売掛金は発生しているのに入金は数ヶ月先…。そんな資金繰りのジレンマに頭を抱えていませんか?
急な支払いや設備投資のチャンス、税金納付など、「今すぐ資金が必要」という状況は中小企業にとって日常茶飯事です。
銀行融資は審査に時間がかかり、条件も厳しい。
こんな時、多くの経営者が見落としがちな強力な選択肢が「ファクタリング」です。

ファクタリングとは、売掛金を早期に現金化できる金融サービス。
銀行融資と違って、担保や保証人は不要で、最短即日で資金調達が可能です。
私は金融コンサルタントとして数多くの中小企業の資金繰り改善をサポートしてきました。
本記事では、初めてファクタリングを利用する方に向けて、申込から入金までの5つのステップを具体的に解説します。
必要書類のリストや契約時の注意点まで、実務経験に基づいたノウハウを余すことなくお伝えします。
この記事を読めば、ファクタリングという選択肢を正しく理解し、スムーズな資金調達への第一歩を踏み出せるはずです。
そもそもファクタリングとは?基本と種類をサクッと理解
現金が必要なのに、入金はまだ先…。そんな時に活用できるのがファクタリングです。
まずは基本的な仕組みと種類を理解しましょう。
ファクタリングの仕組み:なぜ売掛金を早く現金化できるのか?
ファクタリングとは、簡単に言えば「売掛金(まだ回収していない請求書)を買い取ってもらう金融サービス」です。
例えば身近な例で説明すると、会社員の「給料の前借り」に少し似ています。
働いた対価(売掛金)をすでに得ているけれど、実際の給料日(入金日)はまだ先。そんな時に、前借り(ファクタリング)で早めに一部を受け取る仕組みです。
ただし、ファクタリングは「借入」ではなく「売掛債権の売却」です。
この違いは重要で、以下のメリットがあります。
- 負債として計上されない(貸借対照表に借入金が増えない)
- 信用情報に影響しない
- 金融機関の融資枠を使用しない
つまり、「借りる」のではなく「売る」ことで資金を得るのです。
💡 ワンポイントアドバイス
ファクタリングは平成12年に信託業法が改正され、急速に普及してきました。2020年の民法改正で債権譲渡制限特約が撤廃されたことで、さらに利用しやすくなっています。
債権法改正により資金調達が円滑になります
主なファクタリングの種類:自社に合うのはどれ?
ファクタリングには大きく分けて「2社間」と「3社間」の2種類があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
項目 | 2社間ファクタリング | 3社間ファクタリング |
---|---|---|
関係者 | 利用企業とファクタリング会社の2者 | 利用企業、ファクタリング会社、売掛先の3者 |
取引先への通知 | 不要(原則として知られない) | 必要(債権譲渡通知を送付) |
手数料相場 | 高め(10〜20%程度) | 安め(1〜9%程度) |
資金化スピード | 非常に速い(最短即日) | やや遅い(1〜2週間程度) |
向いている企業 | 取引先に知られたくない、緊急性が高い | コスト重視、取引先との関係が良好 |
さらに、業種に特化したファクタリングもあります。
医療・介護報酬ファクタリング
- 診療報酬や介護報酬債権に特化
- 国保連や社保から2ヶ月後に支払われる報酬を早期現金化
- 公的機関が支払元のため信用度が高く、手数料は0.25〜数%と非常に低廉
- 医療機関や介護事業者に人気の資金調達方法



私の経験上、初めてファクタリングを利用する場合は、手数料は高めでも取引先に知られずに済む2社間を選ぶ企業が多いです。
一方、定期的に利用するならコスト面で有利な3社間を検討する価値があります。
次のセクションでは、実際のファクタリング申込から契約までの流れを5つのステップで詳しく解説します。
初めてでも安心!ファクタリング申込〜契約までの5ステップ徹底解説
ファクタリングの基本を理解したところで、いよいよ実際の申込から契約までの流れを見ていきましょう。
