MENU

返済不要の「資本性劣後ローン」とは?中小企業が活用するメリットと審査の壁

元銀行員で、現在は中小企業の経営アドバイザーとして活動する佐藤真由美です。

銀行で融資審査を担当していた頃、「あと少し自己資本が厚ければ、この会社は救えたのに…」という場面を何度も見てきました。

佐藤 真由美

借入なのに自己資本とみなされる「資本性劣後ローン」は、まさにそんな中小企業の財務を劇的に改善する可能性を秘めた制度です。

しかし、その特殊な性質と審査の厳しさから、活用しきれていない経営者が多いのも事実です。

この記事では、元銀行員の視点から、資本性劣後ローンの本当のメリットと、誰もがぶつかる「審査の壁」を乗り越えるための具体的なポイントを、実践的なノウハウを交えて徹底解説します。

【この記事の結論】資本性劣後ローンとは?3つのポイント

項目結論
どんな融資?借入金でありながら、金融機関の評価上は「自己資本」とみなされる特殊なローン。財務体質を改善し、追加融資の可能性を高めます。
最大のメリットは?期間中は利息のみの支払いでOK(元金は満期に一括返済)。毎月の資金繰りが楽になり、事業投資に資金を回せます。
注意点は?審査が非常に厳しく、「事業計画書」の質が最重要。また、満期時に元金を一括返済するための長期的な資金計画が不可欠です。

🔄 明日の資金繰りを今日解決する最短ルート

┗ 最短3時間での資金調達を実現
┗ キャッシュフロー改善に特化した専門提案
┗ 経営危機を未然に防ぐ資金戦略サポート

【売掛金を即現金化】ファクタリングで資金繰りの不安を解消

🛡️この記事の監修者(運営会社・税理士による共同監修)

株式会社ウェブブランディング(運営会社)

資金繰り関連情報の総合的な監修を行い、正確で信頼性の高い情報提供を実現しています。

目次

資本性劣後ローンとは?通常の融資との決定的違い

資本性劣後ローンとは、借入金でありながら金融機関の審査において「自己資本」とみなされる、非常に特殊な融資制度です。通常の銀行融資が会計上「負債」として扱われるのに対し、この制度は企業の財務体質を根本から改善する力を持っています。

日本政策金融公庫が提供する「挑戦支援資本強化特別貸付」が代表例です。新規事業や事業再生に取り組む中小企業の財務基盤を強化するために設計された、まさに「財務の特効薬」と言える制度です。

「資本性」と「劣後性」2つのキーワードを理解する

資本性劣後ローンを理解するには、「資本性」と「劣後性」という2つのキーワードが鍵となります。
まず「資本性」について説明しましょう。

会計上は負債として計上されるものの、金融機関の信用格付けにおいては「自己資本」として評価されるという特徴があります。これは、返済期限が5年以上と長期であることや、期限前返済が原則としてできないなど、資本に近い性質を持つためです。

銀行員時代、私は決算書を見る際に、この資本性劣後ローンがあるかどうかを必ずチェックしていました。なぜなら、これがあるだけで企業の財務安定性に対する評価が大きく変わるからです。

次に「劣後性」です。
これは、法的倒産手続きの開始決定が裁判所によってなされた場合、全ての債務(償還順位が同等以下とされているものを除く)に劣後する、つまり返済順位が最も後回しになるという意味です。

貸し手にとっては非常にリスクの高い融資です。しかし、借り手にとっては、この「劣後性」こそが、限りなく資本に近い安心感を生み出す源泉となっているのです。

資本性劣後ローンの2つの特徴

なぜ「返済不要」と言われる?期限一括返済の仕組み

「資本性劣後ローンは返済不要」という噂を耳にしたことがあるかもしれません。しかし、これは正確な表現ではありません。正しくは、「期間中は元金の返済が不要」という意味です。

資本性劣後ローンは、期限一括返済という特殊な返済方法を採用しています。これは、融資期間中は利息のみを支払い、元金は満期日に一括で返済するという仕組みです。

例えば、3,000万円を10年間の資本性劣後ローンで借りた場合を想像してください。通常の融資であれば、毎月元金と利息を合わせて数十万円を返済しなければなりません。しかし、資本性劣後ローンなら、期間中は利息のみの支払いで済むため、毎月のキャッシュアウトを大幅に抑えることができます。

これが「実質的に返済負担がない」と言われる理由です。ただし、10年後の満期日には、3,000万円という元金を一括で返済する必要があります。この点を見落としてはいけません。

