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会社の通帳が一つだけ?今すぐ複数口座に分けるべき本当の理由

「会社の通帳、まさか一つにまとめていませんか?」

はじめまして。元銀行員で、現在は中小企業の経営アドバイザーとして活動しております、佐藤真由美と申します。

佐藤 真由美

銀行で融資審査を担当し、その後コンサルタントとして多くの企業の財務を見てきた経験から、冒頭の質問をさせていただきました。

利益は出ているはずなのに、なぜか手元にお金が残らない。納税時期になるといつも資金繰りに奔走してしまう。そんな悩みを抱える経営者の方に、これまで数多くお会いしてきました。その原因の多くは、実は「通帳が一つだけ」という、非常にシンプルな点にあります。

この記事では、なぜ今、会社の口座を複数に分けるべきなのか、その本当の理由を金融のプロの視点から徹底解説します。

【この記事の結論】法人口座は複数持つべき3つの理由

会社の銀行口座を一つにまとめていると、「どんぶり勘定」に陥りやすく、気づかぬうちに経営リスクを高めてしまいます。資金の流れを明確にし、会社を成長させるために、口座は目的別に複数持つことを強く推奨します。

  • 理由①:お金の流れを「見える化」できる
    「入金」「支払」「納税・未来投資」の3つに分けることで、今使えるお金将来のためのお金が明確になり、黒字倒産のリスクを防ぎます。
  • 理由②:銀行からの「信用力」が上がる
    目的別に整理された通帳は、経営者の高い資金管理能力を証明します。これは融資審査の際に決算書以上に雄弁なアピール材料となり、有利な条件を引き出しやすくなります。
  • 理由③:万が一の「リスク」に備えられる
    複数の銀行と取引することで、特定の銀行のシステム障害や破綻といった不測の事態から事業を守れます。また、預金保険制度(ペイオフ)の上限(1,000万円)を超える資金も保護できます。

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目次

なぜ、会社の通帳は「一つだけ」では危険なのか?元銀行員が語る3つの理由

理由1:どんぶり勘定に陥り、黒字倒産のリスクが高まる

「利益は出ているはずなのに、なぜか手元にお金がない」

これは、資金繰りに悩む経営者が必ずと言っていいほど口にする言葉です。その最大の原因は、一つの口座ですべての入出金を管理している「どんぶり勘定」にあります。

一つの口座では、性質の異なる以下のようなお金がすべて混在してしまいます。

  • 売上入金:お客様からの大切な入金
  • 経費支払:仕入、給与、家賃などの事業コスト
  • 納税資金:将来支払うべき税金のための資金
  • 未来投資資金:事業拡大や設備投資のための資金

これでは、今本当に使えるお金がいくらで、将来のために取っておくべきお金がいくらなのか、正確に把握することは困難です。

銀行員時代、私は売上も利益も順調に伸びていたにもかかわらず、突然資金がショートし、黒字倒産に追い込まれた企業を目の当たりにしました。原因は、売掛金の回収が遅れている間に、口座にあるお金を「すべて使えるお金」だと錯覚し、大型の設備投資を行ってしまったことでした。

もし、運転資金と投資資金の口座を分けていれば、このような悲劇は防げたはずです。「キャッシュは企業の血液」です。血液の流れが滞れば、どんなに健康に見える企業でも、突然死のリスクに晒されるのです。

理由2:融資審査で不利になる!銀行が見ている本当のポイント

「銀行は決算書だけを見ている」と思っていませんか?それは大きな誤解です。銀行が融資審査を行う際、決算書と同じくらい、あるいはそれ以上に重視するのが、通帳の「お金の流れ」です。

融資担当者は、最低でも過去6ヶ月から1年分の通帳を丹念にチェックし、特に以下の点に注目します。

  • お金の流れの正常性:事業の実態に合った入出金か
  • 資金管理能力:家賃や公共料金などの支払遅延はないか
  • 自己資金の形成過程:コツコツと貯められたお金か、一時的な入金か
  • 使途不明金:説明のできない不自然な出金はないか

一つの口座で入出金が乱雑になっていると、事業の実態が掴みにくく、「この経営者は資金管理ができていないのではないか」というネガティブな印象を与えてしまいます。

逆に、目的別に口座が分かれ、お金の流れが整理されている「きれいな通帳」は、経営者の資金管理能力の高さを示す、何よりの雄弁な証明となります。それは、事業計画の透明性や信頼性に直結し、融資審査において非常に有利な材料となるのです。

理由3:会社の成長を妨げる「機会損失」を生み出す

ビジネスの世界では、予期せぬチャンスが突然訪れることがあります。例えば、有利な条件での大量仕入れ、画期的な新設備の導入、あるいは競合他社が撤退した市場への迅速な参入などです。

