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「人材確保」に使える!知られざる雇用関連の助成金・補助金を徹底解説

―朝、デスクに並ぶ履歴書はゼロ通。求人広告に何万円かけても音沙汰なし。
面接にこぎつけても「条件が…」と辞退される。
そして、やっと採用できた人材も数ヶ月で辞めてしまう――。

そんな“人が採れない”“定着しない”悩みを、いま多くの中小企業が抱えています。
実際、2025年現在のデータでは、正社員不足の企業は全体の53.4%にものぼり、人手不足倒産という言葉も現実味を帯びてきています。

かつて銀行で企業の融資審査を担当していた頃、
「資金はあっても、人がいなければ事業は回らない」
そんな現場の声を数多く耳にしてきました。

そして今、フリーの経営アドバイザーとして多くの経営者と対話する中でも、人材確保は最大の共通課題です。

見過ごされてきた“もう一つの資金源”

求人広告費を削るわけにはいかない。
人材紹介の手数料は高すぎる。
教育の時間すら取れない――。

そんなときにこそ活用していただきたいのが、「雇用関連の助成金・補助金」です。 といっても、厚生労働省や経済産業省の制度は数が多く、「難しそう」「よく分からない」と敬遠されがち。

佐藤 真由美

実際、中小企業の制度認知率は約5割あるにもかかわらず、利用率はわずか6%程度にとどまっています(中小企業庁調査より)。

これは、逆に言えば――
「今まで誰も使っていなかった支援制度を、御社が“初動で”活かせるチャンス」でもあります。

“人材不足倒産”を回避するための「お金の知恵」

本記事では、これまで私がコンサルタントとして中小企業の資金繰りや雇用戦略を支援してきた経験をもとに、実務で本当に使える助成金・補助金だけを厳選してご紹介します。

✔ 採用・定着に効く具体的な制度
✔ どの制度がどんな企業に向いているか
✔ 申請時に何がネックになるのか
✔ 社労士や外部サポートの上手な活用法
✔ 実際に「成功した会社・失敗した会社」のリアルな事例

これらを、“企業の血流”であるキャッシュフローの視点とともに解説していきます。

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🛡️この記事の監修者(運営会社・税理士による共同監修)

株式会社ウェブブランディング(運営会社)

資金繰り関連情報の総合的な監修を行い、正確で信頼性の高い情報提供を実現しています。

👤 東 岳夫(あずま たけお)氏
代表税理士 / 税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所

平成15年税理士登録、同年「税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所」を開業。「起業家支援」を自らの責務とし、「税理士はサービス業」をモットーに、数多くの企業のサポートを行っている。中小企業の資金調達や財務に関する専門的な監修を担当。
監修者プロフィール詳細(外部リンク)

目次

助成金・補助金の基礎知識と使い分け

助成金と補助金の違いを整理

制度の情報を調べ始めると、まず戸惑うのが「助成金」と「補助金」という2つの用語です。
似ているようで、実は申請の考え方や審査の有無がまったく異なります。

ここで一度、以下のように整理してみましょう。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ 助成金 ┃  原則、要件を満たせば“受給できる”     ┃
┃         ┃  審査なし(先着順・予算枠あり)          ┃
┃         ┃  雇用・育成・両立支援などが対象         ┃
┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫
┃ 補助金 ┃  申請後、“審査を通過した企業のみ”受給 ┃
┃         ┃  公募制・採択制(競争がある)            ┃
┃         ┃  設備投資・IT導入・創業支援などが対象   ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

つまり、助成金は「条件を満たせばほぼ確実にもらえる」資金
一方で、補助金は「審査を勝ち抜かないと得られない」資金とイメージしてください。

中小企業の人材確保という観点では、助成金のほうが利用ハードルが低く、即効性が高いという特長があります。
一方で、補助金は人材採用に直接的ではないものの、職場の省力化や設備投資によって“人を増やさずに生産性を高める”方向から人手不足対策として活用されるケースもあります。