初めての方でも迷わないよう、5つのステップに分けて解説します。
ステップ1:事前相談・問い合わせ ~まずは情報収集から~
ファクタリング利用の第一歩は、情報収集と事前相談です。
この段階では、自社の売掛金がファクタリングの対象になるか、だいたいどのくらいの手数料になるかなどの基本情報を得ることが目的です。
相談方法
- インターネット(オンライン): 多くの会社はWebフォームから24時間相談を受け付けています。基本情報を入力するだけで簡単に問い合わせできます。
- 電話: 直接担当者と話しながら相談したい場合におすすめです。
- 対面窓口: 近くに店舗がある場合は、訪問して相談することも可能です。
- メール・郵送: 電話やオンラインが苦手な方向けの方法です。
相談時に伝えるべき主な情報
- 会社名、所在地、代表者名など基本情報
- 売掛金の金額と取引先情報
- 希望する契約形態(2社間か3社間か)
- 希望調達額や条件
🔑 重要ポイント
一社だけでなく、必ず複数のファクタリング会社に相談しましょう。相見積もりを取ることで、手数料の相場感がつかめ、より有利な条件を引き出せる可能性があります。相談自体は無料ですので、遠慮せず複数社に問い合わせてください。
私がクライアントにアドバイスする際も、必ず3社以上の見積もりを比較検討するよう勧めています。
手数料に数%の差が出るだけでも、大きな金額になりますからね。
ステップ2:申込み ~Webで簡単!仮申込へ~
事前相談で条件に納得できたら、次は正式な申込みです。
多くの場合、この段階では「仮申込」という扱いになります。
申込方法
かつては電話申込みが主流でしたが、現在はホームページ上のオンライン申込フォームが一般的です。
基本情報をフォームに入力し送信する形が多いでしょう。
申込時に入力・伝達する主な情報
- 会社名(屋号)、所在地、代表者名
- 売掛金額や取引先の情報(業種、与信状況)
- 希望する契約形態、希望調達額
- 連絡先(担当者名、電話番号、メールアドレス)
- 資金調達の目的や緊急度(任意の場合も)
申込み自体には費用はかかりません。また、この段階ではまだ契約ではないので、「申込んだからといって必ず契約しなければならないわけではない」点が安心ポイントです。条件に納得できなければ断ることも可能です。
ここでも前述の通り、複数社に同時に申込みを進めておくと比較検討しやすくなります。
審査結果を見比べて、より有利な条件のファクタリング会社を選びましょう。
ステップ3:必要書類の提出 ~審査通過のカギ!早めの準備を~
申込が完了すると、次はファクタリング会社から必要書類の提出を求められます。
これは審査に必要な資料で、会社によって多少の違いはありますが、基本的には以下のような書類が必要になります。
ファクタリング契約時に必要となる主な書類
□ 本人確認書類(代表者の身分証明書)
- 運転免許証やマイナンバーカードなど
- 法人・個人事業主問わず必要
□ 売掛債権の存在を証明できる書類
- 取引先との基本契約書
- 請求書、納品書、発注書など
- ※最も重要な書類です
□ 通帳(入出金履歴がわかるもの)
- 直近数ヶ月分の取引履歴
- オンライン明細でも可の場合あり
□ 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 法人の場合のみ必要
- 発行3ヶ月以内のものが一般的
□ 決算書または確定申告書
- 直近1〜2期分
- 会社の財務状況確認用
□ 印鑑証明書(代表者の実印)
- 契約締結時に実印を押す場合に必要
- 発行3ヶ月以内のもの
📝 ポイントまとめ
これらの書類は事前に揃えておくと審査がスムーズです。特に「売掛債権の証明書類」は審査の要となりますので、請求書や契約書はすぐ出せるよう準備しておきましょう。オンライン完結型のファクタリングでは、スマホで撮影してアップロードする形になることが多いです。



書類不備が審査の遅延につながるケースが非常に多いです。
私の経験上、書類をきちんと準備できている企業は、そうでない企業と比べて1〜2日は早く資金調達できています。