長期的な資金計画を立て、満期日に向けて返済原資を確保していく戦略が不可欠です。

【比較表】資本性劣後ローン vs 通常の銀行融資

資本性劣後ローンと通常の銀行融資の違いを、一覧表で整理してみましょう。

項目資本性劣後ローン通常の銀行融資
会計上の扱い負債として計上(ただし金融機関は自己資本と評価)負債として計上
倒産時の弁済順位劣後する(最後)他の債務と同順位
返済方法期限一括返済(期間中は利息のみ)毎月元利均等返済など
金利業績連動型(赤字時0.5%、黒字時3%台)固定または変動(0.9%~3.5%程度)
担保・保証人原則不要担保または保証人が必要
審査の厳しさ非常に厳しい(事業計画書が重視される)厳しい(過去の実績が重視される)
返済の柔軟性融資後5年間は繰り上げ返済不可期限に関わらず繰り上げ返済可能

銀行員の視点から言えば、資本性劣後ローンは「企業の未来への投資」として評価されます。通常の融資が「過去の実績」を重視するのに対し、資本性劣後ローンは「これからの成長可能性」を見るのです。

だからこそ、審査では事業計画書の質が決定的に重要になります。

中小企業が資本性劣後ローンを活用する5つのメリット

資本性劣後ローンには、通常の融資にはない独自のメリットが数多くあります。ここでは、中小企業が特に注目すべき5つのメリットを、元銀行員の視点から深掘りして解説します。

メリット1:自己資本比率が改善し、追加融資の道が開ける

最大のメリットは、何と言っても「自己資本とみなされる」という点です。自己資本比率は、企業の財務健全性を測る最も重要な指標の一つです。

佐藤 真由美

銀行員時代、私は融資審査の際に、必ず自己資本比率をチェックしていました。一般的に、自己資本比率が20%を下回ると、追加融資のハードルは一気に高くなります。10%を下回れば、ほぼ融資は難しいと言わざるを得ません。

しかし、資本性劣後ローンを活用すれば、この状況を劇的に改善できます。

例えば、総資産1億円、負債9,000万円、自己資本1,000万円(自己資本比率10%)の企業があるとしましょう。この企業が3,000万円の資本性劣後ローンを借り入れると、金融機関の評価上は自己資本が4,000万円に増加します。すると、自己資本比率は約31%にまで改善されるのです。

この変化は、銀行の見る目を一変させます。

「債務超過でも、これを使えば銀行の見る目が変わる」

これは、私がコンサルタントとして支援した企業の経営者が実際に口にした言葉です。財務体質が改善されることで、他の金融機関からの追加融資も引き出しやすくなり、事業拡大のチャンスが大きく広がります。

メリット2:毎月の資金繰りが劇的に楽になる(元金返済不要)

期間中の返済が利息のみであることのインパクトは、想像以上に大きいものです。具体的な数値例で、そのインパクトを実感してみましょう。

【シミュレーション】3,000万円を借り入れた場合の月次キャッシュフロー比較

通常の銀行融資の場合(10年返済、金利2.0%)

  • 毎月の返済額:約276,000円(元金+利息)
  • 年間の返済額:約3,312,000円

資本性劣後ローンの場合(10年返済、金利2.0%と仮定)

  • 毎月の返済額:約50,000円(利息のみ)
  • 年間の返済額:約600,000円

その差は、年間で約270万円にもなります。

この270万円を、設備投資や人材採用、マーケティング費用に回すことができれば、企業の成長スピードは大きく加速するでしょう。資金繰りに追われることなく、本業に集中できる。これこそが、資本性劣後ローンが中小企業にもたらす最大の価値の一つです。

メリット3:業績が悪化した時ほど金利負担が軽くなる

資本性劣後ローンには、業績連動金利という独特の仕組みがあります。日本政策金融公庫の「挑戦支援資本強化特別貸付」を例に見てみましょう。

貸付後1年ごとに、直近決算の業績に応じて、次の2区分の利率が適用されます。

  • 税引後当期純利益額が0円以上(黒字)の場合:3.25%~3.95%(返済期間により異なる)
  • 税引後当期純利益額が0円未満(赤字)の場合:0.50%

この仕組みの素晴らしい点は、経営が苦しい時期にこそ金利負担が軽くなるという点です。赤字の時には年0.5%という非常に低い金利で資金を借りられるため、経営再建に集中できます。

そして、業績が回復し黒字化した後に、相応の金利を支払うという「応能負担」の考え方が採用されているのです。これは、まさに中小企業のセーフティネットとして機能する制度設計と言えるでしょう。

メリット4:無担保・無保証人で申請できる(経営者の個人保証が不要)

