アーリーステージのスタートアップにとって、資金調達は事業の成長速度を左右する最重要課題の一つです。
選択肢としてよく挙がるのが「VC(ベンチャーキャピタル)」と「ファクタリング」ですが、性質が全く異なるため、どちらを先に検討すべきか悩む経営者は少なくありません。
山田 麻里こんにちは。金融コンサルタントの山田麻里です。私はこれまで500社以上の中小企業やスタートアップの資金繰り改善やファクタリング導入支援を行ってきました。
その経験から、多くの経営者が「VCからの調達」という大きな目標に目を奪われ、足元のキャッシュフローを見失うケースを目の当たりにしてきました。
本記事では、あなたの会社の状況に合わせて最適な選択ができるよう、実践的な判断基準を徹底解説します。この記事を読めば、資金調達で遠回りすることなく、事業成長を加速させる一歩を踏み出せるでしょう。
【この記事の結論】VCとファクタリング、あなたの会社が先に検討すべき選択肢
| 比較項目 | VC(ベンチャーキャピタル) | ファクタリング |
|---|---|---|
| こんなとき | 事業を急成長・スケールさせたい | 短期的な運転資金がすぐに必要 |
| 資金の性質 | 「株式」を渡すエクイティファイナンス | 「売掛金」を売るアセットファイナンス |
| 調達スピード | 数ヶ月〜半年以上 | 最短即日〜数日 |
| 経営への影響 | 経営権の一部がVCに移る | 経営権に影響なし |
| 審査の対象 | 自社の将来性や経営チーム | 売掛先(取引先)の信用力 |


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【結論】VCとファクタリング、あなたの会社が先に検討すべきはこれだ
まず結論からお伝えします。VCとファクタリング、どちらを先に検討すべきかは、あなたの会社の目的と現在の状況によって明確に異なります。
重要なのは、「どちらが優れているか」ではなく、「自社の状況を正しく把握し、目的に合った手段を選ぶこと」です。以下の2つの視点で考えてみましょう。
短期的な運転資金・キャッシュフロー改善なら「ファクタリング」
売掛金の入金サイトが長く、当面の運転資金が不足しているケースでは、ファクタリングが有力な選択肢となります。
例えば、SaaSスタートアップで広告費の支払いが迫っているが、顧客からの入金は2ヶ月先という状況を考えてみましょう。このような場合、売掛債権を数日で現金化できるファクタリングは、すぐに資金が必要な状況に対する有効な解決策です。
ファクタリングは、返済義務がなく、経営権にも影響しません。急な資金需要に対応しながら、経営の自由度を保つことができるのです。
事業の急成長・スケールを目指すなら「VC」
プロダクトマーケットフィット(PMF)が見え、大規模な投資で一気に市場シェアを取りに行きたいケースでは、VCからの調達を視野に入れるべきです。
PMF達成後のシリーズAを目指す段階では、数億円規模の資金調達が必要になることも珍しくありません。VCは単なる資金提供者ではなく、経営ノウハウやネットワークを提供してくれる長期的なパートナーとなります。事業を急成長させ、市場での優位性を確立したい場合、VCは強力な味方となるでしょう。
そもそも全くの別物!VCとファクタリングの根本的な違い
VCとファクタリングを比較する前に、まず理解すべきは、この二つが根本的に異なる性質の資金調達方法だということです。
VC:株式を渡して資金を得る「エクイティ・ファイナンス」
VCからの資金調達は、「エクイティ・ファイナンス(株式による資金調達)」に分類されます。これは、あなたの会社の株式の一部をVCに譲渡し、その対価として資金を得る方法です。
最大の特徴は、返済義務がないことです。融資とは異なり、毎月の返済に追われることはありません。しかし、株式を渡すということは、経営権の一部を譲渡することを意味します。VCは株主として経営に深く関与し、事業計画の達成を求めてきます。



VCは、あなたの会社の未来の可能性に投資します。そのため、審査では経営チームの実績、市場の成長性、革新的なビジネスモデルといった、将来の大きなリターン(キャピタルゲイン)に繋がる要素が厳しく評価されます。