時間に余裕があれば申込前から一式コピーを用意しておくとさらに良いでしょう。
ステップ4:審査 ~何をチェックされる?通過のポイント~
必要書類の提出が完了すると、いよいよファクタリング会社による審査が行われます。
ここでは何がチェックされるのか、また審査を通過するポイントを解説します。
審査のポイント
ファクタリング審査で最も重視されるのは「売掛債権の信用度」です。
これは銀行融資と大きく異なる点です。
銀行融資では自社の財務状況や信用情報が重要視されますが、ファクタリングでは「売掛先(債務者)がしっかり支払ってくれるかどうか」が最重要項目になります。
審査で主にチェックされる項目
🔍 売掛先の実態・信用
- 債務者(取引先)の企業規模や業績
- 過去の支払い遅延の有無
- ペーパーカンパニーや個人事業主相手の債権は警戒される傾向あり
🔍 債権の内容
- 売掛債権が実在する正当な取引によるものか
- 金額や支払期日は適切か
- 取引実績が浅い債権は慎重に見られる
🔍 二重譲渡などのリスク
- 同じ売掛金を他社に譲渡していないか
- 銀行に担保提供されていないか
🔍 資金調達の理由
- なぜ資金が必要なのか(資金使途)
- 健全な理由(仕入れ資金、運転資金など)が望ましい
🔍 経営者・担当者の応対
- 質問に的確に答えられるか
- 誠実な対応をしているか
審査期間は会社によって異なりますが、早ければ数時間〜半日程度で完了し、遅くとも1〜3営業日以内には結果が出ることが一般的です。
🔍 専門家の見解
ファクタリングは他の金融手段に比べて審査に通りやすいと言われています。通過率は90%以上と公表する会社もありますが、100%ではありません。売掛先の信用に問題があったり、債権内容に疑問点があると審査落ちする可能性もあります。
審査通過後は、具体的な契約条件(手数料率、買取額など)が提示されます。複数社に申込んでいれば、この段階で条件を比較して最適な会社を選びましょう。
手数料だけでなく、契約条件全体(入金日、償還請求権の有無など)も考慮することが重要です。
ステップ5:契約締結・入金 ~最終確認と資金の受け取り~
審査に通過したら、いよいよ契約締結です。ここが最も重要な段階と言っても過言ではありません。
契約内容をしっかり確認し、問題なければ正式に契約を結びます。
契約締結の流れ
- ファクタリング会社から契約書が発行される
- 契約内容を隅々まで確認し、不明点は質問
- 署名・捺印して契約締結
- 契約後、指定口座に買取代金が振り込まれる
契約書は通常2通作成され、双方で1通ずつ保管します(印紙税節約のため1通のみの場合も)。
契約時にチェックすべき重要事項
- 償還請求権(リコース)の有無
- 債権譲渡通知の扱い
- 債権譲渡登記の要否
- 手数料およびその他費用
- 報告義務
- 損害賠償・違約金
- 契約期間・解約条件
あるクライアント企業は、契約書チェックの際に「償還請求権あり」になっていることに気づき、交渉して「なし(ノンリコース)」に変更できました。その後、実際に売掛先が経営危機に陥ったときも、返金義務は発生せず、リスクを回避できました。
入金のタイミングは契約形態によって異なります。
2社間ファクタリングでは契約締結後すぐに(即日〜翌営業日に)資金が振り込まれるのが一般的です。契約後の流れも確認しておきましょう。
- 2社間の場合: 利用企業は売掛先から支払期日に売掛金を回収したら、約定日にファクタリング会社へその金額を送金
- 3社間の場合: 売掛先が直接ファクタリング会社に支払うので、利用企業の役割は契約時点で終了
これで5つのステップが完了し、無事に資金調達が実現します。
次のセクションでは、契約前に特に注意すべきポイントについて、さらに詳しく解説します。
【重要】ファクタリング契約前に必ずチェックすべきポイント
ファクタリングの申込から契約までの流れを理解したところで、トラブルを避けるために契約前に必ずチェックすべきポイントを解説します。
「償還請求権なし(ノンリコース)」を選べているか?
