企業経営において、資金はまさに血液です。
その流れが滞れば、健全な事業運営は立ち行かなくなります。
特に中小企業にとって、銀行融資は成長のための「大動脈」と言っても過言ではありません。
しかし、現実にはこうした声を日々耳にします。
「なぜ融資を断られたのか、銀行は説明してくれない」
「決算書は黒字なのに、なぜ審査に通らないのか分からない」
こうした経営者の“疑問”や“悔しさ”には、元銀行員として痛いほど共感できます。

私自身、10年間、大手銀行の東京本店で融資審査を担当してきました。
その中で何千社もの企業と向き合い、時には「貸せない理由」をどのように伝えるかに悩み、時には「どうすれば通せるのか」を自問しながら判断を重ねてきました。
融資の現場には、外からは見えにくい“思考回路”と“暗黙のルール”が存在します。
書類に書かれていない空気感、稟議書の通し方、格付けシステムの舞台裏——。
本記事では、そうした銀行員ならではの視点や判断基準の裏側を、できる限り丁寧に、そして実務的にお伝えしていきます。
たとえば、銀行員が決算書を手に取ったとき、最初に見るのは「売上」でも「利益」でもありません。
真っ先にチェックするのは、現預金残高と自己資本比率。
なぜなら、それが企業の「今の体力」を映すバロメーターだからです。
また、審査が通らなかった場合、よく聞く「総合的な判断によって…」という言葉の背後には、実は非常に明確なNGポイントが存在していることも少なくありません。
🧭 この記事で得られること
本記事では、以下の視点から、読者である経営者の方が「融資に強い会社」になるためのヒントを提示します。
- 融資担当者のリアルな業務と考え方
- 銀行内部で行われる格付けと審査プロセス
- 銀行員が重視する決算書のチェックポイント
- 数字では見えない「成長性・将来性」の伝え方
- 銀行との信頼関係を築くためのコミュニケーション術
- 融資に落ちたときの対応策と次の一手


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元銀行員が明かす!融資審査の舞台裏
融資担当者の一日と審査業務の実態
「銀行の融資担当者って、どんなふうに働いているのですか?」
これは、私が独立後に最もよく聞かれる質問の一つです。
経営者の皆さんにとっては、なかなか想像しづらい世界かもしれません。
では、融資担当者の一日はどのように始まり、どのように動いているのか——
ここを理解することが、銀行員との付き合い方を180度変える第一歩になります。
銀行内の役割分担:得意先係と融資係
まず大前提として、支店の中には大きく分けて2つの役割があります。
- 得意先係(営業):お客様と接するフロントライン。融資の打診、訪問、交渉などを担当。
- 融資係(事務・審査):得意先係から上がってきた案件を審査し、稟議書を作成。内部の決裁フローを動かす存在。



多くの経営者は、得意先係しか見えませんが、実際の審査の“主戦場”は融資係にあると言っても過言ではありません。
どれだけ得意先係が「通したい」と思っていても、融資係が首を縦に振らなければ案件は進みません。
銀行員の1日の流れ:その背後にある「優先順位」
ある平日のスケジュールを例に見てみましょう。
📅 9:00 始業・前日の入金状況確認
📄 9:30 既存先の信用情報(CIC/JICC)チェック
📞 10:00 新規融資相談に関する社内会議
📊 11:30 決算書をもとに格付けソフトへの入力
🍱 12:00 昼休憩
🏢 13:00 訪問予定企業の直前確認(経歴、事業内容、過去の実績)
🚗 14:00 企業訪問・面談
🖥 16:00 稟議書作成、上司への提出
📬 17:30 翌日の訪問予定整理・日報作成
これが「表側」のスケジュールですが、実際は突発的な融資依頼や、本部からの急なレポート依頼が次々に割り込んできます。
1日にこなす案件数は平均で5〜10件、繁忙期は15件を超えることも。
ひとつひとつに細かい分析をかける時間がないことから、「最初の印象」や「要点が押さえられているか」が非常に重要になるのです。
銀行員が絶対に見逃さない3つの視点
- 資金使途の明確性
→ 使い道が曖昧な案件は、たとえ黒字でも躊躇されます。 - 返済原資の具体性
→ 利益からどう返すのか、キャッシュフローに基づいて説明されているか。 - 過去の取引履歴・約束の履行状況
→ 約束の期日を守ったか、遅延はないか。信頼が崩れていないか。
これらは数字の裏にある“行動”や“信用”を見極めるための重要な軸です。
つまり、決算書だけでは測れない「経営者の品格」や「信頼感」が審査結果を左右するのです。
銀行内部の格付けシステムと審査プロセス
「銀行にはランクがある」——その実態とは?
中小企業の経営者の中には、「なぜウチだけ金利が高いのか」「同じような業績なのに、隣の会社はすんなり融資が通った」と不満を抱える方も多いかもしれません。
その違いを生み出しているのが、銀行内部で運用されている「信用格付けシステム」です。
この格付けは、表に出ることはほとんどありませんが、
融資の可否、金利、返済期間、担保要否といった条件を根本的に左右する「見えない評価軸」として強く作用しています。
格付けの基本構造:何を基準にランクが決まるのか?