ファクタリング:売掛金を売って資金を得る「アセットファイナンス」
一方、ファクタリングは「アセットファイナンス(資産による資金調達)」に分類されます。これは、あなたの会社が既に持っている売掛債権(請求書)をファクタリング会社に売却し、その対価として資金を得る方法です。
ファクタリングも返済義務はありません。なぜなら、これは「借入」ではなく「債権の売買」だからです。そして、株式を渡すわけでもないため、経営権に一切影響がありません。
ファクタリングの審査で最も重視されるのは、あなたの会社ではなく、売掛先(取引先)の信用力です。そのため、自社が赤字決算であっても、信頼できる取引先への売掛債権さえあれば、迅速に資金化できるのです。
比較表:目的・スピード・コスト・経営への影響
| 比較項目 | VC(エクイティ・ファイナンス) | ファクタリング(アセットファイナンス) |
|---|---|---|
| 資金調達の性質 | 株式の譲渡 | 売掛債権の売却 |
| 目的 | 事業の急成長・スケール | 短期的な運転資金確保 |
| 審査の対象 | 自社の将来性、経営チーム、市場規模 | 売掛先の信用力 |
| 審査の厳しさ | 極めて厳しい(通過率1~3%) | 比較的緩やか(赤字でも利用可) |
| 調達スピード | 数ヶ月~半年以上 | 最短即日~数日 |
| 調達可能額 | 数億円~数十億円 | 売掛債権の範囲内(数万円~数億円) |
| コスト | 株式の希薄化(経営権への影響) | 手数料(2社間:8~18%、3社間:5~10%) |
| 返済義務 | なし | なし |
| 経営への影響 | VCが経営に関与 | 経営権に影響なし |
この表からも分かるように、VCとファクタリングは、目的も性質も全く異なる資金調達方法です。どちらが優れているというわけではなく、自社の状況に応じて使い分けることが重要なのです。
アーリーステージのスタートアップがVCを検討するメリット・デメリット
それでは、VCからの資金調達がもたらす影響を、メリットとデメリットの両面から見ていきましょう。
メリット:大規模な資金調達と強力な成長支援
1. 返済不要のまとまった資金
VCからの調達では、数億円規模の資金を一度に得ることができます。しかも返済義務がないため、毎月のキャッシュフローを圧迫することなく、事業成長に集中できます。
2. VCが持つネットワークと経営ノウハウ
VCは単なる資金提供者ではありません。多くのVCは、投資先企業の成長を支援するため、経営ノウハウの提供、優秀な人材の紹介、ビジネスパートナーとの引き合わせなど、様々な支援を行います。
特に、アーリーステージのスタートアップにとって、経験豊富なVCのアドバイスは、事業の方向性を定める上で非常に価値があります。
3. 信用力の向上
著名なVCから出資を受けることは、市場からの信用力を大きく高めます。「あのVCが投資した会社」という評価は、次の資金調達や優秀な人材の採用、大手企業との提携交渉などで、大きなアドバンテージとなります。
デメリット:経営の自由度の低下と厳しいプレッシャー
1. 株式比率の低下による経営権の希薄化
VCに株式を譲渡することで、創業者の持ち株比率は低下します。複数回の資金調達を経ると、創業者の持ち株比率が50%を下回り、経営の意思決定において自由度が制限される可能性があります。
2. 事業計画達成への強いプレッシャー
VCは投資のリターンを求めます。そのため、事業計画の達成に対して強いプレッシャーがかかります。短期的な利益よりも長期的な価値創造を重視したい場合でも、VCの意向に沿った経営を求められることがあります。
3. 審査の厳しさと調達までの時間
VCの審査は極めて厳しく、通過率は1~3%程度と言われています。また、審査から契約締結まで、平均して6ヶ月以上かかることも珍しくありません。急な資金需要には対応できないのが現実です。
アーリーステージのスタートアップがファクタリングを検討するメリット・デメリット
次に、私の専門分野であるファクタリングについて、実務経験に基づいたリアルな活用法と注意点を解説します。
メリット:圧倒的な調達スピードと経営の独立性維持
1. 最短即日での資金化が可能