ファクタリング契約で最も重要なチェックポイントが「償還請求権(リコース)の有無」です。
これは万が一売掛先が倒産した場合などに、誰がリスクを負うかを決める条項です。
償還請求権の種類と違い
- 償還請求権なし(ノンリコース)契約
- 売掛先が倒産や支払不能になっても、利用企業に返済義務なし
- リスクはファクタリング会社が負担
- 万一の場合でも資金繰りに影響しない
- 償還請求権あり(リコース)契約
- 売掛先の倒産時、利用企業が代金を返還する義務あり
- 実質的には「担保付き融資」に近い形態になる
- リスクヘッジの観点では不十分



多くのファクタリングはノンリコース型が一般的ですが、中小ファクタリング会社の中にはリコース契約を結ぶところもあります。
「万一のとき誰がリスクを負うか」を事前に理解し、可能なら償還請求権なしを選ぶことが重要です。
🧠 考えてみよう
契約書に「償還請求権の有無」が明記されているか確認してください。不明確な場合は必ず質問しましょう。「売掛先が倒産した場合、当社はお金を返す必要がありますか?」と直接聞くのが一番確実です。
実務上、特に初めてファクタリングを利用する企業は、この条項を見落としがちです。
しかし、ここが最大のリスクポイントになる可能性があるため、必ず確認しましょう。
手数料は適正か?相場とかけ離れていないか?
次に確認すべきは手数料です。
相場から著しく外れていないか、事前に伝えられた条件と一致しているかをチェックします。
ファクタリング手数料の相場
- 2社間:10〜20%程度
- 3社間:1〜9%程度
- 医療・介護報酬ファクタリング:0.25〜数%
この相場を参考に、提示された手数料が適正か判断しましょう。
また、手数料以外の費用(事務手数料、登記費用、印紙代など)も含めていくら差し引かれるのか、総額で確認することが重要です。
例えば、売掛金1,000万円の場合:
- 2社間で手数料15%なら、受取額は約850万円
- 3社間で手数料5%なら、受取額は約950万円
同じ1,000万円の債権でも100万円もの差が出ることになります。
資金需要の緊急度と手数料のバランスを考慮して選びましょう。
📊 データポイント
私の経験上、手数料は企業の状況や売掛先の信用度によっても変動します。大企業向けの売掛金なら3社間で2〜3%台、中小企業向けでも5〜7%台で契約できるケースが多いです。
手数料が高すぎると感じたら、他社の条件を提示して交渉してみるのも一つの手です。
複数社から見積もりを取っておくと、この交渉の際に有利になります。
悪徳業者ではないか?信頼できる会社の見分け方
残念ながら、ファクタリング業界には一部悪徳業者も存在します。
契約前に以下のポイントをチェックして、信頼できる会社かどうか見極めましょう。
信頼できるファクタリング会社の見分け方
✅ 会社情報の透明性
- 特定商取引法に基づく表示がある
- 所在地、連絡先、代表者名が明記されている
- 法人登記が確認できる
✅ 契約の透明性
- 契約書を事前に確認させてくれる
- 不明点への回答が明確
- 強引な勧誘や契約の急かしがない
✅ 手数料の明確さ
- 手数料が明示され、相場から極端に外れていない
- 隠れた費用や追加請求がない
- 条件の説明が一貫している
✅ 業界での実績・評判
- 業界団体(日本ファクタリング業協会など)への加盟
- 顧客の評価や口コミが確認できる
- 金融機関との提携や連携がある
「手数料が安ければ安いほど良い」とは限りません。あまりに低すぎる手数料を提示する会社は、契約後に追加費用を請求するケースや、契約条件に問題があるケースがあります。総合的な信頼性を判断することが大切です。



私のクライアントで、「手数料10%」と言われていたのに、契約書では「20%」になっていたケースがありました。契約前に必ず数字を確認することが重要です。
また、法外な違約金(債権額の50%など)が設定されている契約書も見かけるので注意が必要です。