一般的な都市銀行・地方銀行では、以下のようなランク区分が採用されています。
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ 格付け区分(一例) ┃
┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫
┃ 正常先(格付けランク1〜4) ┃
┃ 要注意先(ランク5〜6) ┃
┃ 破綻懸念先・実質破綻先(7〜8)┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
このランクは、毎年決算書が提出されるたびに更新されます。
決算数値をもとに銀行内部の「格付けソフト」に入力され、機械的にランクが算出されます。
入力される項目には、以下のような定量的な指標が含まれます。
- 自己資本比率
- 営業利益率
- 売上高経常利益率
- インタレスト・カバレッジ・レシオ(※)
- 流動比率 など
(※)インタレスト・カバレッジ・レシオ:利息支払能力を示す指標。「営業利益+支払利息」÷「支払利息」で計算。
人的判断も無視できない:定性評価のウェイト
ただし、これらの「定量評価」だけで融資の判断が決まるわけではありません。
もうひとつの重要な評価軸が定性評価です。
🔍 定性評価のチェック項目(銀行による)
- 経営者の資質(誠実性、説明能力、業界経験)
- 経営戦略の妥当性
- 顧客・仕入先の安定性
- 地域での評判や信頼
- 事業の独自性や将来性
これらは数値では表現できませんが、
訪問時の面談、担当者の印象、過去の行動履歴などから総合的に評価されます。
実際、数値は申し分なくても「過去に約束を破った」「説明が曖昧で信用できない」と判断されれば、格付けが一段階下げられることもあります。
稟議書の力学:誰がGOサインを出しているのか?
格付けが定まったあと、融資実行までに欠かせないのが稟議書の作成です。
これは融資係が書く“説得のシナリオ”であり、支店長や本部審査部へ「この企業に貸しても問題ない」と主張するための内部書類です。
稟議書には、以下のような構成で情報が盛り込まれます。
📄 稟議書の主な内容
- 申請先企業の概要(所在地、設立、従業員数など)
- 財務分析(過去3期分の業績、資産内容)
- 格付け結果と評価理由
- 融資使途と金額、返済計画
- リスクと対応策(万が一の場合の保証、担保など)
この稟議書は、担当者だけでなく、課長、次長、支店長、場合によっては本部審査部まで上がっていくため、
どこかで一人でも「リスクが高い」と感じればストップがかかる、極めて慎重なプロセスとなっています。
銀行員の本音:「貸したくないわけではない」
私自身の経験でも、「この会社に貸してあげたい」と心から思いながら、
内部の格付けがどうしても許容できず、稟議を通せなかったケースは数多くあります。
逆に言えば、銀行員は“貸したい会社”にするための努力は惜しまない存在でもあります。
そのためには、経営者側が「数字だけでなく、人物面や成長性も丁寧に伝えること」が欠かせません。
決算書のどこを見ている?銀行員の着眼点
「決算書を提出したのに、何も言われず断られた」
「黒字のはずなのに、評価が低い理由が分からない」
こうした悩みの背景には、銀行員と経営者との“決算書の見方”の違いがあります。
ここでは、銀行員が実際にどのような順番で決算書を読み、どこに注目しているのか——
融資審査の現場で「まず見られる項目」をリアルに解説します。
貸借対照表で最初にチェックする5つのポイント
1. 現預金残高(月商の何ヶ月分か)
銀行員が決算書を開いて一番最初に確認するのが「現預金の残高」です。
ここでチェックされるのは単なる金額ではなく、「月商の何ヶ月分のキャッシュがあるか?」という視点です。
💡理想とされるのは「月商の2〜3ヶ月分の現預金」です。
例えば月商が1,000万円の会社であれば、2,000万〜3,000万円の現預金が目安です。
これが少なすぎると、
「日々の支払いにさえ苦労しているのでは?」
と疑われ、逆に多すぎると、
「資金が滞留していて、経営の意思決定が鈍いのでは?」
と見られることも。
2. 自己資本比率(純資産 ÷ 総資産)
これは企業の“体力”を測る指標であり、銀行格付けの重要な評価項目です。
自己資本比率が40%以上あれば「優良」、20〜40%で「標準」、10%未満になると「要注意先」に分類されることもあります。
また、純資産がマイナスの「債務超過」状態は、原則として融資対象外とされます。
低い ← [自己資本比率] → 高い
[----●---------]
10% 40%
3. 売掛金の内容と回収サイト
売掛金が多く見えても、その中に「回収不能な債権」や「長期滞留債権」が含まれていると、それはむしろリスク要因です。
銀行員は以下の観点でチェックします。
- 回収サイト(何日後に入金されるか)
- 売掛金が一部の取引先に偏っていないか
- 不良債権や焦付きがないか
「売掛金明細書」が提出されれば、これらの内容がすぐに把握できますが、逆に提出がないと「見せられない理由があるのか?」と勘ぐられることも。
4. 在庫の適正性
在庫が多いほど資産があるように見えますが、過剰在庫は資金繰りを圧迫するリスクを含んでいます。
また、帳簿上の在庫が適正に評価されていない場合(例:陳腐化・廃棄予定の在庫も含まれている等)、
「実態とかけ離れている」と判断される可能性があります。
5. 役員貸付金・仮払金の有無
最も警戒されるのが、役員貸付金や仮払金の膨張です。
これはしばしば、「会社のお金を私的に使っているのでは?」という不信感につながります。
役員貸付金がある場合、必ず返済計画を示すことが重要です。
逆に、これを曖昧に放置している企業は「ガバナンスが緩い」「経営者の資質に問題あり」と判断されかねません。
損益計算書で重視される利益の種類と推移
「うちは黒字だから問題ない」
そう自信を持って決算書を提出したにもかかわらず、銀行からは渋い反応。
——そんな経験はありませんか?
