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中小企業が「社用車」を購入するなら?リースと現金購入、資金繰り的にはどっちが得?

「キャッシュは企業の血液」―。
これは、元銀行員として何千という決算書を見てきた私が、骨の髄まで染み込んだ信念です。

もしあなたが、「手元の現金を温存し、将来の融資も有利に進めたい」と本気で考えるなら、結論は明確です。

佐藤 真由美

社用車は「現金購入」ではなく「リース」、特に「オペレーティングリース」を検討すべきです。

なぜなら、その選択があなたの会社の“血流”を守り、銀行からの評価を劇的に変える可能性があるからです。「総支払額が安いから」という理由だけで現金購入を選ぶのは、あまりにも危険な判断かもしれません。

この記事では、単なるコスト比較に留まりません。元銀行員の視点から、「リースがなぜ資金繰りを安定させ、銀行融資で有利に働くのか」その明確な理由を、具体的なシミュレーションと共にお伝えします。

【結論】資金繰りを重視するなら社用車はリースが有利な3つの理由

  • 理由1:手元の現金を温存できる
    リースは購入と違い、頭金などのまとまった初期費用が不要です。手元資金を事業投資や不測の事態に備えて温存できるため、キャッシュフローを安定させます。
  • 理由2:銀行からの評価を維持しやすい
    オペレーティングリースの場合、車両は資産・負債に計上されません。B/S(貸借対照表)がスリムな状態を保てるため、銀行の融資審査で有利に働く可能性があります。
  • 理由3:経理・管理の手間を大幅に削減できる
    購入した場合に必要な減価償却、税金の支払い、車検の手配といった煩雑な管理業務が不要になります。月々のリース料を経費として計上するだけで済むため、本業に集中できます。

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目次

まずは結論から!資金繰りを重視するならリース?現金購入?早わかり比較表

スクロールできます
比較軸リース(特にオペレーティングリース)現金・ローン購入
① 初期費用◎ 圧倒的に少ない△ 多額の現金が必要
② 月々のキャッシュアウト◎ 毎月定額で平準化△ ローン返済+税金・保険など変動
③ 会計処理の煩雑さ◎ 経費計上のみでシンプル△ 資産計上、減価償却など複雑
④ 銀行からの見え方(B/S)◎ 負債が増えずB/Sがスリム△ 負債が増え財務指標が悪化傾向
⑤ 管理の手間◎ 車検・税金もコミコミで楽△ すべて自社で管理が必要
⑥ 総支払額(5年)△ 手数料分、割高になる傾向◎ 割安になる傾向
佐藤 真由美

もしあなたが、「手元の現金を1円でも多く残し、次の事業投資に備えたい」「銀行からの見え方を良くして、将来の融資を有利に進めたい」と考えるなら、答えは明確に「リース」、特にオペレーティングリースが有力な選択肢となります。

【資金繰りのプロが解説】社用車リースと現金購入の根本的な違いとは?

所有権は誰のもの?資産か経費か、それが問題だ

この違いを、一枚の絵で見てみましょう。

▼ 現金・ローン購入の場合:『資産』を手に入れる

  あなたの会社
      │
      ├─[ 現金 or 借入金 ]──→ ディーラー
      │                                │
      └←──[ 車(資産)と所有権 ]──┘

購入は、車という「資産」を自社で所有することです。
そのため、会社の財産として貸借対照表(B/S)に計上し、毎年「減価償却」という手続きで少しずつ経費にしていく必要があります。

▼ リースの場合:『サービス』を利用する

  あなたの会社
      │
      ├─[ 月々のリース料(経費) ]──→ リース会社
      │                                     │
      └←──[ 車を利用する権利 ]─────┘
            (所有権はリース会社)

一方、リースは車を「利用する権利」を月額料金で手に入れる、いわばサブスクリプションのようなものです。
所有権はリース会社にあるため、あなたは月々の料金を「経費」として処理するだけ。
このシンプルさが、後ほどお話しする「銀行からの見え方」に劇的な影響を与えます。