助成金・補助金の違い

助成制度の管轄と種類

助成金・補助金は複数の省庁や自治体が所管しており、それぞれ目的や対象が異なります。以下に主な管轄と制度の特徴を簡単に整理してみます。

[厚生労働省]
  ├─ キャリアアップ助成金(非正規→正社員)
  ├─ 人材開発支援助成金(研修支援)
  └─ 両立支援等助成金(育児・介護支援)

[経済産業省]
  ├─ 省力化投資補助金(DX・設備投資)
  └─ IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金など

[地方自治体]
  ├─ UIJターン移住支援金
  └─ 独自の人材雇用・創業支援制度

[その他]
  └─ 公益法人・NPO等の委託事業による限定公募型も存在

多くの経営者が「制度が多すぎて選べない」と感じる理由は、提供元がバラバラで、情報が一元化されていないからです。
そのため、「まずは目的別に制度を仕分ける」「次に管轄機関ごとの支援内容を把握する」ことが、最初の一歩になります。

利用企業の傾向と制度認知率

制度自体は非常に充実しているにもかかわらず、実際に使われている割合は驚くほど低いのが現状です。

たとえば、2024年に行われた調査によれば、中小企業の助成金・補助金制度の認知率は51.5%
しかし、実際の活用率はわずか6.0%にとどまっています。

これは言い換えれば、“94%の企業がまだ使っていない”ということです。
つまり、いち早く制度を理解し、正しく使いこなすことで、他社に先んじて“人材確保の資金源”を手に入れることができるという強みになります。

「うちは小さいから対象外かも…」
「うちに合う制度なんてあるのかな…」

そんな不安を抱えていた企業こそ、実は要件にぴったり当てはまっているケースも多いのです。
次章では、実際に中小企業でも申請・受給しやすい助成金・補助金を厳選して紹介していきます。

中小企業が活用できる主な助成金・補助金一覧

キャリアアップ助成金(厚生労働省)

非正規から正社員へ――。
その転換にこそ、経営の明暗を分ける鍵があります。

この制度は、有期雇用・パート・派遣社員などを正社員に転換する取り組みに対して助成金を支給するものです。
特に、“正社員化コース”は最も利用率が高く、シンプルで導入しやすいのが特徴です。

支給額(2025年現在):

  • 原則:1人あたり40万円
  • 重点支援対象者(例:母子家庭の母など):最大80万円

実際の現場では、パート従業員を正社員登用したA社がこの制度を活用し、採用コストの軽減+定着率の向上を両立しました。

佐藤 真由美

ポイントは、「事前にキャリアアップ計画書を提出すること」。これを忘れると受給資格を失ってしまうため注意が必要です。

おすすめ企業

  • パートや契約社員を多く雇用している
  • 定着率を上げたい
  • 採用費が重くのしかかっている

関連: キャリアアップ助成金|厚生労働省

トライアル雇用助成金

「即戦力ではないが、伸びしろはある人材」
そんな求職者に出会ったときに活用したいのが、トライアル雇用助成金です。

これは、就職困難者(例:離職期間が長い若者、障がい者など)を試行雇用(原則3か月)する企業を支援する制度です。

支給額:

  • 1人あたり 月額4万円×最大3ヶ月=12万円

実務上のメリットは、「見極め期間を持ちながら、採用リスクを軽減できる」こと。
さらにこの制度は、「初めて助成金を使う企業にもハードルが低い」と社労士の間でも評判です。

関連: トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)|厚生労働省

人材確保等支援助成金

「働きやすさを整備して、採用を加速したい」
そんな企業の背中を押してくれるのが、この制度です。

人材の定着・確保につながる職場環境の改善を行った企業に対し、経費の1/2〜2/3を助成してくれます。

対象となる取組は多岐にわたり、以下のような例があります。

  • テレワーク制度の導入
  • 外国人労働者向け研修の実施
  • 作業場の空調・照明の改善
  • 働き方改革に関する制度改定

支給額例(雇用管理制度コース):

  • 1制度導入につき 20万円(最大80万円)

