「銀行融資の審査に通らない…」「保証人がいない…」
元銀行員として数々の融資審査を担当した私には、その悩みが痛いほどわかります。
決算書の数字だけで判断され、事業の将来性や情熱が評価されない悔しさ。多くの中小企業経営者が同じ壁にぶつかるのを見てきました。
佐藤 真由美しかし、もし担保や保証人に頼らず、あなたの会社を応援したい人から直接、温かい資金を調達できる方法があるとしたら、知りたくありませんか?
それが「少人数私募債」です。銀行融資が外部からの「輸血」なら、私募債は応援団からの「献血」。資金繰りを劇的に改善する、全く新しい選択肢です。
【この記事の結論】少人数私募債とは?要点をひとまとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 概要 | 会社が「49名以下」の役員や取引先といった縁故者に限定して発行する社債のこと。銀行を介さない「直接金融」の一種。 |
| 主なメリット | 担保・保証人が原則不要で、銀行融資より迅速な資金調達が可能。返済期間や利率を柔軟に設定できる。 |
| 主なデメリット | 満期時に元本を一括で返済する必要がある。引受先(購入者)を自力で見つける必要がある。 |
| 発行の条件 | ・発行できるのは株式会社のみ ・募集人数は49名以下 ・発行総額は1億円未満 |
| 発行手続き | 取締役会での決議を経て、事業計画書や募集要項を作成し、引受人を募集する流れが一般的。 |
本文では、これらのポイントや具体的な発行手順、税務上の注意点などを元銀行員の視点から詳しく解説します。


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そもそも少人数私募債とは?銀行融資との根本的な違い
まず、この「少人数私募債」が一体何なのか、その本質からお話しします。
銀行融資との一番の違いは、お金の流れの源流にあります。
直接金融と間接金融という大きな違い
銀行の窓口で融資の相談をしている時、そのお金が「誰の」お金か、意識したことはありますか?
銀行融資は、私たちが預けた預金などを銀行が集め、その資金を企業に貸し出す「間接金融」です。
そこには必ず「銀行」というフィルターが存在します。
いわば、血液センターから供給される「輸血」です。
もちろん不可欠ですが、そこには手続きや審査という、ある種の冷たさが伴います。
一方で、少人数私募債は、あなたの会社を応援したいと考えている身近な人々(縁故者)から、直接お金を預かる「直接金融」です。
あなたの事業への情熱や将来性を信じてくれる人から、直接、温かい血液を分けてもらう「献血」と言えるでしょう。
この「顔の見える関係性」こそが、私募債の最大の特徴です。
少人数私募債が発行できる企業の条件
この「献血」のような資金調達は、どんな企業でもできるわけではありません。
いくつかの基本的なルールがあります。
- 発行できるのは「株式会社」のみ
- 残念ながら、個人事業主の方は発行できません。
- 募集できる相手の人数は「49名以下」
- 50名以上になると「公募」となり、金融商品取引法の厳しい規制対象となります。
- 発行総額は「1億円未満」
- これを上回る場合も、規制が複雑になります。
- 社債1口の金額は、発行総額を募集人数で割った金額が100万円以上になるように設定
- これは、専門知識のない一般投資家を保護するためのルールです。
- 譲渡制限を設ける
- 社債を自由に売買できないように制限をかけ、縁故者というクローズドな関係を維持します。
これらの条件は、中小企業が身近な支援者から応援してもらうための、いわば「身の丈にあったルール」なのです。



