の「本来の姿」なのです。
例えるなら、成人して、親の保証人なしで初めて自分の名前で部屋を借りる、あの瞬間の感覚に似ています。
そこには、社会の一員として認められた誇らしさと、すべてを自分で背負うという責任感が同居しています。
銀行は、あなたの会社の「過去(決算書)」と「未来(事業計画)」を徹底的に審査し、「この会社なら、必ず約束を守ってくれる」と信じるからこそ、大切なお金を託すのです。
【図解】信用保証協会付き融資との決定的違いは「リスクの所在」
では、多くの経営者が最初に利用する「信用保証協会付き融資」とは何が違うのでしょうか。
違いは、たった一つ。
「万が一、返せなくなった時、誰が損をするのか」というリスクの所在です。
これを、シンプルな図で見てみましょう。
▼プロパー融資(銀行が100%リスクを負う)[ 銀 行 ] ←-----(貸し倒れリスク 100%)-----→ [ あなたの会社 ]
▼信用保証協会付き融資(リスクを協会と分け合う)[ 銀 行 ] ←(リスク約20%)→ [ あなたの会社 ]
↑ ↑
(銀行が保険料を払う) (あなたが保証料を払う)
↓ ↓
[ 信用保証協会 ] ←-----(リスク約80%を保証)-----
この図を見れば、一目瞭然ですね。
保証協会付き融資は、信用保証協会という「公的な保証人」がいるから、銀行は安心して貸すことができます。
一方、プロパー融資は、銀行がすべてのリスクを背負う真剣勝負。
だからこそ、審査の目は自然と厳しくなるのです。
【元銀行員が本音で語る】プロパー融資の審査で見られる5つの重要ポイント
「審査が厳しいのはわかった。でも、銀行は一体どこを見ているんだ?」
その疑問にお答えします。
私が融資担当として、決算書の数字の向こう側に見ていたのは、次の5つのポイントです。
①「決算書の数字」が第一関門!銀行がチェックする3大財務指標
決算書は、あなたの会社が一年間流してきた汗と涙の結晶です。
私たちは、それを「企業の健康診断書」として拝見します。
特に重要なのは、この3つです。
収益性(黒字か?)
企業の「稼ぐ力」です。当たり前ですが、利益が出ていなければ返済はできません。節税も大切ですが、融資の際は「利益が出ている」という事実が何よりの信頼になります。
安全性(自己資本比率など)
企業の「体力・守りの強さ」です。自己資本比率が高いと、多少の赤字にも耐えられると判断されます。借入金への依存度も見ています。
キャッシュフロー
まさに企業の「血液の流れ」です。利益が出ていても(黒字倒産)、手元にお金がなければ意味がありません。きちんとキャッシュを生み出せているかは、厳しくチェックします。
②「事業計画書」で語る未来の返済能力と成長ストーリー
過去の数字が良くても、未来が描けなければ銀行は不安になります。
事業計画書は、あなたの会社の未来を語る「ラブレター」です。
私たちが知りたいのは、「貸したお金でどうやって利益を出し、返してくれるのか」という具体的な物語。
ただ数字を並べた計画書に、心は動きません。
あなたの事業への「情熱」という体温を乗せてください。
「なぜこの事業なのか」「どんな未来を創りたいのか」。
その熱意が、私たち銀行員を「あなたの会社の未来に投資したい」という気持ちにさせるのです。


③「経営者自身」も審査対象!見られる資質と個人信用情報
融資は、企業にすると同時に「経営者、あなた自身」にするものでもあります。もし私があなたの担当なら、面談でこう質問するでしょう。
「社長が、この事業で一番ワクワクするのはどんな時ですか?」と。
私たちは、あなたの言葉の力、瞳の輝き、事業への誠実さを見ています。そして、経営者個人の信用情報(CIC/JICCなど)も必ず確認します。
これは、あなたが「社会との約束を守れる人か」を知るための、大切な指標なのです。
④「担保・保証人」の提供は審査にどう影響する?