おすすめ企業

  • 採用してもすぐ辞めてしまう
  • 働きやすい職場に変えたいが、費用がネック
  • 外国人スタッフの比率が高くなってきた

関連: 人材確保等支援助成金|厚生労働省

人材開発支援助成金

人材育成こそ、最も効果的な“定着策”です。
この制度では、社員のスキルアップを目的とした研修(OJT・OFF-JT)にかかる費用を助成してくれます。

支給内容(中小企業の場合):

  • OFF-JT訓練費:1人あたり日額上限8,000円
  • 賃金助成:1人1時間あたり760円〜960円程度(研修中に支払う賃金の一部)

例えばB社では、入社1年未満の新卒社員にビジネスマナー研修を実施し、この助成金を活用。
結果として、離職率が前年比で30%改善し、若手社員の定着にもつながりました。

おすすめ企業

  • 社員研修をしたいが、コストがネック
  • 新人や中堅社員の定着率を上げたい
  • 「学びがある会社」という評価を得たい

関連: 人材開発支援助成金|厚生労働省

両立支援等助成金

「出産・育児・介護を理由に、優秀な人材が辞めていくのはもったいない」
そう感じている企業に、ぜひ知っていただきたいのがこの制度です。

両立支援等助成金は、出産・育児・介護といったライフイベントに直面する従業員の就労継続を後押しする取り組みを行った中小企業に対し、まとまった助成金を支給します。

特に利用が多いのは、「育児復帰支援コース」と「出生時両立支援コース(男性育休取得促進)」です。

主な支給例(2025年度):

  • 出産後に従業員を再雇用し、6か月以上継続雇用 → 57万円/人
  • 男性社員の育休取得を促進 → 最大72万円(複数人加算あり)
  • 代替要員確保型(中長期の育休取得)→ 最大140万円
佐藤 真由美

制度導入時には、就業規則の整備や制度説明の実施が求められるため、社会保険労務士との連携も推奨されます。

おすすめ企業

  • 出産・育児で女性社員の離職が多い
  • 育児や介護との両立支援を進めたい
  • 時短勤務制度や在宅勤務制度を整えたい

関連: 両立支援等助成金|厚生労働省

地方自治体・経済産業省系の補助金

人材確保の方法は、“人を採る”だけではありません。
「採用しなくても回る職場づくり」に貢献するのが、経産省や自治体が実施する補助金です。

◉ 省力化投資補助金(経済産業省)

この補助金は、人手不足を背景に、中小企業の生産性向上や作業負担軽減を支援する制度です。
対象は、ロボットやAI、業務システム、クラウドツール、搬送機器など。

補助内容(2025年度・一般型):

  • 補助率:1/2(特定要件で2/3)
  • 補助上限額:最大1億円
  • 要件:GビズID取得+J-Grants経由で申請

この制度は、「人を減らしても、業務は回る」ための先行投資を国が後押ししてくれるものです。
たとえば、物流業で自動仕分け装置を導入したC社は、採用人数を増やさずに、受注対応スピードが1.5倍に改善したという事例があります。

関連: 中小企業省力化投資補助金

◉ UIJターン移住支援金(都道府県・市区町村)

地方への移住とセットで人材確保を図る企業に適しているのが、この制度です。
東京圏から地方に移住し、地域企業へ就職・起業する人材に対して、都道府県・市町村が移住支援金を支給します。

支給例(一般的なケース):

  • 単身移住者:最大60万円
  • 世帯移住者:最大100万円+子ども加算

企業側のメリットは、この支援金が求人募集の魅力になること
「移住支援金対象求人」として自治体サイトに掲載され、新たな求職層へのアプローチが可能になります。

おすすめ企業

  • 地方都市で人材確保に苦戦している
  • UIターン志向の人材とマッチングしたい
  • 地元自治体の支援策をフル活用したい

ここまでで、中小企業でも使いやすい主な助成金・補助金制度をご紹介しました。
次は、これらの制度を「どう選び、どう使うか」を実務目線で深掘りしていきます。

助成金・補助金の選び方と活用ステップ

自社に適した制度を選ぶ手順

助成金や補助金の制度は数が多く、対象もさまざまです。「どれを選べばいいのか分からない」と感じるのは当然のこと。
そこで、筆者が現場でお伝えしている3つのステップをご紹介します。

