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【実例で学ぶ】「黒字倒産」を回避せよ!工務店・建設業の資金繰り特有の課題と対策

あなたの会社の通帳、それはただの数字の羅列ですか。
それとも、会社の命の鼓動が聞こえる「心電図」ですか。

初めまして。
元銀行員の佐藤真由美です。

融資担当として、数えきれないほどの決算書を見てきました。
そこにあるのは、無機質な数字の列。

しかし、私は知っています。
その数字一行一行の裏には、経営者の汗と涙、眠れぬ夜の苦悩、そして事業への熱い情熱が、確かに存在することを。

「利益は出ているはずなのに、なぜか月末の支払いに追われる…」

もし、あなたが少しでもそう感じたことがあるなら、この記事はあなたのためのものです。
これは他人事ではありません。

佐藤 真由美

東京商工リサーチの調査では、倒産する企業の約4割が、直前期の決算では黒字だったという、衝撃的な事実があるのです。

しかし、恐れる必要はありません。
黒字倒産は、正しい知識という「ワクチン」で、必ず防げる病です。
さあ、難しい話は抜きにして、あなたの会社の「血液」であるお金の流れを、一緒に感じてみましょう。

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🛡️この記事の監修者(運営会社・税理士による共同監修)

株式会社ウェブブランディング(運営会社)

資金繰り関連情報の総合的な監修を行い、正確で信頼性の高い情報提供を実現しています。

👤 東 岳夫(あずま たけお)氏
代表税理士 / 税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所

平成15年税理士登録、同年「税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所」を開業。「起業家支援」を自らの責務とし、「税理士はサービス業」をモットーに、数多くの企業のサポートを行っている。中小企業の資金調達や財務に関する専門的な監修を担当。
監修者プロフィール詳細(外部リンク)

目次

なぜ工務店・建設業は「黒字倒産」と隣り合わせなのか?

勘定合って銭足らず?黒字倒産の基本メカニズム

もう一度、想像してみてください。

あなたの会社は、大きな「バケツ」。
そして、会社の現金(キャッシュ)は、その中に溜まった「水」です。

   【入金】                 【支払い】
 (数ヶ月後にやっと注がれる水)      (今すぐ流れ出る水)
      ↓                    ↓
 ┌───────────┐      ┌────────┐
 │           │      │ 材料費の支払い │
 │  あなたの会社   │      │ 人件費の支払い │
 │ (キャッシュ残高) │      │ 外注費の支払い │
 └───────────┘      │ 経費・税金...  │
                    └────────┘

帳簿上の「利益」とは、まだバケツに注がれていない「約束された水(売掛金)」も含んだ数字です。
しかし、支払いは「今すぐ」出ていく現実の水(現金)。

この入金と支払いの致命的なタイムラグこそが、黒字倒産の正体。
バケツに水が注がれるのを待っている間に、底の穴から水がすべて流れ出てしまう。
これが「勘定合って銭足らず」という、恐ろしい現実なのです。

建設業特有の「資金繰り悪化」を招く3つの構造的問題

ではなぜ、特に私たち工務店・建設業が、この危険な状態に陥りやすいのでしょうか。
その根は、業界が抱える3つの構造的な問題にあります。

1. 長すぎる入金サイクルと先行する支払い

例えば「契約時10%、中間時30%、完成引き渡し時60%」という典型的な契約。
3,000万円の工事なら、完成するまでに入金されるのは1,200万円。しかし、その間に発生する材料費や人件費は、1,500万円、2,000万円と膨らんでいきます。

この差額を、すべて自社の体力(自己資金)で立て替えなければならないのです。
現場が増えれば増えるほど、この立替額は雪だるま式に膨れ上がります。

2. どんぶり勘定の罠と、真面目さというリスク

「あの現場、結局儲かったのか?」と、工事が終わってからどんよりする。
これは非常に危険なサインです。

資材価格は日々変動し、現場では予期せぬ追加工事も発生します。
正確な原価管理なしに「昔からの付き合いだから」と安易な価格で受注してしまう。
その誠実さや人の良さが、気づかぬうちに会社の利益を削り、キャッシュという血液を汚していくのです。