「担保も保証人もなしで借りたい」それが経営者の本音でしょう。
担保は、万が一の時の「保険」ですが、それ以上にあなたの「覚悟」を示すものでもあります。
もちろん、担保がなくても事業の将来性が極めて高ければ、プロパー融資の可能性はあります。
しかし、現実的には、特に初回のプロパー融資では不動産担保や経営者保証を求められるケースが多いことも事実です。
これは、銀行が負うリスクを少しでも和らげるための、当然の防衛策なのです。
⑤「メインバンクとの関係性」が融資の可否を左右する
テクニカルな話以上に、私が最も重要だと感じていたのがこれです。
銀行は、ATMではありません。血の通った人間が働いています。
預金の入出金、給与振込、売上入金など、日々の取引を一つの銀行に集中させる。そして、担当者に、会社の状況をこまめに報告する。
「困った時だけ頼る」のではなく、「良い時も悪い時も」顔を見せてくれる経営者を、私たちは決して見捨てません。
その地道な「お付き合い」こそが、いざという時に「なんとかしてあげたい」という、人の心を動かすのです。
知らないと損!プロパー融資の4つの大きなメリット
厳しい審査を乗り越えた先には、素晴らしい世界が待っています。
①保証料ゼロで「実質コスト」が下がる
これが最も直接的なメリットです。
信用保証協会付き融資では、借入額に応じて年0.5%〜2%程度の「保証料」を支払う必要があります。
例えば、1,000万円を金利2%、保証料1%で5年間借りた場合を考えてみましょう。
5年間で支払う保証料は、約25万円にもなります。(※計算方式により変動)
プロパー融資なら、これがゼロです。
この25万円があれば、新しいパソコンを買ったり、頑張ってくれた社員と食事に行ったりできますよね。
企業の「血」であるキャッシュを、無駄に流出させずに済むのです。
②融資限度額がなく、事業拡大のチャンスを逃さない
信用保証協会の保証には、「無担保で8,000万円まで」といった上限があります。
しかし、プロパー融資には、その「天井」がありません。
あなたの会社の信用力が高まれば、数億円、数十億円といった大きな資金調達も可能になります。
これは、あなたの会社の成長を止める「見えない足かせ」が外れることを意味します。
③企業の「信用力の証」。取引先や他行からの評価が変わる
「プロパー融資を受けられる」これは、金融界における「ゴールドカード」を持つようなものです。
「あの会社は、銀行が保証人なしでお金を貸すほど、優れた会社なのだ」
という、何物にも代えがたい「信用」を手に入れることができます。
私が担当した会社でも、プロパー融資に切り替えた途端、他の銀行から「ぜひうちとも取引を」というアプローチが急に増えた例は数え切れません。
④スピーディーな資金調達が可能になる
保証協会の審査プロセスが不要になるため、銀行単独の判断で融資が決まります。そのため、急な資金需要にも、比較的スピーディーに対応できる可能性があります。
まさに、企業の「血流」が滞りそうになった時、迅速に輸血を受けられる体制が整うのです。
デメリットと対策|プロパー融資で失敗しないための注意点
光があれば、影もあります。現実から目をそらさず、賢く対処しましょう。
①審査のハードルが非常に高い
【現実】: 創業期や赤字決算の企業には、ほぼ利用できません。
【対策】: 急がば回れ。まずは保証協会付き融資や日本政策金融公庫の融資で着実に返済実績を積みましょう。それが、未来のプロパー融資への一番の近道です。


②担保や経営者の個人保証を求められやすい
【現実】: 銀行はリスクを避けるため、担保・保証を求めることが多いです。
【対策】: 国が定める「経営者保証ガイドライン」の存在を知っておきましょう。法人と個人の資産を明確に分離するなど、一定の要件を満たせば、保証なしで借りられる可能性もゼロではありません。銀行に相談してみる価値はあります。
③返済期間が短めに設定される傾向
【現実】: 銀行はリスクを早く回収したいため、返済期間が3〜5年など短めになることがあります。
【対策】: 月々の返済額が、自社のキャッシュフローを圧迫しないか、冷静にシミュレーションしましょう。無理のない返済計画を、事業計画書の中で具体的に示すことが重要です。
【実践編】プロパー融資獲得への3ステップ・ロードマップ
では、明日から何をすべきか。あなたの会社の成長ステージに合わせて、具体的な行動計画を描きましょう。
ステップ1:創業〜成長初期「実績作りの期間」
あなたは今、マラソンのスタートラインに立ったばかりです。
ここで目指すのは、「完走」の実績です。
- 日本政策金融公庫の「新創業融資」や、自治体の制度融資(保証協会付き)を活用する。
- 毎月の返済を、一度も遅れずに実行する。
- 事業を一日でも早く黒字化させる。
- メインで取引する銀行を決め、担当者と顔の見える関係を築く。
ステップ2:成長期「プロパーへの挑戦準備」
数年間、着実に走り続け、会社の体力がついてきました。
いよいよ、次のステージへの挑戦です。
- 決算書(最低3期分)と最新の試算表を準備する。
- 自社の強みと未来の成長を描いた「事業計画書」を作成する。
- 銀行の担当者に「そろそろプロパー融資も検討したいのですが」と、あなたから相談を持ちかける。
ステップ3:安定・拡大期「プロパー融資の活用と条件交渉」
おめでとうございます!あなたはついにプロパー融資という栄誉を手にしました。
しかし、ここで満足してはいけません。より力強い血流を目指しましょう。
- 好業績が続けば、金利引き下げなどの「条件交渉」も可能です。
- 複数の銀行とプロパー取引を行うことで、金利競争を促し、リスクを分散させます。
- 最新制度「協調支援型特別保証制度」を活用しましょう。これは、保証付き融資とプロパー融資をセットで利用することで、保証料が割引になる国の制度です。プロパーへの移行を、国が後押ししてくれているのです。
よくある質問(FAQ)
Q: 個人事業主でもプロパー融資は受けられますか?