ステップ1:課題の明確化

まずは、「自社がどんな課題を抱えているか」を洗い出します。

  • 採用がうまくいかないのか?
  • 採っても定着しないのか?
  • 社内制度が整っておらず、辞められてしまうのか?
  • 教育に時間もお金もかけられないのか?

このように、「人材確保のボトルネックは何か」を明確にしましょう。
多くの企業では、「定着」と「教育」がボトルネックになっている傾向があります。

ステップ2:該当制度のリストアップ

課題が明らかになったら、それに対応する助成金・補助金をリストアップします。
前章で紹介したように、課題と制度のマッピングは以下のように整理できます。

[課題]           [使える制度]
────────────────────────
採用できない      → トライアル雇用助成金
非正規が定着しない   → キャリアアップ助成金
若手が辞める      → 人材開発支援助成金
育休後に復職させたい  → 両立支援等助成金
働きやすさを高めたい  → 人材確保等支援助成金
人手をかけられない   → 省力化投資補助金
地方から採用したい   → UIJターン移住支援金

ここで重要なのは、「制度に自社を合わせる」のではなく、「自社に合う制度を選ぶ」という視点です。
無理に申請しても、要件を満たせず不支給になるケースは少なくありません。

ステップ3:申請要件・スケジュールを確認

最後に、制度の“使えるタイミング”と“自社の準備状況”を照らし合わせます。

たとえば…

  • キャリアアップ助成金:計画書を事前提出しないと対象外
  • 人材開発支援助成金:研修実施の前に申請書を出す必要あり
  • 補助金系:年に数回の公募に応募しなければならない
佐藤 真由美

「やってしまった後から申請」はできません。多くの制度は、“実施前”の届出・計画提出が大前提です。

そのため、導入前には必ず、申請要領を読み込む/専門家に確認することをおすすめします。

助成金活用の成功事例と注意点

では実際に、助成金を活用した企業のリアルな声をご紹介します。

◉ 成功事例:A社(従業員20名・製造業)

  • 非正規スタッフ4名を正社員登用
  • キャリアアップ助成金:計160万円受給
  • 導入前に社労士と連携し、キャリアアップ計画書を作成
  • 登用後の定着率:1年後で100%

経営者の声:「助成金というより“制度を整えるきっかけ”になった」

◉ 失敗事例:B社(従業員10名・飲食業)

  • 採用時にトライアル雇用助成金を申請予定だったが、労働条件通知書の整備が遅れ、申請が不可に
  • 店長が手続きに追われ、本業にも支障

経営者の声:「制度を使いたいなら、“紙とスケジュールの戦略”が重要

申請前に準備すべき書類と体制

助成金・補助金は、「手間をかければ確実にもらえる」資金です。
しかし、申請書類の抜け漏れや整備不備で不支給になるケースも少なくありません。

代表的な準備書類は以下の通りです。

  • 就業規則(最新のもの)
  • 賃金台帳・労働条件通知書
  • キャリアアップ計画書(助成金による)
  • 出勤簿・研修実施記録
  • 計画届・変更届(事前に提出が必要なケース多し)

また、社内に申請実務を担える人材がいない場合は、社労士・中小企業診断士・商工会議所等の外部支援を活用することが現実的です。
費用がかかる場合もありますが、「申請成功→助成金受給」でコストは十分回収可能です。

実務に役立つ申請のノウハウ

申請手順とスケジュール感

助成金・補助金の申請には、いずれも明確な“流れ”と“タイミング”があります。
とくに注意すべきは、「制度ごとに申請の起点が異なる」という点です。

以下に、一般的な助成金の申請ステップを示します。

【助成金の基本フロー】
① 計画書の提出(※多くは実施前が必須)
 ↓
② 制度実施(雇用、研修、環境整備など)
 ↓
③ 実施完了後、支給申請書類を提出
 ↓
④ 審査・振込(3~6ヶ月後が目安)

