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ファクタリングの会計処理・税務処理を完全解説!経理担当者必見

こんにちは、金融コンサルタントの経験を持つライターの山田麻里です。

「急な資金需要でファクタリングを利用したのはいいものの、経理処理がさっぱりわからない…」
「この仕訳、本当に合っているんだろうか…?税務調査で指摘されたらどうしよう…」

中小企業の資金繰りをサポートする中で、このようなお悩みを本当に数多く伺ってきました。そのお気持ち、痛いほどわかります。

山田 麻里

ファクタリングは融資と異なり「債権の売買」という特殊な取引です。だからこそ、会計処理や税金の考え方が独特で、戸惑う方が多いのも無理はありません。

しかし、ご安心ください。
ポイントさえ押さえれば、処理は決して難しくありません。

この記事では、あなたの会社の経理担当者になったつもりで、2社間・3社間ファクタリングそれぞれの具体的な仕訳方法から、消費税の扱いや手数料の経費計上といった税務上の重要ポイントまで、豊富な事例を交えて網羅的に解説します。

この記事を最後まで読めば、あなたは自信を持ってファクタリングの経理処理に臨めるようになり、税務調査にも慌てない盤石な体制を整えられるでしょう。

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🛡️この記事の監修者(運営会社・税理士による共同監修)

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ファクタリング関連情報の総合的な監修を行い、正確で信頼性の高い情報提供を実現しています。

👤 東 岳夫(あずま たけお)氏
代表税理士 / 税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所

平成15年税理士登録、同年「税理士法人ベンチャーパートナーズ総合会計事務所」を開業。「起業家支援」を自らの責務とし、「税理士はサービス業」をモットーに、数多くの企業のサポートを行っている。中小企業の資金調達や財務に関する専門的な監修を担当。
監修者プロフィール詳細(外部リンク)

目次

まずは結論から!ファクタリング会計処理の3つの原則

この章を読めば、あなたはファクタリング会計処理の全体像を掴むことができます。
具体的な仕訳方法に入る前に、まず最も重要な3つの大原則を頭に入れておきましょう。ここを押さえるだけで、後の解説の理解度が格段に上がります。

原則1:取引は「債権の売買」。負債ではなく資産の減少として処理

ファクタリングは、借金ではありません。
これは、あなたの会社が持つ「売掛金(将来お金を受け取る権利)」を、ファクタリング会社へ売却する「債権の売買取引」です。

したがって、貸借対照表(B/S)上では、借入金のような「負債」が増えるのではなく、「売掛金」という資産が減少し、その対価として「現金預金」という資産が増える、という形になります。

【図解:ファクタリングのB/S上の動き】

  • 取引前
    • 資産:売掛金 100万円
  • ファクタリング実行後
    • 資産:現金預金 90万円(手数料10万円を引かれた場合)
    • 資産:「売掛金」は消滅
    • 負債:変動なし

【一行要約】 ファクタリングは借金じゃない。資産(売掛金)を資産(現金)に換える取引。


ファクタリングのB/S上の動き

原則2:手数料は「売上債権売却損」で経費(損金)計上

ファクタリング会社に支払う手数料は、経費として計上できます。
勘定科目は「売上債権売却損(うりあげさいけんばいきゃくそん)」を使うのが一般的です。

これは、100万円の価値がある売掛金を、手数料10万円を支払って90万円で売却した、つまり「10万円の損失を出して売却した」と考えるためです。この損失は、法人税法上の「損金」として認められ、課税対象となる所得を減らす効果(節税効果)があります。


【一行要約】 手数料は「売上債権売却損」として経費になる、と覚えましょう。


原則3:消費税は「非課税」。課税売上には含めない

ファクタリング取引そのものに、消費税はかかりません。
なぜなら、お金(金銭債権)の譲渡は、土地や有価証券の譲渡と同じように、消費に馴染まない「非課税取引」として消費税法で定められているからです。

商品を売ったり、サービスを提供したりするのとは性質が違う、金融取引の一種だとイメージしてください。したがって、ファクタリングで得た資金を、消費税の課税売上高に含めて申告する必要はありません。


【一行要約】 ファクタリングは金融取引なので、消費税はかからない。


【ケース別】ファクタリングの具体的な仕訳方法を徹底解説

この章を読めば、あなたは自社のケースに合わせた具体的な仕訳が、迷うことなくできるようになります。
ここでは、「100万円の売掛金を、手数料10%(10万円)でファクタリングした場合」を例に、具体的な数字を使って見ていきましょう。