3. 避けられない連鎖倒産リスクという時限爆弾

建設業界は、元請け、一次下請け、二次下請け…という重層的な構造です。
これは、一蓮托生の運命共同体とも言えます。
もし、あなたの売上の大半を占める元請けが倒産したら?
入るはずだった売掛金は、法的に保護されていても、実際に回収できるのはごく僅か、しかも1年以上先というケースもザラです。
それは、会社の運転資金という大動脈が、突然断ち切られることを意味します。

【実例紹介】あなたの会社も危ない?実際にあった黒字倒産のケーススタディ

これは、私が銀行員時代に担当し、その後コンサルタントとして再生に関わった経営者、「高橋さん」の、生々しい実話です。

ケース1:急成長の裏で…運転資金が枯渇した工務店の悲劇

高橋さんの工務店は、丁寧な仕事が評判を呼び、受注件数は月5件から12件へと倍増。売上は前年比150%と、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでした。

「この調子なら、来年はもっと大きな事務所に移れるぞ!」

高橋さんは、増えていく通帳の売上入金額を見て、未来への希望に胸を膨らませていました。

しかし、その水面下で、足元は静かに崩れ始めていました。
受注増に伴い、外注費は月200万円から500万円に、材料の仕入れは300万円から700万円へと膨れ上がっていたのです。
支払いは「翌月末」、しかし、入金は「工事完了の2ヶ月後」。

この「時間のズレ」という悪魔が、彼の会社の血液を、猛スピードで吸い上げていきました。
ある月曜の朝、経理担当の奥様が、震える声で言います。

「あなた、今週末に支払う外注費、300万円が足りない…」

「馬鹿な!あれだけ売上が上がっているのに!」

高橋さんは思わず叫びました。
しかし、通帳残高は無情にも「87,540円」という数字を示していました。
ジェットコースターの頂点から、真っ逆さまに墜落するような、内臓がひっくり返るような恐怖でした。

ケース2:元請けの倒産で連鎖…売掛金未回収が招いた悪夢

なんとか親戚に頭を下げ、個人資産を切り崩して急場をしのいだ高橋さん。
しかし、悪夢はまだ序章に過ぎませんでした。

創業時から世話になっていた元請けの社長から、一本の電話が。

「高橋くん、すまない…。本当に、申し訳ない…」

いつもの威勢のいい声はそこにはなく、絞り出すようなか細い声でした。

「うち、不渡りを出してしまった」

頭が、真っ白になりました。
その元請けからは、来週末に300万円が入金される予定でした。
職人たちの給料、材料屋への支払い、事務所の家賃…その300万円をあてに組んでいた資金計画が、一瞬でガラガラと崩れ落ちる音が聞こえました。

信じていた人間に、梯子を外される絶望感。
高橋さんは、受話器を握りしめたまま、オフィスの椅子に崩れ落ちました。

もし、あなたが彼の立場なら、どうしますか?
ここから、高橋さんの、そしてあなたの会社の逆転劇が始まります。

【明日から実践】資金繰りを劇的に改善する5つの具体的アクション

絶望の淵にいた高橋さんが、私の助言のもと、一つひとつ、歯を食いしばって実行したことです。
これは、特別な才能が必要なことではありません。あなたにも、必ずできます。

STEP1:まずは現状把握から!「資金繰り表」の作成と運用のコツ

最初にやったことは、逃げずにお金の現実と向き合うこと。
つまり、会社の「心電図」である「資金繰り表」を作ることでした。
これは、会社の健康診断書です。

【超シンプル資金繰り表の項目】

  • 収入の部: (A工事入金、B工事中間金、借入金など、入金日を明記)
  • 支出の部: (C社材料費、D社外注費、給与、家賃、返済など、支払日を明記)
  • 差引過不足: (その月の収入 – 支出)
  • 繰越残高: (前月末の残高 + その月の差引過不足)

ポイントは、最低でも3ヶ月、できれば6ヶ月先まで予測すること
なぜなら、資金ショートという「発作」が起きる3ヶ月前には、必ず予兆(心電図の乱れ)が現れるからです。

その予兆を捉え、対策を打つための時間を稼ぐ。これが資金繰り表の最大の目的なのです。
通帳、請求書、領収書を手元に置き、パズルのように数字を埋めていく。さあ、始めましょう。