A: はい、可能です。ただし、法人以上に「事業と個人の区別」が厳しく見られます。確定申告書の内容はもちろん、事業主であるあなた個人の信用力が、そのまま審査に直結します。ハードルは法人同様、非常に高いと考えてください。
Q: 赤字決算だと絶対にプロパー融資は無理ですか?
A: 「絶対」ではありません。例えば、将来のための大規模な先行投資による一時的な赤字で、その理由と黒字化への道筋を合理的に説明できれば、可能性はあります。しかし、2期連続の赤字は極めて厳しい、というのが私の現場感覚です。
Q: 創業して1年ですが、プロパー融資は可能ですか?
A: 非常に困難です。銀行は最低でも2〜3期分の決算実績という「歴史」を見て、あなたの会社を判断したいのです。焦らず、まずは日本政策金融公庫の「新創業融資制度」や、お住まいの地域の制度融資(保証協会付き)の活用を強くおすすめします。
Q: ビジネスローン(ノンバンク)との違いは何ですか?
A: 最大の違いは「金利」と「信用力への影響」です。ビジネスローンは審査が早く借りやすいですが、金利は年10%を超えることも珍しくありません。プロパー融資は低金利ですが審査は厳格です。
そして何より、ノンバンクからの借入は、銀行からの評価を下げる要因になり得ます。安易な利用は、将来のプロパー融資への道を遠ざける可能性があることを、どうか忘れないでください。
まとめ:あなたの会社の「本当の価値」を、銀行に伝えにいこう
ここまで、本当にお疲れ様でした。
プロパー融資が、単なる資金調達の一手法ではないことが、お分かりいただけたでしょうか。
それは、あなたの会社が「社会的な信用」を勝ち取り、経営者であるあなたが「胸を張れる自信」を手に入れるための、尊い挑戦なのです。
この記事を読み終えたあなたに、私から最初の一歩をご提案します。



まず、机の引き出しから、あなたの会社の決算書をもう一度取り出してみてください。
そこに並ぶ数字は、もはや無機質なものではないはずです。
あなたの戦いの軌跡であり、未来への可能性そのものです。
次に、メインバンクの担当者の顔を思い浮かべてください。
そして、電話をかけて、こう言うのです。
「いつもお世話になっております。うちの会社の今後のことで、少しご相談に乗っていただけませんか?」と。
それが、すべての始まりです。
もしあなたが私の地元、埼玉県で事業を営んでいるなら、県や市町村が提供する手厚い制度融資や、埼玉りそな銀行、武蔵野銀行といった地域に根差した金融機関の力も、ぜひ頼ってください。
あなたの会社の「血流」は、もっと力強く、もっと温かくなれる。
私は、あなたの挑戦を、心から応援しています。


🔄 明日の資金繰りを今日解決する最短ルート
┗ 最短3時間での資金調達を実現
┗ キャッシュフロー改善に特化した専門提案
┗ 経営危機を未然に防ぐ資金戦略サポート
【売掛金を即現金化】ファクタリングで資金繰りの不安を解消