ファクタリングの最大の強みは、そのスピードです。オンライン完結型のファクタリングサービスでは、申し込みから最短即日で入金されるケースもあります。急な資金需要に対して、これほど迅速に対応できる資金調達方法は他にありません。
2. 担保・保証人が不要
ファクタリングは債権の売買であり、融資ではありません。そのため、担保や保証人を用意する必要がなく、手続きが非常にシンプルです。
3. 赤字でも利用可能
ファクタリングの審査で重視されるのは、売掛先の信用力です。そのため、自社が赤字決算であっても、信頼できる取引先への売掛債権があれば、資金化できる可能性が高いのです。



私がコンサルティングを行った創業2年目のSaaS企業では、赤字決算で銀行融資を断られた状況でしたが、大手企業への売掛債権をファクタリングで資金化し、広告投資を継続することができました。その結果、3ヶ月後にはPMFを達成し、VCからの出資を受けることに成功しました。
4. 経営の独立性を維持
株式を渡すわけではないため、経営権に一切影響がありません。自分の思い描く経営を、自由に実行できます。
デメリット:手数料の高さと調達額の上限
1. 融資に比べて手数料が割高
ファクタリングの手数料は、2社間ファクタリングで8~18%、3社間ファクタリングで5~10%程度が目安です。銀行融資の金利(年利1~3%程度)と比較すると、コストは高くなります。
ただし、これは「時間」と「機会」を買うコストとして考えるべきです。例えば、手数料10%で1,000万円を1ヶ月早く資金化できたとします。その100万円の手数料で、VCとの交渉を有利に進め、数千万円の評価額向上や、1%の株式希薄化の回避が実現できるとしたら、それは非常に安い投資と言えるのではないでしょうか。
2. 保有する売掛債権額以上の資金は調達できない
ファクタリングで調達できる金額は、保有する売掛債権の額が上限です。数億円規模の大型資金調達には向いていません。あくまで、短期的な運転資金の確保や、次の資金調達までのつなぎ資金として活用するのが賢明です。
【実践編】どちらを先に検討すべき?4つの状況別判断チャート
ここからが、この記事の核となる部分です。私のコンサルティング経験に基づいた、具体的な状況別の判断基準を提示します。あなたの会社が今、どの状況に当てはまるかを考えながら読み進めてください。
状況1:売掛金はあるが、急な支払いで資金が足りない
→ まずは「ファクタリング」を検討
具体例:
SaaSスタートアップのA社は、大手企業との契約を獲得し、月間100万円の売上が立つようになりました。しかし、入金サイトは60日後。一方で、広告費やサーバー費用などの支払いは毎月発生します。今月、大型の広告キャンペーンを実施したいが、手元の現金が不足している状況です。
判断基準:
このケースでは、確実に入金が見込まれる売掛債権が既にあります。ファクタリングを活用すれば、数日で資金化でき、広告キャンペーンを予定通り実施できます。
VCからの調達を待っていては、機会を逃してしまいます。まずはファクタリングで当面の資金を確保し、事業成長を優先すべきです。
状況2:プロダクト開発や人材採用で大規模な投資が必要
→ 「VC」からの調達を視野に事業計画を練る
具体例:
AIスタートアップのB社は、PMFを達成し、顧客からの引き合いが急増しています。しかし、現在のチームでは対応しきれず、エンジニアを10名増員する必要があります。また、プロダクトの機能拡張にも大規模な投資が必要です。必要な資金は、今後1年間で3億円と見積もられています。
判断基準:
このケースでは、数億円規模の資金が必要であり、ファクタリングでは対応できません。PMFを達成し、明確な成長戦略があるのであれば、VCからのシリーズA調達を目指すべきタイミングです。
事業計画を綿密に練り、複数のVCにアプローチを開始しましょう。ただし、調達完了までの運転資金が不足する場合は、ファクタリングを併用することも検討してください。
状況3:銀行融資の審査に落ちたが、運転資金は必要
→ 「ファクタリング」が有力な選択肢に
具体例:
受託開発を行うスタートアップC社は、創業1年目で赤字決算。銀行融資を申し込んだものの、実績不足を理由に審査に落ちてしまいました。しかし、大手企業からの受託案件が複数あり、確実に入金が見込まれる売掛債権を保有しています。