その原因は、“黒字”という言葉の裏側に潜む、利益の“質”と“推移”にあります。
銀行員は単に「利益が出ているか」ではなく、どの利益が、どれくらい継続して出ているかを重要視します。
利益は5階建て構造で見る
損益計算書には、次の5つの利益が階段状に構成されています。
1. 売上総利益(粗利)
2. 営業利益(本業の儲け)
3. 経常利益(本業+財務収支)
4. 税引前当期純利益
5. 当期純利益(最終利益)
このうち、銀行員が最も重視するのは「営業利益」と「経常利益」です。
それは、これらが企業の“持続的な収益力”を示す指標だからです。
ポイント1:営業利益の3年間推移
営業利益は、本業でどれだけ利益を上げているかを見る指標です。
ここが安定して伸びていれば、銀行は「返済原資が安定している」と判断します。
逆に、単年度だけ黒字でも、前年が赤字、2年前も赤字であれば、「一時的な回復では?」と疑念が生じます。
📈理想的なのは以下のようなイメージです。
年度 営業利益
2022年 △100万円
2023年 + 50万円
2024年 +150万円 ← 加点ポイント
このように “右肩上がり”の推移 が見えることが、最も強い信頼を勝ち取る鍵です。
ポイント2:経常利益で見る財務健全性
経常利益は営業利益に「受取利息」「支払利息」などを加減したものです。
つまり、本業+財務体質が反映される指標であり、“企業の本当の体力”を測る物差しといえます。
特に支払利息が多すぎると、営業利益があっても経常利益がマイナスになり、「借金返済に追われている構造」とみなされる可能性があります。
ポイント3:売上高の成長率と利益率のバランス
売上が伸びていても、利益が横ばい、または減少している場合は要注意。
銀行員は「売上が伸びている=良い会社」とは見ません。
むしろ、売上高営業利益率(=営業利益 ÷ 売上高)の方が注目されます。
💡業種別の目安(参考):
- 製造業:5〜8%
- 小売業:2〜4%
- 建設業:3〜6%
- ITサービス:10%以上もあり得る
これらの水準を大きく下回っていると、「価格競争に巻き込まれていないか」「利益を削って無理していないか」と疑念を持たれます。
ポイント4:減価償却と特別損益の扱い
銀行員は「営業利益+減価償却費=キャッシュの源泉」と見なすため、減価償却がきちんと計上されているかも注視します。
また、特別損益(例:固定資産売却損益、補助金収入など)は一時的な項目なので、営業活動とは切り離して評価されます。
🗒 数字には「意味」がある。だから説明できるようにする。
銀行員は、利益の絶対額よりも、「なぜこの数字になったのか?」という理由に注目しています。
特に利益が大きく変動した年がある場合、その背景や説明が曖昧だと一気に不信感が生まれるのです。
だからこそ、下記のような資料や説明を用意しておくと効果的です。
- 3年間の月次損益推移表
- 利益率の変化とその要因の説明
- 原価率や販管費率の増減理由
- イレギュラーな費用(例:災害、設備投資)の注釈
勘定科目内訳書から読み取る経営実態
銀行員が決算書を見る際、実は「内訳明細」の方に強く注目していることをご存じでしょうか?