例えば、キャリアアップ助成金では「キャリアアップ計画書」を正社員転換前に提出しなければなりません
この提出を怠ると、どんなに制度に合致していても不支給となります。

また、補助金(例:省力化投資補助金など)は“事後申請不可・公募期間限定”のため、タイミングを逃すと再応募まで数ヶ月待つ必要が生じます。

書類不備・期限切れを防ぐチェックリスト

申請が通らない理由の多くは、「制度不適合」ではなく“書類の不備”や“提出漏れ”です。
ここでは、私が顧問先に共有している実務用チェックリストを簡易版としてご紹介します。

📄 助成金申請・事前チェックポイント
☑ 就業規則は最新か(育児・介護制度の反映あり)
☑ 賃金台帳・出勤簿・雇用契約書がそろっているか
☑ キャリアアップ計画書などの事前提出物は完了しているか
☑ 証拠書類(研修記録・写真・領収書等)を保管しているか
☑ 各種届出の控えをPDF等で保存しているか
☑ 電子申請の場合、GビズIDプライムが取得済みか
佐藤 真由美

「申請できる状態にあるか」を“チェックリスト形式で見える化”することで、社内でも進捗管理がしやすくなります。

オンライン申請や専門家サポートの活用法

最近では、多くの制度がオンライン申請に対応しています。
特に補助金系は、経産省が提供する「J-Grants(ジェイグランツ)」という電子申請ポータルの利用が原則です。

◉ J-Grantsの特徴

  • 申請から交付決定、実績報告、支払請求までを一元管理
  • PDF・Excel・JPEGなど各種ファイルで証拠資料をアップロード
  • GビズID(プライム)取得が必須(審査に数日〜1週間かかる)

💡 実務ポイント
「いざ申請!」の直前でGビズIDが未取得…という事例は非常に多いため、準備は“最低1ヶ月前”からが鉄則です。

◉ 専門家の活用で、確実性と時短を

社労士や中小企業診断士は、助成金・補助金申請のプロです。
特に助成金では、「制度の解釈が微妙な部分」や「現場の運用との整合性」が問われるケースが多く、“社労士の一言”で申請通過の可能性がぐっと上がることも珍しくありません。

費用の相場(2025年現在):

  • 着手金:0〜5万円
  • 成功報酬:受給額の10〜20%前後

「手間を惜しまず、自力でやる」も立派な選択肢ですが、“専門家のノウハウを買う”ことで、受給確度を高められる投資と考える企業も増えています。

助成金活用における課題とその克服法

よくある悩みと対策(Q&A形式)

制度の存在を知っていても、「実際には使えなかった」という声は少なくありません。
以下では、私が実際の相談現場で耳にしてきた代表的な悩みをQ&A形式で整理し、それぞれに対する具体的な対策を提示します。

Q1. 社員が協力してくれない…

「研修に出たがらない」「書類にサインしてくれない」「制度に懐疑的」など、現場の協力が得られないことは珍しくありません。

対策:

  • 「制度の目的とメリット」を明確に伝えること
  • 研修参加者には研修中の給与支給+スキル向上のメリットを説明
  • 書類記入や手続きには事前の合意形成と説明資料を用意する

✎現場では「制度を通じて会社がよくなる」というストーリーづくりが鍵です。

Q2. 制度が多すぎて、どれが合うか分からない…

「調べるだけで疲れてしまった」「違いがあやふやで申請を断念した」という相談も多いです。

対策:

  • 自社課題と制度マッピング(前章)で、まずは2~3制度に絞り込む
  • 地元の商工会議所・社労士・中小企業支援センターで無料相談を活用
  • 比較表や早見表を社内で共有し、意思決定をスムーズに