中小企業の経営者にとって、個人保証は大きな心理的負担です。銀行員時代、私は何度も経営者が個人保証に躊躇する姿を見てきました。

「会社が倒れたら、自宅も失うのか…」

そんな不安が、新たな挑戦への一歩を踏み出すことを妨げているケースは少なくありません。しかし、資本性劣後ローンは原則として無担保・無保証人で申請できます。

これにより、経営者が個人資産のリスクを負わずに、大型の資金調達に挑戦できるのです。特に、日本政策金融公庫などの政府系金融機関が提供する制度では、この条件が明確に定められています。

もちろん、その分審査は厳しくなります。しかし、事業の将来性を信じて挑戦する経営者にとって、個人保証が不要であることは、大きな安心材料となるはずです。

メリット5:事業再生や新規事業への挑戦の起爆剤になる

財務基盤が安定することで、思い切った事業投資や、事業再生計画の実行が可能になります。

佐藤 真由美

私がコンサルタントとして支援したある製造業の企業は、リーマンショック後の業績悪化で債務超過に陥っていました。しかし、資本性劣後ローンを活用して財務体質を改善したことで、新規設備への投資が可能になり、新たな取引先を開拓することに成功しました。その結果、3年後には黒字化を達成し、現在では地域を代表する優良企業へと成長しています。

資本性劣後ローンは、単なる資金調達手段ではありません。企業の未来を切り開くための「起爆剤」なのです。

【元銀行員が解説】資本性劣後ローンのデメリットと「審査の壁」

メリットばかりに目を奪われてはいけません。資本性劣後ローンには、いくつかの重要なデメリットと、高い「審査の壁」が存在します。

ここでは、元銀行員の視点から、その実態を包み隠さずお伝えします。

デメリット1:通常の融資より審査が格段に厳しい理由

資本性劣後ローンの審査が厳しい理由は、貸し手(銀行)から見れば、回収リスクが非常に高い融資だからです。倒産した場合、返済順位が最も後回しになるため、回収できない可能性が高いのです。

だからこそ、金融機関は「この企業は本当に成長できるのか」「事業計画は実現可能なのか」を、通常の融資以上に厳しく見極める必要があります。

銀行員時代、私は資本性劣後ローンの審査に携わったことがありますが、通常の融資審査の2倍以上の時間をかけて、事業計画書を精査していました。売上の伸び率だけでなく、その根拠となる具体的なアクションプラン、資金繰り計画の実現可能性、経営者の資質まで、あらゆる角度から評価します。

審査を通過するには、「過去の実績」よりも「未来への道筋」を、具体的かつ説得力を持って示すことが不可欠です。

デメリット2:業績好調時には金利が高くなる可能性がある

メリットの裏返しとして、黒字化すると金利が上昇する点に注意が必要です。日本政策金融公庫の制度では、黒字時の金利は3.25%~3.95%と、決して低くはありません。

業績が回復し、ようやく息をつけると思った矢先に、今度は高い金利負担がのしかかってくる。これは、「儲かっているなら、その分しっかり利息を払ってください」という応能負担型の考え方に基づいています。

長期的な金利負担が過大になるリスクについて、事前にシミュレーションしておくことが重要です。特に、返済期間が15年、20年と長期になる場合、累積の利息負担は相当な金額になります。

黒字化した後の金利負担も含めて、トータルでの資金計画を立てることを強くお勧めします。

デメリット3:期限到来時の「一括返済」に備える必要がある

満期時に巨額の返済資金が必要になるリスクは、決して軽視できません。例えば、5,000万円を10年間の資本性劣後ローンで借りた場合、10年後には5,000万円という元金を一括で返済しなければなりません。

「10年後のことなんて、今は考えられない」

そう思う気持ちは分かります。しかし、10年という時間はあっという間に過ぎ去ります。満期日が近づいてから慌てて資金を工面しようとしても、手遅れになる可能性が高いのです。

返済原資をどう確保していくか、長期的な資金計画の重要性を、私は何度も強調したいと思います。
具体的には、以下のような戦略が考えられます。

  • 毎年の利益の一部を、返済準備金として積み立てる
  • 満期日の2~3年前から、借り換えや追加融資の相談を金融機関と始める
  • 事業の成長により、満期日までに十分なキャッシュを蓄積する

いずれにせよ、「満期日は必ず来る」という事実を忘れてはいけません。

【最重要】審査を突破する事業計画書の作り方

審査の核心は、事業計画書です。銀行員時代、私は融資審査担当者として、数え切れないほどの事業計画書を見てきました。審査を通過する計画書と、そうでない計画書には、明確な違いがあります。