しかし、手元の資金が不明確な「どんぶり勘定」の状態では、こうしたビジネスチャンスを前にしても、「本当に投資して大丈夫だろうか」と悩み、即座に意思決定することができません。

その躊躇が、結果として競合に先を越される「機会損失」に繋がり、会社の成長スピードを大きく鈍化させてしまうのです。

資金を目的別に分けて管理していれば、投資に使えるお金がいくらあるのかを即座に把握できます。これにより、経営者は自信を持って迅速な意思決定を下すことができ、会社の成長を加速させることが可能になります。

今すぐ始める!資金繰りを劇的に改善する「目的別」口座管理術

では、具体的にどのように口座を使い分ければよいのでしょうか。ここでは、私がコンサルタントとして多くの企業に導入し、成果を上げてきた「目的別口座管理術」の基本形を表にまとめました。

口座の種類役割運用イメージ
① 入金専用口座すべての売上入金を集約する「会社の心臓」この口座の残高で事業の好不調をリアルタイムに把握する
② 支払専用口座経費支払いを一本化し、コストを「見える化」する毎月決まった額を①から移動し、予算内でやりくりする
③ 納税・未来投資口座将来のお金を守り、育てるための「貯金箱」利益の一部を定期的に積み立て、納税や投資に備える

ステップ1:「入金専用口座」で売上の流れを明確にする

まず、すべての売上入金を一つの「入金専用口座」に集約します。この口座は、いわば「会社の心臓」です。ここから、事業を動かすための血液(資金)が、他の口座へと送り出されていきます。

この口座を見るだけで、月々の売上変動が一目で把握でき、事業の好不調をリアルタイムで感じ取れるようになります。資金繰り管理の第一歩は、入ってくるお金の流れを正確に掴むことから始まります。

ステップ2:「支払専用口座」でコストを徹底的に見える化する

次に、毎月決まった日(例えば25日など)に、翌月分の経費予算を「入金専用口座」から「支払専用口座」へ移動させます。そして、仕入代金、人件費、家賃、水道光熱費など、すべての経費をこの口座から支払うルールを徹底します。

これにより、月々の支出が固定化され、コスト意識が格段に高まります。「今月は少し使いすぎているな」といった感覚が、数字として明確に見えるようになるのです。

ステップ3:「納税・未来投資口座」で将来のお金を守り育てる

最後に、利益の一部を定期的に「納税・未来投資口座」に積み立てていきます。この口座は、消費税や法人税などの納税資金、そして将来の設備投資や新規事業のための「未来のお金」を確保するためのものです。

多くの経営者が頭を悩ませるのが、納税資金の確保です。この口座があることで、納税時期に慌てることなく、精神的な安定を得ることができます。具体的な積立額としては、まずは利益の30%を目安に始めることをお勧めしています。

一目でわかる!法人口座の賢い使い分け図解

銀行はこう見る!複数口座がもたらす「信用力」という最大の武器

複数の銀行と取引実績を積むことの戦略的意味

口座を複数に分けることは、資金管理の改善だけでなく、金融機関との関係構築においても戦略的な意味を持ちます。

メインバンク一行だけに依存している会社の場合、融資担当者は常に「この会社が一行の銀行を失ったらどうなるか」を懇念しています。一方、複数の銀行と取引実績があれば、そうしたリスクに対しても前向きに考えることができます。

実際、複数の銀行と取引実績を持つことで、以下のような具体的なメリットが生まれます。

各銀行の強みを活かせる

振込手数料が安いネット銀行、融資に積極的な地方銀行、信用金庫など、目的に応じた使い分けが可能。例えば、日常的な継続的な取引は地方銀行、大量の継続的な支払いは手数料の安いネット銀行、といったように使い分けることで、各銀行との取引関係を深めることができます。

リスク分散を適切に管理

一行に依存している場合、その銀行が破綻したりシステムトラブルが発生したら、事業全体が大きな打撃を受けます。複数の銀行を持つことで、そうしたリスクを適切に分散し、緑を作ることができます。

金利交渉で有利に

複数の銀行との取引実績を持つことは、融資条件交渉の際の強力な材料になります。融資担当者は「この会社は複数の銀行を活用している、不測の事態にも対応できる会社だ」と計算し、金利交渉や融資条件の优遅をもたらしやすくなります。