ファクタリング利用のメリット・デメリット再確認
ファクタリングの申込流れと契約時の注意点を理解したところで、改めてメリットとデメリットを整理し、自社に合った判断ができるようにしましょう。
メリット:資金繰り改善だけじゃない!こんな利点も
1. 資金調達のスピード
- 最短即日での資金化が可能
- 銀行融資(通常2週間〜1ヶ月)と比べて圧倒的に速い
- 急な支払いや資金ショートを避けられる
2. 担保・保証人が不要
- 売掛債権自体が「商品」となるため、追加担保は不要
- 代表者個人の保証も基本的に求められない
- 他の担保となる資産がなくても利用できる
3. 負債計上されない
- 借入金ではなく債権売却のため、バランスシート上の負債にならない
- 財務諸表の健全性が維持される
- 将来の銀行融資にも影響しにくい
4. 売掛先の信用力重視
- 自社の業績や財務状況が悪くても、取引先が優良企業なら利用可能
- 銀行融資が難しい状況でも選択肢となる
- 創業間もない企業でも大手企業との取引があれば活用できる
5. 取引先に知られずに利用可能(2社間の場合)
- 資金調達していることを取引先に知られる必要がない
- 信用不安を抱かせるリスクを回避できる
- 取引関係に影響を与えない
💡 ワンポイントアドバイス
ファクタリングは一時的な資金繰り改善だけでなく、計画的に活用することで「資金効率」を高められます。例えば、大型の受注があった際、支払いサイトの長い売掛金をファクタリングで早期現金化して原材料調達に充てれば、より多くの案件を同時進行できます。
デメリット:コストとリスクを理解しておく
1. 手数料コスト
- 特に2社間は手数料が高め(10〜20%)
- 利益率の低い取引では赤字になる可能性も
- 継続的に利用すると総コストが大きくなる
2. 取引先に知られるリスク(3社間の場合)
- 3社間では必ず取引先への通知が必要
- 「資金繰りが厳しい」と判断される可能性
- 取引関係や信用に影響することも
3. 債権譲渡登記による露見リスク(登記が必要な場合)
- 登記情報は誰でも閲覧可能
- 金融機関や取引先が確認することもある
- 登記費用(数万円程度)も発生する
4. 悪徳業者の存在
- 業界には一部悪質な業者も存在する
- 不透明な契約条件や高額手数料のリスク
- 違約金など不利な条件に注意が必要
5. 契約条件の複雑さ
- 専門用語が多く理解しづらい
- リコース有無など重要条件の見落としリスク
- 契約後のトラブルに発展する可能性
🎯 実践ステップ
デメリットを最小化するためには、次の対策が有効です。
- 必ず複数社の見積もりを比較検討する
- 契約書は隅々まで確認し、不明点は質問する
- 信頼できる業者を選ぶための情報収集を怠らない
- 計画的に利用し、過度の依存を避ける
- 可能なら専門家(税理士、弁護士など)に相談する
ファクタリングは、正しく理解して適切に活用すれば強力な資金調達手段になりますが、メリット・デメリットを冷静に判断し、自社の状況に合った選択をすることが重要です。
よくある質問(FAQ)
ファクタリングについて、読者の皆さんからよく寄せられる質問にお答えします。
Q: ファクタリングを利用したら取引先にバレますか?
A: 2社間ファクタリングであれば基本的に取引先に知られることはありません。ファクタリング会社と利用企業だけの契約となり、売掛先への通知は行いません。ただし、契約書に「債権譲渡通知をいつでも発送できる状態」という条項があり、約束を守らないと通知されるリスクはあります。また、債権譲渡登記を行う場合は、登記情報が公開されるため間接的に知られる可能性もゼロではありません。
一方、3社間ファクタリングでは必ず取引先への通知が必要です。売掛先が直接ファクタリング会社に支払う形態となるため、必然的に利用が知られます。取引先に知られたくない場合は、登記不要の2社間ファクタリングを選ぶことをお勧めします。
Q: ファクタリングは借金と同じですか?信用情報に影響は?