STEP2:キャッシュフローを安定させる「入金・支払」の交渉術

次に、血液の流れそのものを改善する「外科手術」です。
高橋さんは、震える手で主要な取引先に電話をかけ始めました。

【入金交渉の例(切り出し方)】

「いつも大変お世話になっております。〇〇建設の高橋です。実は、来月から始まる△△の案件の件で、ぜひご相談させて頂きたく…。今後の取引も安定的かつ品質を落とさず進めさせていただくため、契約条件について少しご相談させていただけますでしょうか?」

【支払交渉の例(切り出し方)

「〇〇建材の△△様、いつもありがとうございます。高橋です。昨今の資材高騰、御社も大変かと存じます。弊社も例外ではなく、資金繰りがタイトになっておりまして…。今後も御社から仕入れを続けたいという思いは変わりませんので、誠に恐縮ながら、支払いサイトについてご相談させていただけないでしょうか。」

佐藤 真由美

大切なのは、窮状を訴えるだけでなく、「今後もあなたと良い関係を続けたい」という未来志向の姿勢で、誠実に相談することです。

STEP3:どんぶり勘定を卒業!精度を高める「予実管理」の徹底

「あの現場は儲かったのか?」を卒業し、「この現場で確実に利益を出す」に転換します。
そのための武器が、現場ごとの「予実管理表」です。

現場名予算(円)実績(円)差額(円)
A邸新築20,000,00021,500,000▲1,500,000
B店舗改装5,000,0004,800,000+200,000

このように、現場ごとに予算と実績を比較するだけで、問題のある現場(赤字の原因)が一目瞭然になります。
なぜ予算を超えたのか?(材料の拾い間違い?予期せぬ追加工事?)
原因を突き止め、次の現場の見積もりに活かす。この地道な繰り返しが、会社の利益体質を強化します。

STEP4:聖域なきコストカット!固定費・変動費の見直しポイント

会社の贅肉をそぎ落とし、筋肉質な体質に変えます。
まず手をつけるべきは、毎月必ず出ていく「固定費」です。なぜなら、一度見直せば、その効果がずっと続くからです。

  • 事務所家賃 → 本当にその広さは必要ですか?
  • 車両費 → リース契約を見直し、使用頻度の低い車は手放す。
  • 保険料・通信費 → 複数の業者から相見積もりを取り、契約プランを定期的に見直す。

変動費(材料費など)の削減も重要ですが、品質に直結します。
まずは、経営努力でコントロールできる固定費から、聖域なく見直しましょう。

STEP5:眠っている資産を現金化!在庫と不要資産の圧縮

倉庫の奥で、ホコリをかぶっている建材はありませんか?
何年も使っていない古い重機はありませんか?

それらは、会計上は「資産」かもしれませんが、キャッシュフローの観点からは「罪庫(ざいこ)」です。
お金を生み出さないばかりか、保管場所というコストを奪い続ける存在。

思い切って売却し、現金化しましょう。
100万円の在庫を売って80万円の現金になれば、それは会社の血液が80万円増えることを意味します。
身軽になることで、会社は変化に強く、もっと遠くまで走れるようになるのです。

【元銀行員が伝授】いざという時のための融資・資金調達の知識

銀行はココを見ている!融資審査を有利に進めるための準備

銀行員時代の経験から断言します。
私たちが融資の審査で最も見たかったのは、過去の立派な決算書よりも、社長自身の口から語られる、未来への具体的な航海図でした。

その最強の武器が、あなたが作り始めた「資金繰り表」と、それに基づく「事業計画書」です。

「3ヶ月後、資金がショートする可能性があります。しかし、その対策としてA社との入金交渉と、Bというコストカットを実行します。それでも不足するC円を、今回の融資で補い、Dという計画で必ず返済します」

ここまで具体的に説明できる社長を、銀行は「この船長なら、嵐を乗り越えられる」と信頼し、お金を貸すのです。
銀行員は、あなたの会社の「通知表(試算表)」と「健康診断書(資金繰り表)」の数字が一致しているかを見て、あなたの経営管理能力を判断しています。