ケース1:2社間ファクタリングの仕訳フロー

2社間ファクタリングは、あなたとファクタリング会社の2社だけで契約が完結します。
そのため、売掛先からは通常通りあなたの会社に売掛金が振り込まれ、そのお金をあなたがファクタリング会社へ送金する、という手間が発生します。この一連の流れを、4つのステップで見ていきましょう。

ステップ1:契約時(売掛金の資産振替)

まず、ファクタリング契約を結んだ時点で、通常の「売掛金」とは区別するために、管理上の勘定科目を振り替えます。これは必須ではありませんが、どの売掛金を譲渡したか明確にするために有効です。

借方金額貸方金額
未収入金1,000,000円売掛金1,000,000円

【山田のワンポイント】
なぜこの振替が必要か? それは「この売掛金は、もはや自由に使える自社の資産ではなく、ファクタリング会社へ支払うためのお金ですよ」と社内で明確にするためです。税理士によってはこの処理を省略する場合もありますが、やっておくと管理が格段に楽になります。

ステップ2:入金時(手数料の計上)

契約後、ファクタリング会社から手数料10万円が差し引かれた90万円が、あなたの会社の口座に入金されます。

借方金額貸方金額
普通預金900,000円未収入金1,000,000円
売上債権売却損100,000円

ステップ3:売掛先からの入金時(預り金の発生)

期日通り、売掛先から売掛金100万円が満額、あなたの口座に入金されます。
このお金は、すでにファクタリング会社に権利が移っているものなので、自社のお金ではありません。ファクタリング会社へ支払うまで一時的に預かっているお金、という意味で「預り金」として処理します。

借方金額貸方金額
普通預金1,000,000円預り金1,000,000円

ステップ4:ファクタリング会社への支払時

最後に、預かっていた100万円をファクタリング会社の口座へ送金し、取引は完了です。

借方金額貸方金額
預り金1,000,000円普通預金1,000,000円
2社間ファクタリングの仕訳フロー

ケース2:3社間ファクタリングの仕訳フロー

3社間ファクタリングは、売掛先も取引に加わり、売掛金の支払いを直接ファクタリング会社に行ってもらいます。そのため、あなたの会社が売掛金を回収して送金する手間がなく、会計処理も非常にシンプルになります。

ステップ1:契約・入金時

契約後、ファクタリング会社から手数料を引かれた金額が入金された時点で、仕訳はほぼ完了です。

借方金額貸方金額
普通預金900,000円売掛金1,000,000円
売上債権売却損100,000円

【山田のワンポイント】
3社間の場合、売掛先からあなたの口座への入金がないため、2社間のステップ3・4は発生しません。経理の手間を考えると、3社間ファクタリングは非常に楽だということがお分かりいただけると思います。

ケース3:債権譲渡登記が必要な場合の仕訳

2社間ファクタリングでは、将来のトラブルを防ぐために「債権譲渡登記」を求められることがあります。この登記にかかる費用は、ファクタリング手数料とは別に経費として計上します。

例えば、司法書士への報酬と登録免許税で合計5万円かかった場合、以下のように処理します。

借方金額貸方金額
支払手数料40,000円現金預金50,000円
租税公課10,000円

【要注意!】
司法書士への報酬には消費税がかかりますが、登録免許税にはかかりません。ファクタリング取引自体は非課税でも、こうした付随費用には消費税が課税されるケースがあることを覚えておきましょう。私がコンサルした企業でも、この費用の経費計上漏れはよくあるミスでした。

経理担当者なら知っておきたい!ファクタリングの税務処理Q&A

ここでは、税金に関する特に重要な疑問に、Q&A形式でズバリお答えします。

Q1. ファクタリング手数料は、本当に損金として認められますか?

A: はい、事業に関連する正当な費用として、法人税法上の損金として算入が認められます。

「売上債権売却損」として計上した手数料は、会社の利益から差し引くことができます。その結果、課税対象となる所得が減り、法人税の負担を軽減する効果(節税効果)が期待できます。
ただし、本来の目的は資金調達です。節税のためだけに、不必要に高い手数料のファクタリングを利用することは、かえって会社のキャッシュフローを悪化させるため推奨されません。

Q2. なぜファクタリングは消費税が非課税なのですか?

A: 消費税法で、金銭債権の譲渡は「非課税取引」と定められているためです。

これは、法律ができた背景として、お金や有価証券のやり取りを「消費」とは考えない、という思想があるからです。商品の売買やサービスの提供とは根本的に性質が異なる「金融取引」の一環と位置づけられている、と理解してください。

Q3. ファクタリングで消費税が課税される例外ケースはありますか?