知らないと損するリースの種類:ファイナンスリースとオペレーティングリース

リースには大きく分けて2種類あり、この違いを知らないと損をします。

  • ファイナンスリース
    • 実態: 分割払いに近い。原則、中途解約不可。
    • 会計処理: 購入した場合とほぼ同じで、資産として計上(オンバランス)する必要がある。
    • 特徴: 契約終了後、車が自分のものになる(または格安で再リースできる)ことが多い。
  • オペレーティングリース
    • 実態: レンタカーに近い。
    • 会計処理: ここが重要! 多くの中小企業では、支払いリース料を経費として処理するだけ(オフバランス)でOK。
    • 特徴: 契約終了後は車を返却するのが基本。残価(数年後の価値)をあらかじめ差し引いてリース料を計算するため、月々の支払いを安く抑えられる。
佐藤 真由美

銀行員時代、私が決算書で注目していたのは、負債の額です。
オペレーティングリースは、この負債を増やさずに事業に必要な車を使える「オフバランス」という魔法が使えます。
これが、融資審査においてどれほど強力な武器になるか、後ほど詳しくお話しします。

ケーススタディで徹底比較!社用車導入のキャッシュフローシミュレーション

モデルケース:車両価格300万円の商用バンを5年間利用した場合

前提条件
  • 車両本体価格:3,000,000円
  • 諸費用(税金・保険など):200,000円
  • 法人税率:30%
  • 銀行ローン:頭金20万円、金利2.0%
  • リース:ファイナンス、メンテナンス(車検・税金込)の2種

▼ 5年間のキャッシュアウト(出ていくお金)と実質負担額の比較

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比較パターン初期費用5年間のキャッシュアウト合計損金算入額合計節税効果 (B×30%)実質負担額 (A-C)
①現金一括購入320万円365万円320万円96万円269万円
②銀行ローン20万円373万円328万円98万円275万円
③ファイナンスリース0円390万円390万円117万円273万円
④メンテナンスリース0円420万円420万円126万円294万円

※各種税金、保険料、車検代(2回分)を含めて概算。メンテナンスリースはオイル交換等の費用も含む。

【図解】5年間のキャッシュアウトフローと損益への影響

この結果を、お金の流れとして視覚化してみましょう。

▼ キャッシュアウト(手元から出ていくお金)の推移

         |
  400万─┼───────────<④メンテナンスリース:420万>─
         |               ┌──<③ファイナンスリース:390万>─
         |           ┌─<②銀行ローン:373万>──
  300万─┼──<①現金購入:365万>──
         |   │
         │   │← 現金購入は初年度にドカンと支出
  200万─┼──┘
         |
  100万─┼───┐
         |      └─ リース・ローンは支出が平準化
    0万─┴──────────────────────────> 5年後

【佐藤の視点】
このシミュレーションから、2つの真実が見えてきます。

  1. 総支払額の真実: 最終的な支払総額だけを見れば、現金購入が最も安いのは事実です。金利や手数料がかからない分、当然です。
  2. キャッシュフローの真実: しかし、会社の“血流”という観点では、話は全く別です。現金購入は、初年度に320万円もの血液が一気に体外へ流れ出ていくことを意味します。その衝撃に、あなたの会社は耐えられますか? 一方、リースは初期費用ゼロ。手元の現金を温存したまま事業を始められるメリットは、数字以上に大きいのです。

元銀行員が語る!リースと購入が銀行融資の審査に与える影響

銀行は決算書のどこを見ているのか?

私たちは、ただ売上や利益の数字を見ているわけではありません。
会社の「体力」や「安全性」を示す、いくつかの重要な指標を見ています。
その代表格が「自己資本比率」です。

  • 自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資本(負債+自己資本)

簡単に言えば、「会社の全財産のうち、返さなくていい自分のお金がどれくらいの割合か」を示す指標です。
この比率が高いほど、「財務が安定している、倒産しにくい会社」と評価されます。

では、300万円の車をローンで購入した場合、この指標はどうなるでしょう?
答えは、「悪化します」

なぜなら、300万円の「資産(車)」が増えると同時に、300万円の「負債(借入金)」も増えるからです。
分母である総資本が膨れ上がるため、自己資本比率は下がってしまうのです。

オフバランス化の魔法?オペレーティングリースが財務諸表をスリムに見せる理由

ここで、先ほどお話ししたオペレーティングリースの「オフバランス」という魔法が効いてきます。

佐藤 真由美

オペレーティングリースは、原則としてB/S(貸借対照表)に資産としても負債としても計上されません。
つまり、銀行から見れば、あなたは借金をしていないのと同じなのです。