自己資金だけが選択肢じゃない!活用すべき制度融資と補助金

中小企業には、国や自治体という心強い味方がいます。自己資金だけで耐えようとせず、使える制度は積極的に活用しましょう。

日本政策金融公庫

政府系の金融機関で、中小企業や個人事業主に積極的に融資を行っています。実績がない創業期でも相談しやすいのが特徴です。

制度融資

あなたの会社の地域の自治体、金融機関、信用保証協会が連携して行う融資制度です。金利が低く設定されていることが多いです。

補助金・助成金

事業再構築補助金やIT導入補助金など、返済不要の資金も多数あります。

佐藤 真由美

どこに相談すればいいか分からなければ、まずは地元の「商工会議所」「よろず支援拠点」に電話一本入れてみてください。「資金繰りの相談がしたい」と。必ず、道は開けます。

よくある質問(FAQ)

Q: 利益が出ているのに倒産するのが、まだピンときません。もっと簡単に教えてください。

A: はい。では、具体的なお金の流れで見てみましょう。

  1. 【1ヶ月目】300万円の工事を受注(帳簿上の売上300万円、利益50万円)
  2. 【1ヶ月目】工事のために材料費と外注費で200万円を支払う(手元の現金▲200万円)
  3. 【2ヶ月目】工事が完了。
  4. 【3ヶ月目】お客様に請求書を送る。
  5. 【4ヶ月目】お客様から300万円が入金される(ここでやっと現金がプラスになる)

この、2ヶ月目から4ヶ月目までの間、手元の現金がマイナスの状態を乗り切れないと、黒字なのに倒産してしまうのです。

Q: 小さな工務店で経理担当もいません。何から手をつければ良いですか?

A: 素晴らしい質問です。完璧を目指さないでください。まずは、1ヶ月分の通帳のコピーと、請求書・領収書の束を机に並べることから始めてください。そして、Excelやノートに「いつ、誰から、いくら入るか」「いつ、誰に、いくら払うか」を書き出すだけ。

それだけで、今まで見えなかったお金の流れが、くっきりと見えてくるはずです。最近はfreeeやマネーフォワードといった、銀行口座と連携できる便利な会計ソフトもあります。

Q: 資金繰りが厳しくなってきた危険なサインはありますか?

A: 以下の4つのうち、一つでも当てはまったら、あなたの会社は「集中治療室」に入る一歩手前です。すぐにこの記事のアクションを実行してください。

  1. 買掛金や経費の支払いが、約束の期日より1日でも遅れがちになる。
  2. 従業員の給料を支払うために、社長個人のカードローンや短期の借入に頼っている。
  3. 税金や社会保険料の支払いが苦しく、役所に分納の相談をしている。
  4. 社長個人の資金(役員借入金)で、会社の支払いを恒常的に補填している。

まとめ:あなたの会社の血液を、よどみなく流し続けよう

ここまで、息苦しい現実に、本当によく向き合ってこられました。

黒字倒産は、ある日突然やってくる災害ではありません。
日々の小さな「出血」を見過ごし、会社の体力が静かに失われた結果、起こる必然です。

しかし、それは日々の資金管理という「止血帯」と「輸血」で、必ず防げる課題でもあります。

佐藤 真由美

私の持論は、「キャッシュは企業の血液」です。
血液がよどみなく、力強く全身を巡ってこそ、企業という体は健康でいられ、新たな挑戦という筋肉をつけることができます。

利益という目標も大切ですが、何よりもまず、命の源である血液の流れを、健全に保つこと。

この記事を読み終えたあなたが、次にするべきことは、もうお分かりですね。

「まずは、自社の通帳と請求書の束を、テーブルの上に広げてみる」

完璧な資金繰り表など、最初から作れなくて構いません。
自社の金の流れを、その目で直視する。
その小さな、しかし、とてつもなく勇気のいる一歩が、あなたの会社を、そしてあなたと従業員、その家族の未来を守る、最も確実な一歩となることを、私は心から確信しています。

あなたの会社の未来を、誰よりも応援しています。

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【売掛金を即現金化】ファクタリングで資金繰りの不安を解消

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この記事を書いた人

はじめまして。「資金繰りベスト」ライターの佐藤真由美と申します。埼玉県さいたま市在住の45歳、中小企業の資金繰りと経営管理を専門とするファイナンシャルアドバイザー兼ライターです。

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