表面的な貸借対照表・損益計算書だけでは、企業の真の姿は見えてきません。
むしろ、勘定科目内訳書こそが“経営のクセやリスク”を炙り出す鏡なのです。
1. 借入金の明細で「銀行取引の構造」を把握する
まず注目されるのが、借入金内訳書です。
ここには、どの金融機関から、どれだけ借りているかが明記されます。
銀行員がここで確認するのは以下のような点です。
- 取引銀行は何行あるか(多すぎると“借り回り”と疑われる)
- 借入の金利と期間に一貫性があるか
- 他行の借入が急増していないか
- 返済スケジュールに無理はないか(偏りや集中がないか)



たとえば、自行の融資残高よりも他行が突出して多い場合、「なぜうちがメインバンクではないのか?」と感じることもあります。
このとき、「資金調達のバランス戦略」としての説明があると、逆に信頼されます。
2. 預金明細から「メインバンク」を読み取る
預金残高の明細では、どの銀行にどれくらいの資金が置かれているかが見えます。
ここで重要なのは、取引銀行の“態度”を測る鏡としての預金分布です。
もし、融資依頼をしている銀行に預金残高が少ない、またはゼロであれば、「うちを資金の置き場として信用していない」と判断される可能性があります。
よって、月末だけの一時的な預け入れ(いわゆる“見せ金”)では通用しません。
普段から一定額の預金残高を維持することが、銀行員の安心材料になります。
3. 売掛金・買掛金明細で「取引先の分散度と質」を判断
売掛金と買掛金の明細からは、以下のような情報が読み取れます。
- 特定の取引先に依存していないか
- 大口顧客の信用状態(与信調査との照合)
- 売掛金の回収サイトが適正か(長期滞留の債権がないか)
- 業種特有の傾向(建設業なら工期、IT業なら検収)との整合性
たとえば、売掛金の80%以上が1社に集中していれば、その会社の業績次第で経営が大きく揺らぐと見なされます。
この場合、「なぜ依存しているのか」「他社との取引拡大策」などの説明があると好印象です。
4. 仮払金・仮受金・仮勘定の残高は要注意!
「仮」のつく勘定科目は、銀行員の警戒ポイントです。
本来、これらは一時的な処理であり、決算時には必ず解消されているべきものです。
しかし、毎年同じ内容の仮払金が残っていたり、金額が大きく増減していると、
「処理がずさんなのでは?」
「実は何か隠しているのでは?」
と疑念を抱かれます。
特に、仮払金の名目が曖昧(例:出張費、接待費など)な場合は要注意です。
しっかりとした補足説明や経費証憑の提出準備をしておきましょう。
5. 保険積立金や有価証券で“余剰資金”の活用状況を見る
損害保険積立金や有価証券の欄からは、資金の余剰度や運用姿勢を読み取ります。
- 法人保険が過大ではないか(=節税偏重で利益を圧縮していないか)
- 流動性が高い有価証券か(=いざというときに資金化できるか)
- 投機的な運用をしていないか(リスク管理の面)
この辺りは中小企業にとって判断が難しい領域ですが、顧問税理士と相談した経緯や目的を明示しておくと、銀行側も納得しやすくなります。
🗒 「数字の奥」にこそ本当の信頼がある
銀行員は、これらの内訳から、
「この経営者は信頼できる人か」
「この会社に任せて大丈夫か」
を判断しています。
数字だけでなく、どう管理されているか、どんな説明がされるかが決定打になるのです。
中小企業の「成長性」をどう評価するか
「今は堅実にやってます。でも、大きく伸ばすつもりはないんですよ」
そう語る経営者の言葉を、私は銀行員時代に何度も聞いてきました。
一見、慎重で堅実な経営姿勢に思えますが、融資審査の現場では“成長への意思がない”と受け取られかねない危うさがあります。
なぜなら、銀行は「今ある体力」だけでなく、「未来の拡大可能性=成長性」を重視するからです。
その成長性の評価は、決して感覚的なものではなく、明確な指標と定性的な材料に基づいて判断されています。
市場環境を踏まえた成長性分析の実際
成長率は「絶対値」ではなく「相対評価」
銀行がまず確認するのは、売上や利益の成長率ですが、それだけでは不十分です。
重要なのは、「業界平均」と比べてどうか?という視点です。
💡たとえば、
自社の売上成長率:年率+5%
業界平均成長率 :年率+2%
→「成長性あり」と判断される
反対に、業界が年10%で伸びているのに自社が横ばいであれば、「取り残されているのでは?」という疑念が生まれます。
成長性評価で使われる代表的な数値指標
銀行が内部でチェックしている主なKPI(重要業績指標)は以下の通りです。
- 売上高成長率:前年比伸び率。短期的な増減より「3年平均」が重視される。
- 経常利益成長率:営業利益ではなく「税引前利益」レベルでの継続性を重視。
- 総資産成長率:設備投資やM\&A等を含む企業規模の拡大傾向。
- 自己資本比率の上昇傾向:成長と同時に内部留保も増えているかを確認。
📊銀行内部の格付けシステムにも、これらの指標が「加点要素」として組み込まれています。
競合比較とシェアの見せ方
もう一つ重要なのが、競合他社と比べてどうなのか?という“相対的なポジショニング”です。
- 自社が属する業界内で、どの程度のシェアを持っているのか?
- シェアが拡大しているのか、縮小しているのか?
- 地域密着型での「隠れたNo.1」的ポジションがあるか?