【佐藤の視点:融資担当者の本音】
想像してみてください。
同じ売上、同じ利益のA社とB社があります。

  • A社: ローンで車を買い、B/Sには負債が300万円計上されている。自己資本比率は20%。
  • B社: リースで車を使い、B/Sはスリムなまま。自己資本比率は30%。

あなたが融資担当者なら、どちらの会社に追加でお金を貸したいと思いますか?
答えは明白ですよね。
B社の方が、まだ借入の余力があり、財務的にも安全だと判断します。

これが、オペレーティングリースが「将来の資金調達まで見据えた戦略的な一手」である理由です。
目先の数万円のコスト差よりも、いざという時に数千万円の融資が受けられるかどうかの方が、会社の生死を分けるのです。

あなたの会社はどっち?状況別に見る最適な選択肢

【リースがおすすめの企業】

  • 創業期・急成長中の企業: とにかく手元資金を温存し、人材採用や広告宣伝など、事業のコアな部分に投資したい。
  • キャッシュフローが不安定な企業: 毎月の支払いを平準化し、資金繰りの見通しを立てやすくしたい。
  • 車両管理の手間を省きたい企業: 経理や総務の担当者が少ない、または社長自身がすべてを担っている。車検や税金の支払いを忘れるリスクをなくしたい。
  • 将来の追加融資を視野に入れている企業: 財務指標を良好に保ち、銀行からの評価を高めておきたい。

【現金・ローン購入がおすすめの企業】

  • 財務基盤が安定している企業: 数百万円のキャッシュアウトがあっても、運転資金に全く影響がない。
  • 長期間(7年以上など)の利用を考えている企業: リース期間を超えて長く使うことで、総コストを圧倒的に抑えられる。
  • 走行距離が非常に長い企業: リース契約の走行距離制限を超えてしまい、追加料金が発生する可能性が高い。
  • 車を自由にカスタマイズしたい企業: 自社の資産として、自由に改造や装飾を施したい。

よくある質問(FAQ)

Q: 結局、5年間の総支払額が一番安いのはどれですか?

A: 一般的には現金一括購入が最も安くなる傾向にあります。
ローンやリースには金利や手数料が上乗せされるためです。
ただし、税金やメンテナンス費用まで含めた実質的な負担額は、本記事のシミュレーションのように多角的に比較することが重要です。

Q: リース期間の途中で解約はできますか?

A: 原則として中途解約はできません。
解約する場合は、残りのリース料を一括で支払うなど、高額な違約金が発生することがほとんどです。
事業計画に合わせて慎重に契約期間を設定する必要があります。

Q: 中古車を導入する場合も考え方は同じですか?

A: 考え方は基本的に同じですが、中古車は減価償却の計算で有利になる場合があります。
特に4年落ちの中古車などは、短期間で多くの金額を経費計上できるため、節税効果が高まることがあります。
ただし、故障リスクなども考慮が必要です。

Q: 個人事業主の場合も、法人と同じように考えれば良いですか?

A: はい、資金繰りや経費計上の基本的な考え方は同じです。
ただし、個人事業主の場合、リース会社の審査基準が法人と異なる場合があります。
事業規模や信用情報によっては、連帯保証人が必要になるケースもあります。

Q: リース車両で事故を起こした場合の責任はどうなりますか?

A: 運転者の責任となります。
修理費用は、契約者が加入する自動車保険(任意保険)でカバーするのが一般的です。
リース契約時に、保険の加入が義務付けられていることがほとんどなので、契約内容をよく確認しましょう。

まとめ

社用車の導入は、単なる経費の支払い方法を選ぶことではありません。
それは、会社の「血液」であるキャッシュの流れをどうコントロールするかという、極めて重要な経営判断です。

心臓が止まるほどの大きなキャッシュアウトを覚悟してでも、長期的な総コストを抑え、資産として所有したいなら「現金・ローン購入」

会社の“血流”を穏やかに保ち、手元の現金を未来への投資に回し、銀行からの評価も高めたいなら「リース」

どちらが絶対的な正解ということはありません。
あなたの会社の今のステージと、5年後、10年後に描く未来の戦略によって、最適解は変わるのです。

この記事のシミュレーションや、元銀行員としての視点が、あなたの会社にとって最良の選択をするための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。

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この記事を書いた人

はじめまして。「資金繰りベスト」ライターの佐藤真由美と申します。埼玉県さいたま市在住の45歳、中小企業の資金繰りと経営管理を専門とするファイナンシャルアドバイザー兼ライターです。

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