ここでは、私が融資審査担当者として「どこを見ていたか」を、具体的にお伝えします。

1. 売上の伸び率だけでなく、その根拠となる具体的なアクションプランがあるか

「今後5年間で売上を2倍にします」という目標だけでは不十分です。「どの市場に」「どのような商品・サービスで」「どのような販売戦略で」攻めるのか。

そして、それが「なぜ実現可能なのか」を、客観的なデータと具体的な行動計画で示す必要があります。

2. 資金繰り計画の実現可能性が高いか

売上計画だけでなく、キャッシュフロー計画も重要です。売上が上がっても、入金までのタイムラグで資金ショートを起こしては意味がありません。月次のキャッシュフロー計画を作成し、資金繰りの安全性を示してください。

3. 経営者の資質と熱意が伝わるか

数字だけでなく、「人」も見ています。これまでのキャリアで培った専門知識、業界での人脈、そして何よりも「この事業で社会をこう変えたい」という熱意。それらが、事業計画書から伝わってくるかどうかが、審査の分かれ目になります。

4. 楽観シナリオだけでなく、悲観シナリオも用意されているか

「売上が計画通りに進まなかった場合、どうするのか」

この問いに対する答えを用意しておくことが重要です。最悪の事態を想定し、それでも返済が可能であることを示せれば、審査担当者の信頼を大きく得ることができます。

事業計画書の作成は、決して簡単な作業ではありません。しかし、ここに時間と労力を注ぐことが、審査突破への最短ルートなのです。

日本政策金融公庫の資本性劣後ローン申請から実行までの流れ

実際に資本性劣後ローンを申請する際の流れを、日本政策金融公庫の「挑戦支援資本強化特別貸付」を例に解説します。

対象となる企業と主な融資条件

日本政策金融公庫の資本性劣後ローンの対象となるのは、以下の条件を満たす企業です。

対象者

新規事業、経営改善、企業再建などに取り組む方であって、地域経済の活性化のために、一定の雇用効果(新たな雇用または雇用の維持)が認められる事業、地域社会にとって不可欠な事業、技術力の高い事業などに取り組む方。

具体的には、新企業育成貸付、企業活力強化貸付(一部の制度を除く)または企業再生貸付(一部の制度を除く)の適用要件を満たす方が対象となります。

主な融資条件

  • 融資限度額:1社あたり15億円
  • 返済期間:5年1ヵ月または6年から20年までの各年(期限一括償還)
  • 担保・保証人:無担保・無保証人
  • 金利:業績連動型(赤字時0.5%、黒字時3.25%~3.95%)
佐藤 真由美

ただし、民間金融機関からの支援を受けて事業計画書を策定している場合など、一定の要件を満たす方については、融資後3年間は0.50%が適用される特例措置もあります。

相談から融資実行までの4ステップ

資本性劣後ローンの申請から融資実行までは、以下の4つのステップで進みます。

ステップ1:事前相談

まずは、日本政策金融公庫の支店窓口に相談しましょう。自社が対象となるか、どの程度の金額を借りられるか、必要な書類は何かなど、基本的な情報を確認します。

この段階で、認定支援機関(税理士、中小企業診断士など)に相談することも強くお勧めします。専門家のサポートを受けることで、審査通過の可能性が大きく高まります。

ステップ2:必要書類の準備

事業計画書、決算書、試算表など、必要な書類を準備します。特に事業計画書は、審査の核心となる最重要書類です。時間をかけて、丁寧に作り込んでください。

ステップ3:申込・面談

必要書類を提出し、正式に申込を行います。その後、融資担当者との面談が行われます。面談では、事業計画の内容について詳しく質問されます。

数字の根拠、実現可能性、経営者の熱意など、あらゆる角度から評価されますので、しっかりと準備して臨んでください。

ステップ4:審査・融資実行

審査には、通常の融資よりも時間がかかります。事業計画書の策定に時間がかかること、審査が慎重に行われることから、相談から実行まで2~3ヶ月以上かかることも珍しくありません。

審査を通過すれば、融資が実行されます。ただし、本制度は取扱額に限りがあり、要望に沿えない場合もあることを理解しておいてください。

申請に必要な書類一覧と準備のポイント

資本性劣後ローンの申請に必要な主な書類は、以下の通りです。

必須書類

  • 事業計画書(今後10年間程度の計画)
  • 直近2期分の決算書(法人の場合)または確定申告書(個人事業主の場合)
  • 最新の試算表
  • 商業登記簿謄本(法人の場合)
  • 納税証明書

その他、求められる可能性のある書類

  • 資金繰り表
  • 設備投資計画書
  • 許認可証のコピー(許認可事業の場合)

この中で、私が最も重要視するのは、やはり事業計画書です。事業計画書には、以下の内容を盛り込むことをお勧めします。

  • 事業の概要と強み
  • 市場環境と競合分析
  • 具体的な成長戦略
  • 売上・利益計画(月次・年次)
  • キャッシュフロー計画
  • 資金使途の詳細
  • 返済計画
  • リスクと対応策

これらを、具体的な数字と根拠を持って示すことが、審査突破の鍵となります。

よくある質問(FAQ)

資本性劣後ローンについて、経営者の方からよく寄せられる質問に、元銀行員の視点からお答えします。

Q: 赤字決算や債務超過でも、資本性劣後ローンは利用できますか?