社債については「上場企業だけの話じゃない?社債発行での資金調達メリットと注意点」の記事でも詳しく解説してますので、よかったら見てみてください。
【元銀行員が徹底比較】少人数私募債と銀行融資、どちらを選ぶべきか
銀行の融資担当だった頃、私は稟議書という分厚い書類の山と毎日向き合っていました。
そこにあるのは、決算書の数字、担保評価額、保証人の資産背景…。
経営者様の「想い」を書き込む欄は、どこにもありませんでした。
その経験から、両者の違いを肌感覚でお伝えします。
審査・担保・保証人の違い
銀行融資
冷たい会議室の空気の中、厳しい目で審査されます。
「この会社は、貸したお金を本当に返せるのか?」という一点を、過去の数字(決算書)と物的証拠(担保・保証人)で判断します。
未来への熱いビジョンを語っても、数字という「過去」が基準になるのが現実です。
少人数私募債
原則として、審査・担保・保証人は不要です。
なぜなら、判断基準が「過去の数字」ではなく「未来への信頼」だからです。
あなたの事業計画、人柄、そして情熱を、引受人(お金を出してくれる人)が直接判断し、「この人を応援したい」と思えば成立します。
返済方法と資金繰りへの影響の違い
これは、経営者様にとって最も重要な違いかもしれません。
銀行融資
多くは「毎月元利均等返済」です。
利益が出ている月も、厳しい月も、容赦なく返済日がやってきます。
この毎月の返済が、まるで心臓を締め付けるように資金繰りを圧迫する感覚は、多くの経営者様が経験しているはずです。
少人数私募債
「満期一括償還」が可能です。
これは、期間中は利息のみを支払い、元本は満期日(例:3年後、5年後)に一括で返済する方法です。
期間中のキャッシュフローが劇的に改善し、事業投資に集中できます。
毎月の返済に追われる息苦しさから解放され、事業の成長エンジンを全力で回せるのです。
▼ キャッシュフロー比較(300万円を3年で調達した場合のイメージ)
| 銀行融資(元利均等) | 少人数私募債(満期一括) | |
|---|---|---|
| 期間中の返済 | 毎月、元本+利息 | 毎月、利息のみ |
| 資金繰り | 常に返済額を確保する必要あり | 手元資金に余裕が生まれる |
| 満期時の返済 | 0円 | 300万円 |
金利とコストの違い
銀行融資
金利は低い傾向にありますが、忘れてはならないのが「信用保証料」です。
これは、万が一返済できなくなった場合に保証協会に肩代わりしてもらうための保険料で、実質的なコストを押し上げます。
少人数私募債
利率は会社が自由に設定できますが、一般的に年利2.0%〜5.0%程度が相場です。
これは、引受人にとっては銀行預金より魅力的で、会社にとってはビジネスローンより低い、双方にメリットのある水準です。
保証料などの諸経費はかかりません。
トータルコストで比較すると、私募債の方が有利になるケースも少なくないのです。
中小企業が少人数私募債を活用する5つのメリット
では、具体的にどのようなメリットがあるのか、コンサルティングの現場で見てきた事例も交えて5つに整理します。
メリット1. 柔軟な発行条件と迅速な資金調達
償還期間(3年、5年など)や利率を、引受人と相談しながら比較的自由に設計できます。
そして何より、スピードが速い。
銀行融資のように、申し込みから審査、契約、着金まで1ヶ月以上かかることはありません。
取締役会などで決議すれば、最短で数週間での資金調達も可能です。
メリット2. 経営の自由度を維持できる
株式を発行して資金を集める「増資」とは違い、社債はあくまで「借入」です。
引受人に経営権を握られる心配はありません。



銀行員時代、融資の条件として経営改善計画の提出を求め、実質的に経営に口を出すケースも見てきました。
私募債は、経営の独立性を保ちながら資金を調達できる貴重な手段です。
メリット3. 企業の信用力向上につながる
「身近な支援者から、担保も保証もなしにお金を集められた」
この事実は、金融機関や取引先に対して絶大な信用の証となります。
実際に、私が支援した埼玉県の製造業の会社では、私募債を発行した実績が銀行に評価され、それまで難しかった追加融資の道が開けたという事例があります。
メリット4. 応援してくれるファン(社債権者)が増える
引受人は、単なる資金の提供者ではありません。
あなたの会社の事業を深く理解し、成功を願う「応援団」であり、「ファン」です。
取引先が引き受ければ、関係はより強固になります。
従業員が引き受ければ、経営への参画意識が高まります。
お金以上の、かけがえのない資産を手に入れることができるのです。
メリット5. 銀行の融資枠を温存できる
いざという時のために、銀行からの融資枠はできるだけ残しておきたいもの。
私募債で資金を調達しておくことで、本当に不測の事態が起きた時に、銀行融資という「切り札」を使える余裕が生まれます。
これは、会社の未来を守るための、非常に戦略的な一手と言えます。
発行前に必ず確認すべき3つのデメリットと注意点
もちろん、良いことばかりではありません。
元融資担当として、計画の甘さが招いた悲劇も見てきました。
必ず、以下の点を肝に銘じてください。
デメリット1. 満期時に一括償還の資金が必要
これが最大のデメリットであり、最大の注意点です。
期間中の資金繰りが楽になる分、満期日には約束した元本を全額返済する義務があります。
「まだ数年先だから大丈夫」と安易に考え、償還資金を準備できずに満期を迎えてしまう…。
そうなれば、応援してくれた支援者の信頼を裏切る、最悪の結果になります。
満期というゴールから逆算し、計画的に資金を積み立てる強い意志が不可欠です。
デメリット2. 引受先を自力で見つける必要がある
銀行保証付の私募債とは違い、お金を出してくれる相手を自分で探さなければなりません。
あなたの事業の魅力を、あなたの言葉で伝え、信頼を勝ち取る必要があります。
これは簡単なことではありません。
経営者の人間力そのものが問われる、厳しいプロセスでもあります。
注意点3. 信頼関係の構築と情報開示が不可欠
縁故者という「身内」だからこそ、甘えは許されません。
事業計画の丁寧な説明はもちろん、発行後も定期的に業績を報告し、コミュニケーションを取り続けることが極めて重要です。
「応援してよかった」と思ってもらえるか、それとも「騙された」と思われてしまうか。
それは、あなたの誠実な情報開示にかかっています。
少人数私募債の発行手続き完全ガイド【5ステップ】
では、実際に発行する際の手続きの流れを、5つのステップで解説します。
これは、支援者への「約束」を形にするための、大切な儀式です。
ステップ1:発行条件の決定と事業計画書の作成
まず、社債の設計図を作ります。
- 発行総額:いくら必要なのか
- 利率:支援者にどれだけのリターンを約束するのか
- 償還期間:何年で返すのか
- 利払日:いつ利息を支払うのか
これらを決め、なぜ資金が必要で、それをどう事業に活かし、どうやって返済するのかを記した「事業計画書」を作成します。