このような情報は、数字で見せると強い説得力を持ちます。
たとえば、
● 県内○○業界で、売上高5億円以上の企業は10社
● その中で、当社は4番目。前年は6番目 → 上昇中
このように自社の立ち位置を「図解」や「順位」で示すことで、銀行員にも“未来が見える”ようになります。
将来性を判断する定性的な評価ポイント
数字だけでなく、「この会社は伸びる」という直感的な期待感も、銀行審査に大きく影響します。
これは数値では測れない「定性情報」によって醸成されます。
銀行が見る“定性評価”の主な要素
- 経営者の資質:
業界知識、ビジョンの明確さ、説明能力、リーダーシップ、人柄(誠実さ)など。
→ 「この人なら信用できる」と思われるかどうかが最終決定を左右します。 - 事業の独自性・差別化要素:
競合と比べたときの強み(例:独自技術、特許、ニッチ市場での優位性) - 技術力・開発力:
特に製造業では、製品改良や新製品開発への継続的な取り組みが好材料。 - 組織の安定性:
従業員の定着率や社内のモラルが高い企業は「安定成長が期待できる」と判断される。 - 後継者の有無と育成体制:
中小企業では「社長=企業そのもの」と見なされるため、
後継体制が不明確だとリスク評価が高まります。
実例:銀行員が「貸したくなる企業」の特徴
私の経験上、こんな経営者の会社は融資が通りやすい傾向がありました。
- 自社の立ち位置と業界動向を論理的に説明できる
- 売上が伸びなくても利益率改善を明確に意識している
- 競合との差別化ポイントを明快に言語化している
- 技術や設備投資に対して「数字で回収見込み」を語れる
- 社員育成や社内制度にも言及し、理念が明確
こうした企業は、「この先も付き合っていきたい」と思わせる魅力があるのです。
融資を引き出すための経営者の心得
どれほど数字や計画が整っていても、最終的に融資が通るかどうかは、「この経営者に貸したい」と思われるかどうかにかかっています。
それほどまでに、銀行員は“人”を見ています。
この章では、銀行員時代に私が実際に「貸したくなった経営者」「警戒した経営者」から学んだ、信頼構築とプレゼンテーションの極意をお伝えします。
銀行員との信頼関係構築術
1. 定期的な業績報告を怠らない
決算書の提出は年1回ですが、「数字が固まった時だけ会いに来る社長」より、「月次で状況を共有してくれる社長」の方が圧倒的に信頼されます。
たとえば、以下のような資料を簡潔にまとめて、3ヶ月に1度程度報告するだけで印象が変わります。
- 月次売上・利益の推移表(Excelや手書きでもOK)
- 売掛金の回収状況
- 新規取引先の情報や契約状況
- 設備投資や採用などの経営トピック
📌ポイントは、マイナスの情報も隠さず報告すること。その誠実さが、審査時の加点につながります。
2. 情報開示は「透明性」と「スピード」が命
銀行からの資料請求に対し、1〜2日以内に対応する会社は印象が良いです。
反対に、「社長が外出中で…」「経理が多忙で…」と何日も回答がない場合、「普段から資金繰りが整理されていないのでは?」と疑念を抱かれます。



💡対策:日頃から以下の資料を最新版で揃えておきましょう。
- 最新試算表(月次ベース)
- 借入金・返済スケジュール一覧
- 資金繰り予定表(3ヶ月〜6ヶ月分)
- 主要顧客リスト(売上比率付き)
3. 担当者の立場を理解しよう
銀行員もまた、上司や本部に説明責任を持つ“社内営業マン”です。
「いかに社内稟議が通しやすいか」を逆算して資料や説明を用意する経営者は、圧倒的に強いです。
たとえば、
- 「この事業計画はどこを強調すれば、上司が納得すると思いますか?」
- 「似た事例でうまくいった企業は、どの点を改善したのでしょうか?」
——こうした言葉をかけるだけで、担当者は“味方”になってくれます。
4. 嘘と隠し事は絶対にNG
資金使途、売上見通し、税金の未納など、少しでも事実と異なる説明があると、一発で信頼は崩壊します。
一度失った信用は、決して元には戻りません。
💬実体験から言えば、「正直に苦しい部分を話してくれた社長」の方が、よほど前向きな支援を得られていました。
5. 銀行員が“警戒した”経営者の特徴
逆に、私たちが審査で慎重になった経営者には、以下のような共通点がありました。
- 売上規模や成長性を誇張して話す
- 借入金の全体像を聞いても答えられない
- 資金繰り表や計画書を見せたがらない
- 経理担当が実態を把握していない
- 「うちは問題ないです」と根拠なく楽観的
このような態度を取られると、「本当のことを知らないか、隠している」と判断せざるを得ません。
🗒 銀行との信頼関係は「借りる前から始まっている」
融資を申し込んだその瞬間から関係が始まるわけではありません。
日頃の付き合い、情報の出し方、約束の守り方——そのすべてが“融資判断の材料”になっています。
だからこそ、銀行を「お金を貸してくれる相手」ではなく、「自社の経営を客観視してくれる外部のプロ」として捉える視点が必要です。
融資申請時の効果的なプレゼンテーション
どれほど決算書の数値が良くても、融資審査の現場では「その数字をどう語るか」が問われます。