融資を引き出す「魅せる通帳」の作り方

銀行員時代、私が融資審査で最も重視していたのは、通帳の「整理度」です。複数の口座に目的別に分かれたお金の流れは、経営者の資金管理能力を如実に物語ります。

きれいに整理された通帳を見ると、融資担当者は必ずこういった質問を投げかけます。

「この会社の売上を見ると、月次変動が安定している。経費はどうか。不況の時期にも積み立てている。これなら、貸したお金を計画的に活用し、きちんと返済してくれるだろう」と。

一方、一つの口座ですべてを管理している会社の通帳を見ると、融資担当者は好印象を持つことはできません。「どのお金が何に使われたのか、判断できない」「会社の経費が不明だ」といった印象を持たれてしまいます。結果、「この経営者は資金管理ができていないのでは、融資を返済してもらえるかどうか、不安だ」という低い評価をつけられてしまうのです。

これに対し、複数の口座に目的別に分かれたお金の流れを提出した経営者の方はどうでしょうか。融資担当者が見たときに、「この経営者は、売上、経費、そして将来への投資まで、しっかりとお金の流れを管理・計画できている」と一目で理解できる通帳。これこそが、どんな立派な事業計画書や提出資料にも勝る「信用証明」になるのです。

万が一の「銀行破綻リスク」に備える預金保険制度の活用

忘れてはならないのが、銀行の破綻リスクです。万が一、取引銀行が破綻した場合、預金保険制度によって保護される範囲は決まっています。

預金の種類保護の範囲
決済用預金
(当座預金、利息のつかない普通預金など)
全額保護
一般預金等
(定期預金、利息のつく普通預金など)
1金融機関ごとに預金者1人あたり
元本1,000万円までと、その利息等

1,000万円を超える預金がある場合、複数の銀行に資金を分散させておくことは、事業継続のための重要なリスク管理策となります。

よくある質問(FAQ)

Q: 口座をたくさん作ると、管理が大変になりませんか?

A: 確かに最初は少し手間が増えるかもしれません。しかし、最近では「Moneytree」や、会計ソフトの「freee」「マネーフォワード クラウド」などに搭載されているアカウントアグリゲーションサービスを利用すれば、複数の口座残高や入出金明細をスマートフォンやPCで一元管理できます。

まずは「入金」「支払」「納税・未来投資」の3つの口座から始めてみるのがおすすめです。

Q: 複数口座を持つと、経理処理が複雑になりませんか?

A: むしろ逆です。会計ソフトと連携させることで、仕訳は格段に楽になります。例えば、「支払専用口座」からの出金はすべて経費関連として自動で仕訳候補を提案してくれる、といった設定が可能です。これにより、経理担当者の負担を軽減し、月次決算の早期化にも繋がります。

Q: どの銀行で口座を開設するのがおすすめですか?

A: 一概には言えませんが、一つの考え方として、メインバンクは地域に根ざし、親身に相談に乗ってくれる地方銀行や信用金庫、支払専用口座はインターネットバンキングの振込手数料が安いネット銀行、といった組み合わせが考えられます。自社の事業規模や取引先の状況に合わせて、最適な組み合わせを選びましょう。

Q: 個人事業主でも口座は分けるべきですか?

A: はい、絶対に分けるべきです。個人事業主の方こそ、事業用とプライベート用の資金が混同しがちです。まずは「事業用」と「生活用」の2つの口座にきっちり分けることから始めてください。確定申告の際にも、経費の計算が非常に楽になります。

Q: 口座を分けた後、資金移動のタイミングはいつが良いですか?

A: 例えば、「毎月25日に入金専用口座から支払専用口座へ、翌月分の経費予算を移動する」「毎週末に、入金専用口座から納税・未来投資口座へ利益の30%を移動する」といった、自社のキャッシュフローに合わせたルールを決めることが大切です。これにより、資金繰りのリズムが生まれ、管理が習慣化していきます。

まとめ

会社の通帳を一つにまとめることは、知らず知らずのうちに「どんぶり勘定」を招き、黒字倒産のリスクを高め、融資審査で不利になり、さらには会社の成長機会を奪う危険性をはらんでいます。

しかし、その解決策は決して難しいものではありません。

本日ご紹介したように、口座を「入金」「支払」「納税・未来投資」といった目的別に分け、お金の流れを「仕組み」で管理するだけです。特別な会計知識は必要ありません。

もし、自社の資金繰りに少しでも不安を感じていらっしゃるなら、まずは今日からできる第一歩として、お手元の通帳の入出金明細を眺め、何にいくら使っているかを把握することから始めてみてください。

そして、もし具体的な仕組み作りでお困りのことがあれば、いつでも専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

はじめまして。「資金繰りベスト」ライターの佐藤真由美と申します。埼玉県さいたま市在住の45歳、中小企業の資金繰りと経営管理を専門とするファイナンシャルアドバイザー兼ライターです。

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