融資審査の視点から言えば、ここが最も重要です。
夢を語るだけでなく、現実的な数字の裏付けが、相手の心を動かします。
ステップ2:取締役会(または株主総会)での決議
社債の発行は、会社の重要な意思決定です。
会社法に基づき、取締役会(設置していない場合は株主総会)で正式に決議し、その証拠として「議事録」を作成・保管(10年間)する義務があります。
ステップ3:引受人の募集と交渉
ここからが、あなたの情熱を伝えるステージです。
役員、従業員、取引先、知人といった縁故者に対し、作成した事業計画書をもとに直接説明し、引受をお願いします。
【最重要注意点】
ウェブサイトなどで不特定多数に募集を呼びかけることは絶対にやめてください。
それは「公募」とみなされ、金融商品取引法違反に問われる可能性があります。
あくまで、個別の信頼関係に基づいて直接交渉することが鉄則です。
ステップ4:申込受付と金銭の受領
引受の合意が得られたら、「社債申込証」に必要事項を記入・捺印してもらい、受け取ります。
その後、指定の口座に申込金額を振り込んでもらいます。
これで、温かい血液があなたの会社に流れ込みます。
ステップ5:社債原簿の作成と管理
最後に、誰が、いつ、いくらの社債を引き受けたのかを記録した「社債原簿」を作成し、会社で厳重に保管します。
これは、利払いや償還が完了するまで続く、支援者への責任の証です。
忘れずに、正確に管理しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q: 少人数私募債の利率(金利)は、どのくらいが相場ですか?
A: 法的な決まりはありませんが、一般的には年利2.0%~5.0%程度で設定されることが多いです。銀行の定期預金金利よりは高く、ビジネスローンの金利よりは低く設定することで、発行企業と引受人の双方にメリットがある水準を目指します。元銀行員の視点から見ても、この範囲が妥当なラインです。
Q: 誰が少人数私募債を購入できますか?
A: 役員や従業員、その家族、取引先、知人といった縁故者が中心となります。ただし、銀行や証券会社などの「適格機関投資家」を含めることはできません。あくまで会社の事業を理解し、応援してくれる身近な関係者が対象です。
Q: 赤字決算でも発行は可能ですか?
A: 可能です。銀行融資と違い、過去の決算内容だけで判断されるわけではありません。しかし、赤字の理由と今後の改善策を明確に示した、説得力のある事業計画書が不可欠です。なぜ今資金が必要で、それをどう活かして黒字化するのかを、引受人に納得してもらう必要があります。
Q: 税務上の注意点はありますか?
A: 支払う利息は、会社の経費(損金)として計上できます。一方、利息を受け取った個人は利子所得となり、原則として20.315%の源泉分離課税の対象となります。ただし、同族会社の役員などが受け取る場合は総合課税となるなど例外もあるため、必ず専門の税理士に相談することをお勧めします。
Q: 償還のためのお金は、どうやって準備すれば良いですか?
A: 満期までの期間、毎月または毎年、計画的に利益から積み立てていくのが基本です。コンサルタントとしては「償還用積立金」などの勘定科目を設け、資金を別管理することを強くお勧めします。また、償還のタイミングに合わせて新たな銀行融資(借換え)を検討するのも一つの戦略です。
まとめ:あなたの会社に「温かい血液」を巡らせるために
今回は、中小企業の新たな資金調達の選択肢として「少人数私募債」を、元銀行員の視点も交えて解説しました。
銀行融資とは異なり、審査や担保が不要で、柔軟な条件設定が可能という大きなメリットがあります。
一方で、満期一括償還という、高い計画性が問われる側面も持ち合わせています。
まさに「キャッシュは企業の血液」です。



少人数私募債は、あなたの会社の事業を深く理解し、心から応援してくれる方々から、温かい血液を直接供給してもらうようなもの。
それは、単なる運転資金以上の、未来を切り拓くエネルギーになるはずです。
この制度を正しく理解し、自社の財務戦略の一つとして検討することで、あなたの会社の成長はさらに加速するでしょう。
まずは、あなたの会社の状況を分析し、この「温かい献血」という選択肢を、一度シミュレーションしてみてはいかがでしょうか。


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