つまり、銀行員を納得させるためには、“受け身の提出”から“提案型の説明”へと発想を転換する必要があります。
この章では、実際に銀行員の心を動かすための資料準備と説明方法について、実務レベルで詳しく解説していきます。
1. 事業計画書は「未来を語る設計図」
融資申請の場で提出される事業計画書。
銀行が注目するのは、美しい表紙やビジョンではなく、「数字と根拠の整合性」です。
📄事業計画書に最低限入れておくべき10項目:
1. 会社概要(沿革、所在地、従業員数など)
2. 経営理念・ビジョン
3. 主力事業の内容と強み
4. 競合比較と差別化ポイント
5. 売上・利益の3年計画(根拠付き)
6. 設備投資・新商品等の投資計画
7. 資金使途と必要金額の内訳
8. 返済原資(どの利益から返済するか)
9. リスク要因と対応策
10. 直近の月次損益(参考資料)
💡特に銀行員が食い入るように見るのは、5(損益計画)と8(返済原資)と9(リスク対応)です。
ここに明確なロジックと現実性があれば、説得力がぐっと増します。


2. 資金使途を「数字とビジュアル」で見せる
「なんとなく資金繰りが厳しいから」「念のために借りておきたい」
このような説明では、銀行員は動きません。
資金使途は、1円単位まで分解するつもりで明確にしましょう。
例:
必要資金合計:3,000万円
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ 資金内訳 ┃
┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫
┃ ・新設備購入費(印刷機) 1,500万円 ┃
┃ ・改装工事費(工場内装) 800万円 ┃
┃ ・人件費(3ヶ月分増員対応) 400万円 ┃
┃ ・広告宣伝費(新製品PR) 300万円 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
このように見える化することで、「きちんと考えている」「無駄遣いしない」印象を与えられます。
3. 返済原資の説明で「安心」を提供する
銀行が最も気にしているのは、「貸したお金がきちんと返ってくるか」です。
その答えが返済原資(げんし)です。
📌返済原資とは
→ 借入金の返済に充てる収益のこと。営業利益+減価償却費が基本。
実際の融資申請では、以下のような表を用意することをおすすめします。
返済計画イメージ(例:5年返済、元金均等)
年間返済額:600万円(元金500+利息100)
営業利益:800万円
減価償却費:300万円
返済余力:1,100万円 - 600万円 = +500万円
→ これにより、「余力があるので返済は問題ない」と安心してもらえるのです。
4. よくあるプレゼン失敗パターンとその回避法
以下のような説明は、融資審査の現場では評価されにくい傾向にあります。
❌「新事業に挑戦したいんです!(熱意だけで根拠がない)」
→ ✅「同業他社の成功事例・市場調査を踏まえた実行可能性のあるプラン」を提示
❌「成長しているからお金が必要です(抽象的)」
→ ✅「売上推移・設備投資との相関グラフ」「人件費増加と生産性向上の見通し」などで補強
❌「返済は大丈夫です(根拠なし)」
→ ✅「キャッシュフロー計算書」または簡易表で数字に基づいて説明
🗒 融資審査は“共創型プレゼン”へ
銀行員は決して、経営者を落とすためにプレゼンを聞いているわけではありません。
「この会社の未来を信じて貸せる理由」を探しているのです。
だからこそ、融資申請は“お願い”ではなく、“提案”で臨むべきです。
そして提案の質を高めるのは、事業に対する“覚悟”と“数字の裏付け”です。
融資審査に落ちた時の対処法
融資申請に万全を尽くしたにもかかわらず、銀行から「今回は見送りとさせていただきます」と言われることは、少なくありません。
多くの経営者が口にするのは、こんな声です。
「はっきりした理由を言ってくれない」
「総合的判断と言われても、何を改善すればいいのか分からない」
しかし、銀行の審査には明確な“不合格ポイント”が存在しています。
この章では、融資否決の理由をどう読み解き、次のチャンスにつなげるかという戦略をお伝えします。
断られた理由を探る方法
「総合的判断」という名のメッセージを読み解く
銀行は原則として、「どこが悪かったか」を詳細に説明しません。
これは融資判断が“金融庁監督指針に基づく内部判断”であるため、説明責任の範囲が制限されているからです。
しかし、現場の銀行員は「察してほしい」形でヒントを出していることがあります。
たとえば…
💬銀行員の言葉例と裏メッセージ:
銀行員の言葉 | 裏にある可能性 |
---|---|
「今回は総合的判断で…」 | → 格付けが“要注意先”以下で否決されている可能性 |
「金額については少し検討が必要かも」 | → 融資希望額が返済余力に対して大きすぎる |
「保証協会付きでも難しいかもしれません」 | → 財務体質・資金繰りに根本的な不安あり |
「今後、業績を見させていただいて…」 | → 当期の業績が回復すれば再審査の可能性あり |
「本部判断なので…」 | → 支店では押しきれなかった。追加材料があれば再交渉余地あり |