A: いいえ、ファクタリングは借金ではなく「売掛債権の売却」です。そのため、貸借対照表上で負債として計上されることはありません。融資とは異なり、信用情報機関に記録が残ることもなく、将来の銀行融資枠にも影響しません。
むしろ負債が増えない分、財務健全性指標は改善する場合もあります。ただし、金融機関がファクタリング利用を知った場合、「資金繰りに課題があった」と推察される可能性はあります。とはいえ、その後も順調に事業を続けていれば、適切に資金繰りを維持した点はむしろ評価されるでしょう。
Q: もし売掛先が倒産したら、お金を返す必要はありますか?
A: 契約内容によって異なります。「償還請求権なし(ノンリコース)」契約であれば、売掛先が倒産しても返済する必要はありません。リスクはすべてファクタリング会社が負担します。一方、「償還請求権あり(リコース)」契約の場合は、売掛先の倒産時に利用企業が買取代金を返還する義務が生じます。
このため、契約時には必ず「償還請求権の有無」を確認し、可能であればノンリコース契約を選ぶことをお勧めします。本文の「契約前に必ずチェックすべきポイント」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
Q: 審査に落ちることはありますか?落ちた場合はどうすれば?
A: ファクタリングは他の金融手段に比べて審査通過率は高いものの、100%ではありません。審査に落ちる主な理由は次のようなものです。
- 売掛先の信用力不足(個人事業主や新興企業など)
- 債権内容に疑問点がある(取引実績が浅い、不自然に大きな金額など)
- 必要書類の不備
- 二重譲渡の疑いがある
- 取引先との関係性に問題がある
審査に落ちた場合は、まず理由を確認しましょう。売掛先の信用が原因なら、より信用力の高い取引先の売掛債権で再申請することも検討できます。また、一社で断られても他社では審査基準が異なるため、複数のファクタリング会社に申し込むことをお勧めします。
Q: どんな書類が必要になりますか?準備が大変そう…
A: 主に次の書類が必要になります。
- 本人確認書類(代表者の身分証明書)
- 売掛債権の証明書類(請求書、契約書、発注書など)
- 通帳コピー(入出金履歴がわかるもの)
- 商業登記簿謄本(法人の場合)
- 決算書または確定申告書
- 印鑑証明書
一見多く見えますが、通常の融資と比べると少ない書類で済みます。また、最近はオンラインで提出できるファクタリング会社も増えており、スマホで撮影してアップロードするだけで完了する場合もあります。事前に準備しておけば、申込から入金まで非常にスムーズに進められます。詳細は本文の「ステップ3:必要書類の提出」をご参照ください。
まとめ
ファクタリング申込の流れを5つのステップで解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
特に契約時のチェックポイント(償還請求権の有無、手数料の適正さ、信頼できる会社かどうか)は、トラブルを避けるために非常に重要です。
ファクタリングは正しく理解して適切に活用すれば、中小企業の資金繰りを大幅に改善する強力なツールになります。
銀行融資と違って担保や保証人が不要で、審査基準も売掛先の信用力が重視されるため、自社の財務状況が厳しい状況でも活用できる柔軟性が魅力です。



私は金融コンサルタントとして多くの企業のファクタリング導入をサポートしてきましたが、資金繰りの不安から解放され、本来の事業に集中できるようになった経営者を数多く見てきました。
一方で、契約条件をよく確認せずにトラブルに発展したケースも残念ながら存在します。
この記事で学んだ知識を活かして、ぜひ賢くファクタリングを活用していただければと思います。
まずは、複数のファクタリング会社に相談して見積もりを比較してみることから始めてみませんか?資金繰りの改善は、経営の安定と事業成長への第一歩です。