Q3. 申請しても不支給になったらどうしよう…

「不備で突き返されたら恥ずかしい」「審査落ちが怖い」という心理的ハードルも実在します。

対策:

  • 不備の多くは「要件未確認」や「事前届出漏れ」なので、申請前に要件チェックリストを活用
  • 初めての申請では、“一番シンプルな制度”から挑戦する(例:トライアル雇用助成金)
  • 不安な場合は、部分的に社労士とスポット契約するのも一案

Q4. 不正受給と誤解されたら怖い…

特に中小企業の経営者の中には、「知らずにルールを逸脱し、後で返還を求められるのでは」と心配する声もあります。

対策:

  • 重要なのは、「意図的な虚偽・水増し請求をしない」こと
  • 就業実態と書類を一致させる=“誠実にやる”ことが最大の防御
  • 相談時には「こういうケースでも対象になりますか?」と事前に確認する癖をつける

制度を「使い倒す」ための実践アドバイス

せっかく申請の手間をかけるのであれば、“1制度だけで終わらせない”のが賢い選択です。
ここでは、制度を効果的に“横断的に”活用するための視点をお伝えします。

◉ 複数制度の組み合わせ活用

例)新入社員を雇用し、育成・定着まで一連でサポート:

① トライアル雇用助成金(3ヶ月試行雇用)
 ↓
② キャリアアップ助成金(正社員転換)
 ↓
③ 人材開発支援助成金(OJT・OFF-JT研修)
 ↓
④ 両立支援等助成金(育休・介護支援で定着)

このように、“採用”から“育成”“定着”までのステップに連続して助成制度を組み込むことで、最大限の資金支援と人材効果が得られるのです。

◉ 補助金と助成金のハイブリッド戦略

  • 助成金で“人を支え”ながら、補助金で“人に依存しない仕組み”を整える
  • 例:キャリアアップ助成金 × 省力化投資補助金(人の定着と業務効率を同時支援)

◉ 社労士・支援機関の“ひと言助言”を使う

制度の文言や要件に迷ったら、「その場で10分でいいから聞ける相手」がいるかどうかがカギになります。

社労士や支援機関と良好な関係を築いておくと、
「これって申請対象になりますか?」「こういう人もOKですか?」といった細かな確認がすぐにできるようになり、
制度を“怖がらずに使い倒す”力がつきます。

まとめ

人材は企業の未来をつくる“資産”です。
売上が上がっても、回せる人がいなければ、利益は絵に描いた餅。
逆に言えば、「人が足りない」今だからこそ――
国や自治体の支援制度を“味方”につけることが、次の一手になります。

助成金や補助金は、決して「難しいもの」「大企業向けのもの」ではありません。
中小企業だからこそ、採用や教育にかけられるリソースが限られる。
だからこそ、“制度を使って育て、守る”という発想が経営力を底上げするのです。

佐藤 真由美

私自身、銀行員として「融資できない企業」に何度も直面しました。
でも実は、融資以外にも企業を支える“もう一つのお金の道”がある――それが助成金・補助金です。
それを一人でも多くの中小企業の方に届けたくて、今こうして書いています。

この記事を通じて、

  • 「こんな制度があったんだ」
  • 「うちにも当てはまりそう」
  • 「まずは一制度だけでも申請してみよう」

そんなふうに思っていただけたなら、本当にうれしく思います。

人材確保の難しさが増す今こそ、助成金・補助金は“経営戦略”の一部として活用すべき時代です。
そして、制度は待っていてもやってきません。

知って、動いて、受け取る。
その一歩が、御社の未来を大きく変えるかもしれません。

まずは「自社の課題を書き出す」ことから始めてみましょう。
その紙の一枚が、申請書に変わり、人材が変わり、企業が変わっていく――
そんな変化を、私も応援しています。

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この記事を書いた人

はじめまして。「資金繰りベスト」ライターの佐藤真由美と申します。埼玉県さいたま市在住の45歳、中小企業の資金繰りと経営管理を専門とするファイナンシャルアドバイザー兼ライターです。

目次