ポイントは、担当者の口調・表情・言葉のニュアンスを注意深く観察することです。
担当者と良好な関係を保つことで“再チャレンジのタイミング”を知る
否決されたからといって、すぐに関係を断つのはNGです。
むしろ、継続的に情報共有を続けることで、再申請のベストタイミングを銀行員が教えてくれることもあります。
私自身、
「今回はダメでも、来期この部分が改善されればいけそうだね」
と、暗黙の“合格条件”を伝えたことが何度もあります。
他行での可能性を探るときの注意点
一つの銀行で断られた場合、他行に申請することも有効です。
ただし、否決された理由を分析しないまま“融資渡り鳥”になると、格付けがさらに悪化するリスクもあります。
💡おすすめの順序:
- 否決された銀行に改善ポイントを丁寧にヒアリング(可能な範囲で)
- 信用保証協会付きや日本政策金融公庫など“公的性格の強い機関”を検討
- 取引のある他行(特に信用金庫・信用組合)へ、事情を説明した上で相談


信用保証協会付き融資でも断られる場合
信用保証協会は本来、「金融機関がリスクを取れない案件に対する公的支援」ですが、それでも否決される場合には、以下のような懸念があると判断されています。
- 自己資本比率が極端に低い
- 経常利益が赤字で返済原資が見込めない
- 資金使途が曖昧または不適切
- 申請書類が整っていない・試算表が未提出
この場合は、資金繰り・経営改善のプロである“認定支援機関”の活用が、次の選択肢になります。
再チャレンジに向けた改善策
1. 決算書の改善:特に見るべき3指標
再申請に向けて取り組むべきは、まずは決算内容の見直しです。
指標 | 目安と改善策 |
---|---|
自己資本比率 | 20%以上を目指す。利益の留保・役員貸付金の解消で改善可能。 |
経常利益率 | 安定して1〜3%以上。利益がなくても減価償却費を加味したキャッシュフローを重視。 |
流動比率 | 120%以上。手許資金や売掛金回収を強化し、短期債務への対応力を示す。 |
2. 事業計画の見直しと補強
前回の計画に“根拠の薄さ”があった場合、以下のような補強が有効です。
- 競合他社比較データの添付
- 価格戦略の変更とシミュレーション
- 新商品・新市場の導入予定と顧客ヒアリング結果
- 月次ベースでの試算と損益予測(季節変動を考慮)
3. 担保・保証人の追加で“信頼の下支え”を
どうしても審査が厳しい場合、担保や第三者保証を加えることで“リスクヘッジ型の説得”が可能です。
ただし、これは最後の選択肢であり、安易に依存すべきではありません。
4. 改善計画書とスケジュールをセットで提出
「改善します」だけではなく、“いつまでに何をやるか”を明記した改善ロードマップが有効です。
例:
2025年6月:売上の30%を占める主力取引先との取引継続契約を更新予定
2025年8月:役員貸付金200万円を返済予定(月次返済スケジュール添付)
2025年10月:設備更新により粗利率3%改善見込み(社内シミュレーション資料あり)
🗒 再申請の“最適タイミング”はいつか?
基本的には、3ヶ月後 or 半年後を目安とするのが一般的です。
その間に「決算内容」「試算表」「資金繰り表」「業績推移」に進展があれば、銀行側も再検討に前向きになります。
よくある質問(FAQ)
Q: 赤字でも融資は受けられますか?
A: 単年度の赤字であれば、融資が通る可能性は十分にあります。
銀行が重視するのは、「なぜ赤字になったのか」と「今後黒字に戻せるかどうか」です。
たとえば以下のようなケースでは、赤字でも前向きに判断されます。
- コロナ禍や天災など一時的要因による赤字
- 新工場建設や広告費増加など成長投資による一過性赤字
- 過年度赤字だが、すでに業績が回復傾向にある
ただし、3期連続赤字や債務超過の状態では、保証協会付き融資や政府系金融機関の利用を検討する必要があります。
その際、数字と論理で“改善の見通し”を説明することが鍵となります。
Q: メインバンクと準メインバンク、どちらに融資申請すべき?
A: 原則として、まずはメインバンクに相談するのが正攻法です。
理由は以下の通りです。
- 長期的な取引があり、財務内容を理解している
- 日常の入出金口座があるため資金繰りの実態が把握しやすい
- 社内での信用格付けが確立しているため、審査が比較的スムーズ
ただし、メインバンクに断られた場合、他行も慎重になる傾向があります。
そのリスクを減らすためにも、日頃から複数行と良好な関係を築いておくことが重要です。
Q: 決算書以外で審査に影響する要素は?
A: はい、いくつもあります。たとえば、
- 経営者の個人信用情報(CIC/JICC):消費者ローンやカード延滞履歴があるとマイナス評価
- 主要取引先の信用状態:得意先が倒産リスクを抱えていると、連鎖懸念が出る
- 業界全体の景況感:将来性の乏しい市場では評価が厳しくなることも
- 技術力・特許・商標などの無形資産:競争優位性が高まる要因
- 経営者とのコミュニケーション頻度と信頼性:口頭のやり取りからも誠実さが評価されます
Q: 小規模企業でも都市銀行から融資を受けられますか?