A: はい、あります。

ファクタリング取引そのものは非課税ですが、契約に付随して発生する以下の様な費用には、消費税が課税されることがあります。

  • 債権譲渡登記にかかる司法書士への報酬
  • ファクタリング会社が提供するコンサルティング費用
  • 契約書に貼る印紙代以外の事務手数料

これらの費用に関する請求書を受け取った際は、消費税の記載があるか必ず確認しましょう。

Q4. インボイス制度導入で、何か影響はありますか?

A: ファクタリング取引自体に、インボイス制度の直接的な影響は基本的にありません。

ファクタリングは非課税取引のため、ファクタリング会社からあなたへ、あるいはあなたからファクタリング会社へインボイス(適格請求書)を発行する必要はありません。
ただし、大元である「売掛金が発生した取引」については、通常通り、あなたの会社が売掛先に対してインボイスを発行する義務がありますので、混同しないように注意してください。

よくある質問(FAQ)

Q: 個人事業主の場合、会計処理は変わりますか?

A: 基本的な考え方は法人と全く同じです。ただし、勘定科目が少し異なります。「売上債権売却損」という科目がない会計ソフトも多いため、その場合は「支払手数料」や「雑損失」で代用します。法人の「未収入金」や「預り金」の代わりに、「事業主貸」「事業主借」といった科目を使うこともあります。

Q: 決算書(B/S・P/L)にはどのように表示されますか?

A: 決算書は会社の成績表です。ファクタリングを行うと、以下のように表示されます。

  • 貸借対照表(B/S) → 「資産」の部で「売掛金」が減り、「現金預金」が増えます。負債は増えないため、自己資本比率が悪化せず、銀行からの見た目が良いというメリットがあります。
  • 損益計算書(P/L) → 「営業外費用」の区分に「売上債権売却損」が計上されます。これにより、経常利益がその分だけ減少します。

Q: ファクタリング会社から入金されたお金を「借入金」で処理してしまいました。どうすれば良いですか?

A: 速やかに修正仕訳を行ってください。 誤った処理は、金融機関から「この会社は債権譲渡と借入の区別もついていない」と見なされ、融資審査で不利になる可能性があります。税務調査でも指摘の対象です。顧問税理士に相談し、「借入金」を取り消し、「売掛金」の減少と「売上債権売却損」を計上する正しい仕訳に直しましょう。

Q: 手数料の勘定科目は「支払手数料」ではダメなのでしょうか?

A: 「支払手数料」で処理することも、会計上ただちに間違いとは言えません。しかし、金融取引の実態をより正確に表す「売上債権売却損」(営業外費用)で処理する方が、外部の専門家(銀行や税務署)から見ても分かりやすく、一般的です。どちらを使うにせよ、一度決めた会計方針を継続することが重要です。

Q: 税務調査で特に見られやすいポイントはどこですか?

A: 私がコンサルタント時代に見てきた中で、特にチェックされやすいのは以下の3点です。

  1. 契約書と会計処理の一致 → 契約内容と帳簿の数字がきちんと合っているか。
  2. 手数料の妥当性 →社会通念上、不当に高額な手数料になっていないか。(高すぎると利益供与を疑われる可能性も)
  3. 債権の実在性 → 架空の売掛金を譲渡していないか。

これらの点を証明するためにも、ファクタリング会社との契約書、請求書、通帳の入出金履歴は、必ずセットで保管しておきましょう。

まとめ:正しい会計処理が、会社の未来を守る

本記事では、ファクタリングの会計処理と税務処理について、具体的な仕訳例や注意点を交えながら解説しました。
最後に、重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。

  • 基本原則 → ファクタリングは「借入」ではなく「債権の売買」。
  • 仕訳のコツ → 手数料は「売上債権売却損」で経費計上。2社間では「預り金」の処理を忘れずに。
  • 税金のルール → 取引自体は「非課税」。手数料は「損金」になる。

正しい会計処理は、会社の正確な経営状況をタイムリーに把握するためだけでなく、税務上のリスクを回避し、金融機関からの信頼を維持するためにも不可欠です。

もし、この記事を読んでも処理に迷ったり、自社の特殊なケースに当てはめて考えたい場合は、決して一人で抱え込まないでください。まずは顧問税理士に相談するのが一番の近道です。

本記事が、あなたの会社の健全な資金繰りと、日々の経理業務の一助となれば、これほど嬉しいことはありません。

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この記事を書いた人

金融コンサルタントとしての経験を武器に、中小企業の資金調達や資金繰り改善に関する実践的な知識を発信する山田麻里。彼女のライティングは、難解な金融の専門知識をビジネスオーナーが実際に活用できる形で伝える力強さが特徴だ。「ファクタリングマガジン」では、資金調達の現場で培った経験と洞察を余すところなく読者に届けている。

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