判断基準:
ファクタリングの審査で重視されるのは、売掛先の信用力です。自社の財務状況が弱くても、取引先が安定した企業であれば、ファクタリングは利用できる可能性が高いのです。
銀行融資が難しい状況でも、ファクタリングなら資金調達できるケースは多々あります。まずは、保有する売掛債権の内容を整理し、ファクタリング会社に相談してみましょう。
状況4:VCとの交渉中だが、次のラウンドまでの資金が尽きそう
→ 「つなぎ資金」としてファクタリングを活用
具体例:
フィンテックスタートアップのD社は、シリーズAの調達に向けて複数のVCと交渉中です。手応えは良好ですが、契約締結まであと2ヶ月かかる見込み。しかし、手元の運転資金は残り1ヶ月分しかありません。
判断基準:
これは、ファクタリングを「ブリッジファイナンス(つなぎ資金)」として戦略的に活用すべき典型的なケースです。
VCとの交渉が順調に進んでいても、資金が尽きてしまえば、不利な条件を飲まざるを得なくなります。ファクタリングで1~2ヶ月分の運転資金を確保し、VCとの交渉を有利に進めることが賢明です。
手数料はかかりますが、不利な条件で株式を希薄化させることに比べれば、はるかに安価なコストです。
よくある質問(FAQ)
最後に、クライアントからよく寄せられる質問にお答えします。
Q: VCの審査はどのくらい厳しいですか?
A: 非常に厳しいと言えます。VCの審査通過率は1~3%程度と言われています。事業の新規性、市場の成長性、経営チームの実績などが総合的に評価されます。単なる資金提供ではなく、将来の大きなリターンを期待した「投資」であるため、事業計画の緻密さが求められます。
Q: ファクタリングの手数料相場はどのくらいですか?
A: 取引形態によって大きく異なります。売掛先に通知する「3社間ファクタリング」は1%~9%程度、通知しない「2社間ファクタリング」は8%~18%程度が目安です。スピードや手軽さを取るか、コストを抑えるかで選択が変わります。
Q: 赤字決算のスタートアップでもファクタリングは利用できますか?
A: はい、利用できる可能性は十分にあります。ファクタリングの審査で最も重視されるのは、申込企業ではなく「売掛先の信用力」だからです。取引先が安定した企業であれば、自社が赤字でも資金化できるのが大きなメリットです。
Q: VCとファクタリングは併用できますか?
A: はい、併用は可能です。例えば、VCからの大規模な資金調達を目標としつつ、当面の運転資金をファクタリングで確保する、といった戦略的な使い分けが有効です。資金調達方法を複数持つことで、経営の安定性が増します。
Q: 経営権を渡さずに資金調達する方法は他にありますか?
A: はい、日本政策金融公庫からの創業融資などの「デット・ファイナンス(融資)」があります。これは借入金であり返済義務が生じますが、経営権には影響しません。ファクタリングも経営権に影響しない資金調達方法の一つです。
まとめ
アーリーステージのスタートアップにとって、VCとファクタリングはどちらが優れているというものではなく、自社のフェーズと目的に応じて使い分けるべき「ツール」です。
短期的な運転資金やキャッシュフロー改善が必要なら、ファクタリングを先に検討しましょう。
圧倒的なスピードで資金化でき、経営の自由度を保ちながら、事業成長に集中できます。
事業の急成長・スケールを目指し、大規模な投資が必要なら、VCからの調達を視野に入れましょう。
返済不要の大型資金と、VCの持つネットワークや経営ノウハウが、あなたの事業を次のステージへと押し上げます。
そして、この二つは対立するものではありません。
ファクタリングで足元を固めながらVCとの交渉を進める、VCからの調達までのつなぎ資金としてファクタリングを活用する、といった併用戦略が、最も賢明な選択となることも多いのです。
まずは自社のキャッシュフローと事業計画を冷静に見つめ直し、最適な一手を選択することが重要です。
資金調達は目的ではなく、事業を成長させるための手段です。焦らず、自社に合った方法を慎重に選びましょう。


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