A: 不可能ではありませんが、現実的にはハードルが高いです。
都市銀行は効率性を重視しており、融資額1億円未満の案件に消極的な傾向があります。
中小規模の事業者であれば、次のような金融機関の方が相性が良いです。
- 地方銀行
- 信用金庫
- 信用組合
- 政府系金融機関(例:日本政策金融公庫)
特に信用金庫や信用組合は、地域密着型の支援スタンスを持っており、経営課題の相談にも親身に乗ってくれるケースが多くあります。
Q: 創業間もない企業が融資を受けるコツは?
A: 創業期は「実績がない」という致命的なハンデがありますが、以下の要素で評価をカバーすることが可能です。
- 自己資金の投入額:目安としては創業資金の1/3以上が望ましい
- 事業計画の論理性と説得力:収支計画、市場調査、競合比較が明確かどうか
- 経営者のバックグラウンド:業界経験・資格・人脈などが強みになる
- 支援者や顧客の存在:取引先からの発注内示や協力者の推薦書など
💡現在(2025年)は、「日本政策金融公庫」の創業融資制度が改変中ですが、公庫からの融資が通れば、信用保証協会や民間銀行でも好材料として受け取られることが多いです。
Q: 担保や保証人なしでも融資は可能ですか?
A: はい、一定の条件を満たせば可能です。
特に以下の2つの制度が該当します。
- 信用保証協会の保証付き融資:
民間銀行が貸し手になり、協会が保証人の役割を果たします。 - 日本政策金融公庫の「中小企業経営力強化資金」:
無担保・無保証人での貸付が可能(ただし、認定支援機関のサポートが条件)
ただし、無担保融資は返済能力や経営計画に対してより高い説得力が求められます。
銀行員に「この会社は大丈夫」と納得してもらうための資料整備は必須です。
Q: 融資審査期間はどのくらいかかりますか?
A: 融資の種類と金融機関によって異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。
- 初回取引の場合:1ヶ月〜1ヶ月半
- 既存取引ありの場合:2〜3週間程度
- 保証付き融資(信用保証協会あり):3〜4週間
- 公庫の創業融資等:2〜6週間(ヒアリングと追加資料によって変動)
提出書類に不備があると、審査期間は平気で2週間以上伸びます。
「資金が必要になる1.5〜2ヶ月前」には動き出すのが理想です。
また、急ぎの案件であれば、「いつまでに資金が必要か」をはっきり伝えましょう。
まとめ:銀行は「敵」ではなく「パートナー」
中小企業にとって、銀行融資は事業継続・成長のための“生命線”とも言える資金調達手段です。
しかし、融資の可否が“見えない審査基準”に左右されていると感じ、
「なぜ通らなかったのか分からない」
「銀行は冷たい」
といった不信感を抱いてしまう方も多いのが現実です。
ですが、本記事でお伝えしたように、銀行員の判断は決して“気分や印象”で行われているわけではありません。
むしろ、数字と実態、そして経営者の姿勢をもとに、真剣に「貸せる理由」を探しているのです。
🧭 銀行員の視点に立つと、道が見えてくる
銀行員は決算書をただ読むだけではありません。
そこに現れる“兆し”や“背景”を読み取ろうとしています。
- 貸借対照表では、自己資本と現金残高で体力を見る
- 損益計算書では、利益の質と持続性を測る
- 内訳明細では、信用リスクや管理の甘さを探る
- そして、経営者自身の話し方や態度から、将来の信頼度を判断する
だからこそ、銀行員の視点を理解したうえで、「伝える技術」を磨くことが何より大切なのです。
💡 銀行との付き合い方を変えると、資金繰りは変わる
本記事のテーマは「融資を引き出すテクニック」ではありません。
むしろ、「銀行員と同じ地図を持ち、同じ未来を描く方法」を伝えることにあります。
- 月次での業績報告を行い
- 誠実に情報を開示し
- 数字と論理で事業計画を語る
それができる会社は、銀行から「信頼される顧客」となり、新たな融資、条件変更、ビジネスマッチングなど、“金融のパートナー”としての支援を受けられるようになります。
✅ 明日からできるアクションリスト
読了後すぐにできる、実践的なステップを以下に整理しました。
🔲 最新の試算表と資金繰り表を整える
🔲 借入金一覧・返済スケジュールを可視化する
🔲 経営者個人の信用情報をチェックする(CIC開示)
🔲 銀行担当者に近況報告メールを出してみる
🔲 3年分の損益推移・自己資本比率をグラフ化する
🔲 融資希望があれば、まずは「使い道」を細かく言語化する
最後に:元銀行員からのメッセージ
私はこれまで、数百社以上の融資案件と向き合ってきました。
「銀行なんて冷たい」
「数字ばかりで現場を分かってない」
という不満の裏には、本音では“なんとかして資金を借りたい”という願いが込められていることを、よく知っています。



だからこそ伝えたいのです。
銀行と上手に付き合うことは、資金調達だけでなく、経営を根本から強くする手段になります。
融資を「取りに行く」から「共に創る」へ。
その第一歩は、自社の数字を、自分の言葉で語れるようになることです。


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