A: 可能性は十分にあります。資本性劣後ローンは、まさにそうした財務状況が悪化した企業の事業再生を支援するための制度です。ただし、赤字の理由と今後の改善策を明確に示した、説得力のある事業計画書が不可欠です。

元銀行員の視点から言えば、過去の数字よりも「未来への道筋」を重視します。「なぜ赤字になったのか」「どうすれば黒字化できるのか」を、具体的な行動計画とともに示すことができれば、審査を通過する可能性は十分にあります。

Q: 金利は具体的にどのくらいになりますか?

A: 日本政策金融公庫の制度では、赤字の場合は年0.5%など非常に低い金利が適用されることが多いです。黒字になると業績に応じて段階的に金利が上昇し、3%台になることもあります。業績に連動するため、一概には言えませんが、経営が苦しい時の負担は軽いのが特徴です。

また、民間金融機関からの支援を受けて事業計画書を策定している場合など、一定の要件を満たす方については、融資後3年間は0.50%が適用される特例措置もあります。

Q: 融資実行まで、どのくらいの期間がかかりますか?

A: ケースバイケースですが、通常の融資よりも時間がかかる傾向にあります。事業計画書の策定に時間がかかること、審査が慎重に行われることから、相談から実行まで2~3ヶ月以上かかることも珍しくありません。

早めに専門家や金融機関に相談することをおすすめします。特に、事業計画書の作成には、最低でも1ヶ月程度の時間を見ておくべきでしょう。

Q: 途中で繰り上げ返済はできますか?

A: 制度によりますが、多くの場合、借入後一定期間(例:5年)は繰り上げ返済ができないなどの制約があります。これは、長期的に自己資本を安定させるというローンの趣旨によるものです。

契約前に条件をしっかり確認することが重要です。資本性劣後ローンは、短期的な資金繰り改善ではなく、長期的な財務体質強化を目的とした制度であることを理解しておいてください。

Q: 認定支援機関のサポートは必須ですか?

A: 必須ではありませんが、利用を強く推奨します。特に事業計画書の策定において、専門家の客観的な視点や知見を取り入れることで、審査通過の可能性が大きく高まります。銀行も、専門家の支援を受けている企業を高く評価する傾向があります。

私自身、コンサルタントとして多くの企業の事業計画書作成を支援してきましたが、専門家のサポートを受けた企業の審査通過率は、そうでない企業と比べて明らかに高いと実感しています。

まとめ

資本性劣後ローンは、単なる資金調達手段ではありません。これは、企業の財務体質を根本から改善し、未来への投資を可能にする「財務の特効薬」です。

佐藤 真由美

銀行員時代、私は「キャッシュは企業の血液」だと痛感してきました。このローンは、企業の血液であるキャッシュフローを安定させ、新たな挑戦への活力を与えてくれます。

もちろん、審査という高いハードルは存在します。しかし、自社の未来を具体的に描き、その実現可能性を情熱と数字で示すことができれば、道は必ず開けます。

この記事が、資金繰りに悩む経営者の皆様にとって、次の一歩を踏み出すための羅針盤となれば幸いです。

「自社でも資本性劣後ローンを活用できるか知りたい」「事業計画書の作り方に不安がある」そんな経営者の方は、ぜひ一度ご相談ください。元銀行員の視点と経営コンサルタントの経験から、あなたの会社の状況に合わせた最適な資金調達戦略を一緒に考えます。

🔄 明日の資金繰りを今日解決する最短ルート

┗ 最短3時間での資金調達を実現
┗ キャッシュフロー改善に特化した専門提案
┗ 経営危機を未然に防ぐ資金戦略サポート

【売掛金を即現金化】ファクタリングで資金繰りの不安を解消

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

はじめまして。「資金繰りベスト」ライターの佐藤真由美と申します。埼玉県さいたま市在住の45歳、中小企業の資金繰りと経営管理を専門とするファイナンシャルアドバイザー兼ライターです。

目次